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島田 たのじ
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Novels by 島田 たのじ

ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~

ありんすっ‼ ~吉原、華の狂騒曲~

主人公の梅乃が老舗妓楼で様々な経験をする。 妓楼や花魁、玉芳などから寵愛を受けて梅乃が花魁になっていく物語
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Chapter: 第八十二話 探偵物語
第八十二話    探偵物語江戸末期から明治初期にかけて長屋が多くあった。この日、片山が引っ越す。 今までは吉原の中にあった長屋に住んでいた。「お前が住んでいたから病気の妓女も入れなかったが、ようやくだね……」采はキセルを吹かせながらニコニコしている。「お婆、拾ってもらって……仕事まで頂き、感謝しています」 片山が頭を下げると「何、別れみたいなことを言ってるんだい! 明日だって仕事だろうが!」采は片山の頭を叩く。「そ そうでした……」片山は引っ越すだけであって、三原屋を出ていく訳ではない。 鳳仙と暮らす為に、荷物運びの為に休みを貰っただけである。「潤、こことここ…… どの長屋にするんだい?」采は吉原に通勤できるように近場を選んでいた。「それにしても、花魁だった鳳仙が長屋暮らしなんてね…… 大丈夫かい?」「はい。 良い思いはさせて貰いましたから、これからは普通の生活ができればと思います」 鳳仙は目を輝かせている。今回は下見ということで、目星を付けて帰っていく。吉原に戻り、大門で小夜が許可書を渡すと「あんな妓女《ひと》いたかしら……」 小夜が見る方向には見慣れない派手な妓女が歩いていた。
Last Updated: 2026-04-04
Chapter: 第八十一話 告白
第八十一話    告白「あの……鳳仙花魁……」 片山は真っ赤な顔で見つめている。「あの片山さん、どうかされましたか?」 三原屋の台所は静寂のまま数分が経つ。全員が緊迫した場面の中、そこに橘が大きな声で 「いけ―っ!」 叫ぶと台所にいた梅乃と小夜、采までもが驚き後ろにひっくり返る。 「び びっくりした……」 「この場面での大声は心臓に悪いよ……」梅乃と小夜は、はだけた衣服を直している。「どれ、私は邪魔かね……」 橘が台所を出ると(とっくに邪魔なんだよ。 余計なことを……) 片山が橘の後ろ姿を睨む。「それで、片山さん……?」 鳳仙は片山を見つめると(うっ…… 眩しいくらいだ……) 片山の頭がクラクラとしだす。誰もが待つこと数分。“パチンッ―” 鳳仙が片山の頬を叩くと「ハッキリしてくださいな! 何ですか?」 「すみません…… その……」 なかなか言い出さない片山に、「ないなら失礼しんす……」 そう言って、鳳仙は三原屋を出ていってしまった。&nbs
Last Updated: 2026-03-30
Chapter: 第八十話 進路
第八十話    進路ある日の午後、昼見世が終わり采は売り上げの計算をしていると“クンクン……” 周囲の匂いを嗅ぎ出す。「お婆、何か匂う?」 妓女が聞くと、「なんか匂うんだよな」その言葉で妓女は匂いを確かめだす。「お前じゃなないのかい?」 妓女が古峰を睨むと「いえ、わ 私じゃありません―」 古峰は両手を振って否定する。以前、強盗が入った時に古峰が放尿して逮捕に至った。 それから匂いが古峰という事に繋がっていた。(あれはお婆が出せというから……)古峰は痛い過去を思い出してしまった。「ただいま戻りました」 梅乃と小夜が買い物から帰ってくると、「どうしたのです?」 大部屋の空気の違いに気づき、梅乃が訊く。「お お婆が匂うって言って、私が疑われたの……」 古峰が泣き顔で梅乃の腕を掴んでいる。「去年じゃない……」 小夜も呆れたように話すと、「お前たちは違うのかい?」 妓女たちはニヤニヤしながら三人を見る。(まだ子供の感覚だったのか……)夕方になり、引手茶屋に向かう準備を始める頃、「梅乃、さっき話が来て花緒に付いてくれるかい?」 采が言うと「わかりました。 じゃ、いってきます」 梅乃が駆け足で向かっていく。&nbs
