熟年の夫婦が備えるべき医療・介護のチェック項目は何ですか？

チェックリストを作るときに真っ先に思い浮かぶのは、医療情報の“ひと目で分かる形”を用意することだ。紙のバインダーとスマホの写真フォルダ、両方に同じ内容を保存しておくと安心感が違う。具体的には、常用薬の名前・用量・服用時間、アレルギー情報、既往症、かかりつけ医と専門医の連絡先、保険証と保険番号、緊急連絡先を1ページにまとめておく。最新の診療記録や検査結果のコピーも加えると医師が状況把握しやすい。

次に考えるべきは意思決定のための準備だ。健康や財産に関する代理人指定（医療代理人、財産管理の委任）を法的に整えておく。リビングウィルや事前指示書を書いて、自分たちの治療方針（延命処置の希望や緩和ケアの意向）を明確に伝える方法を決めておくと、家族の負担が軽くなる。

自宅環境と日常のケア計画も抜かりなく。転倒リスクの低減（手すり、段差解消、滑り止め）、移動補助具の点検、薬の整理（整理箱や薬局での一包化）、定期的な認知機能と感覚（視力・聴力）チェック、予防接種の確認（インフル・肺炎球菌・帯状疱疹など）をスケジュール化する。介護が必要になった場合の候補先（訪問看護、デイサービス、短期入所）を見学予約しておくと、実際に使うときに慌てずに済む。最後に、終始お互いの気持ちを尊重することが何より大切だと、経験から強く感じている。

持ち物と連絡先の整理から話を始めると分かりやすい。私はまず財布や手帳に常備する“緊急用カード”を作った。氏名、生年月日、常用薬、既往症、アレルギー、かかりつけ医、代理連絡先を書いておく。このカードは外出時や救急搬送時にすぐ役立つ。

服薬管理は見落としやすい部分だ。薬の重複や相互作用を防ぐため、薬局で薬歴の一元管理を頼み、定期的に薬剤師と相談する。飲み忘れ対策としては、曜日と時間で区切られた薬箱や、リマインダーアプリを使っている。さらに、慢性疾患の指標（血圧、血糖、体重など）は記録帳に残し、主治医との受診時に見せられるようにしておくと診療がスムーズになる。

ケア体制の確保も重要だ。家族だけで抱え込まず、地域の介護支援センターに相談して訪問サービスやショートステイの情報を得る。介護者の休息（レスパイト）を計画に組み込むことで長期的に持続可能なケアができる。財務面では医療費や介護費の見通しを作り、必要なら公的支援制度や保険を早めに確認しておくと安心感が高まる。

家族と話をしたら、次は“日常的にチェックする短い項目”を決めるのがおすすめだ。私のやり方は週に一度のルーチンで、体調、薬の残量、歩行の安定性、食欲、睡眠、入浴後の肌の状態などを軽くメモする習慣をつけている。些細に見えて、蓄積すると医師に見せる有益な情報になるからだ。

また、緊急時の行動シートも用意している。救急搬送時に伝えるべきポイント（常用薬、既往症、アレルギー、保険情報、家族の連絡先）を箇条書きにして冷蔵庫や目につく場所に保管。必要な法的書類（医療代理や任意後見）は年度ごとに内容を確認し、更新時期を逃さないようにカレンダーに入れている。

最後に、精神的なケアも忘れない。医療・介護の準備は書類や物理的対策だけでなく、お互いの価値観や不安を話し合っておくことが、実際の判断や苦難のときに大きな支えになると感じている。