真白はとっくに彼女の話し方に慣れていたので、あてつけられているとは思わず、にこやかに返事をした。「家でぶらぶらしているのも退屈ですし、時間つぶしにパーティーを開こうと思いました。ちょうど最近お茶の文化が流行っているので、このテーマにしたのです」
「お義姉さんは普段こういう集まりには、あまり参加されないのに、今日はわざわざ来てくださって、本当にありがたいです。どうぞ中へ——」
真白の言葉は聞き心地がよく、態度もよかったから、普段仲があまり良くない知波でさえ、とがめることができなかった。
間もなく、美琴も晴香を連れて会場に着いた。
このような場に初めての顔が現れると、すぐに奥さんたちの好奇心を惹き——
「美琴さん、この方は?」
「どちらからいらしたお嬢さんですの?ずいぶんお若いですね!」
美琴は前もって言い方を考えたから、にこやかに紹介した。「これは友人の娘で、晴香といいます。理工大学で勉強しています」
晴香はすぐに微笑みながら、その場にいる奥さんたちに挨拶した。
「あら!まだ学生なのね、道理でこんなにお若いわけだ」
「そうですよ、しかも理工大学の学生だって。今どき理工大学に合格する女の子はそうそういませんよ」
他の奥さんたちは目配せし合い、表向きは笑顔で良いことを言いながら、陰では顔をしかめている。
お互いの目の中に嘲笑いの色を見れる。
——彼女が着ているそのドレス、3年前のセリーヌじゃない?とっくに時代遅れよ。どこから見つかってきたのかしら、本当にダサいわ。
——そうだよね?こんな場所にふさわしくない服だわ、本当に野暮で田舎臭い。
——やはり、姑がそんなものなんだから、お嫁さんも同じものだね!
他のみんながバカだと思っているのかしら?
入江家の息子が女子大生と落とし子を作った話は、とっくに奥さんたちの間で大騒ぎになっている。
それなのに、美琴が堂々とそのこを連れ出して、「友人の娘」だと言うなんて、よくもそんなことができるものだ。
それは単なる、自分に言い聞かせる見苦しい言い訳に過ぎない。
奥さんたちはあえてそれを暴こうとはせず、美琴がこれからどう演じるかを見守ることにした。そのまま手に入れるゴシップニュースだよ。聞かないわけがない!
家に帰ったら、親戚たちとのお笑い話のネタにもできるし、最後まで見るに決まってるでしょう?