その言葉に、美琴の笑顔が固まった。
相手の反応はなぜか彼女の想像と違う。
「ふん、あなたごときが?私たちの仲を裂こうと仕掛けてきたの?」知波は冷ややかに鼻で笑い、立ち上がって美琴を見下ろした。「私たち義姉妹がうまくいってないとしても、それは庄司家の話よ。部外者のあなたにつべこべ言われる筋合いなんてないわ!」
そう言い終えると、知波はさっさと立ち去り、別の席に移動して座った。
美琴はこんなに厳しく言われ、さすがに顔が引きつった。
真白はこの場面を見て、美琴への嫌悪感を隠せずにいる。
義姉とは確かに普段から色々と合わないが、それはあくまで性格や物事のやり方の違いによるものだ。時々意見が対立して口論になることもあるが、やはり家族であることは変わらない。
部外者に混ざって、家族の悪口を言うわけがあるのか?
美琴って、頭がおかしいんじゃない?
知波は別の席に移動したものの、どうやら場所選びが最悪だった。顔を上げれば晴香が見える。
晴香は恐る恐ると向かい側に座り、手足の置き所も分からないような顔をしている。彼女と目が合うと、すぐに泣きそうな表情を作る。
こういう「いい子」ぶるタイプが大嫌いだ。
真白も多少そういうイメージがあるが、まだ許容範囲内。でも晴香みたいな子は……
知波は見るたびに、嫌悪感を顔に出さないと注意しないといけない。
仕方なく、彼女は視線を逸らし、見ないことにした。
目にしなければ、悩まされない。
その時、真白がそばに来て言った。「義姉さん、この辺は日当たりが良くないから、あちらに移動しませんか?」
知波は真白が用意した席へ移動した。
ふう、これでようやく、美琴と晴香の変人コンビが見えなくなる。
彼女は真白に「よくやった」と言わんばかりの眼差しを向けた。
真白は苦笑し、あきれたような顔を浮かべた。
仕方ない、義姉はこういう性格なのだ。兄も家族のみんなも彼女を甘やかしているのだから、真白も合わせるしかない。
やがて全員揃って着席すると、茶道の授業が始まる。
脇戸から細身の人影が現れた。その人は純白の着物を着て、銀色の糸で刺繍された蘭花の紋様は、生地の地紋にあわせて、彼女の清楚な雰囲気と相まって、まるで春の匂いを感じられたようだ。
凛は薄化粧をしてあり、素朴な簪で長い髪をまとめ、後ろで固定している。
全体的に上品で気