Last Updated: 2026-03-30
Chapter: 第七十九話 くすぶり
第七十九話    くすぶり 夏の終わり、梅乃は香梅楼の前を通る。 いつものように散歩をしながら九朗助稲荷で手を合わせていたとき 「梅乃ちゃん……」 声を掛けてくる。 梅乃が振り返ると 「定彦さん―」 声を出し、駆け寄っていく。 「相変わらず、人懐っこいな…… これじゃ、また誘拐されちゃうよ」 定彦はニコニコしながら話す。 「その時は、今度こそ外の景色を楽しみますよ」 梅乃は十四歳、立派な返しが出来るようになっていた。 「遣り手をやってから上手になったね……」 これには定彦も驚いている。 「定彦さんは、まだ陰間茶屋をやるんですか?」 梅乃が訊くと、 「そうなんだよ…… ここの家賃も苦しくなっているしね……」 定彦は、ここ最近の事情を話し出す。 明治、外国を意識するようになり高価な物が出回っていきている。 物価も上がり、金が掛かることから吉原を撤退しようか悩み始めたようだ。 「どうするかね……」 定彦は悩んでいる。 芸子としても食べてはいけないし、陰間茶屋も取り締まりが厳しくなってからは大きな営業も出来なかった。 「だったら、洋蘭姐さんの所で若い衆はどうです?」 梅乃が提案すると、 「大丈夫かな? 私の母親はアレだよ……」 定彦は苦笑いをする。 定彦の母親とは、平八郎の正妻の時子であ
Last Updated: 2026-03-25
Chapter: 第七十八話 吉原参戦
第七十八話    吉原参戦「古峰……お婆は?」 梅乃が朝から采を探している。「わ わからない…… 部屋に居ないの?」「失礼しんす、梅乃です」 梅乃は采の部屋の前で声を掛けるが、返事がない。“スッ―” 襖を開けると、采はいなかった。「あれ? 父様、お婆知りません?」 文衛門に訊くが、首を振っていた。(どこだろう……?) 梅乃が仲の町に出て采を探していると、 「梅乃~」 と、声がする。 梅乃が振り返ると鳳仙が立っていた。 「鳳仙花魁……」  「梅乃、鳳仙楼を助けてくれて ありがとね…… 花緒もしっかり頑張ってくれているよ」  「良かったです。 それで、朝からお婆を探しているのですが見つからなくて……」 梅乃がキョロキョロすると 「采さんが? 何かあったのかしら……」 鳳仙は首を傾げる。 「見つかったら探しているって言っておくよ」 そう言って、鳳仙は戻っていった。  「梅乃様……」 今度は男性が声を掛ける。 「あっ、土屋様……」 驚く梅乃は、周辺をキョロキョロと始めると 「玲様は来ておりません……」 土屋は梅乃の行動を理解していたようだ。  (ホッ…… また波乱が起きるかと思った) 「どうして土屋様が吉原へ?」  「それが……」 土屋が難しい顔をする。 
Last Updated: 2026-03-20
Chapter: 第七十七話 花魁たち
第七十七話    花魁たち花緒が鳳仙楼に引っ越した翌日、信濃が腹痛を訴えていた。「姐さん、姐さんっ!」 花緒が信濃を抱きかかえると、「大丈夫だよ。 花緒は花魁の支度をしないと……」 少しの笑みを見せるが、苦痛の表情が勝《まさ》っていた。「お婆―」 花緒は三原屋に走って来た。「なんだい? お前、何をしているんだい?」 采が驚きながら玄関に向かうと、「信濃姐さんまで腹痛になって!」 花緒は息を切らせながら説明する。「なんだって? 岡田はいるかい?」 采が大声を出すと「はい、聞こえていました。 鳳仙楼に行ってきます」 岡田は走って向かっていった。「信濃っ!」 岡田が声を掛けると、 「岡田さん……」 弱々しい声で返事をする。「先生―っ」 そこに駆けつけたのが梅乃と小夜だ。「梅乃、小夜」 岡田と信濃が声を揃える。梅乃が信濃に寄り沿い、「姐さん、ゆっくり横に……」 梅乃は信濃を横にする。そのまま耳を信濃の腹部の上に置いて音を確かめると「また腑が活発に……」 梅乃は声をあげる。 「何っ?」 岡田が目を見開くと、 「小夜、食事に使っていそうな鍋や釜を持ってきて」 梅乃が指示をする。小夜は台所へ行き、鍋を数個重ねていく。「梅乃、コレだよ」 小夜は鍋を梅乃の横に置くと&n
Last Updated: 2026-03-15
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