私はようやく気づいた。なぜ義姉が「手に負えない存在」と言われているのかを。
数年前、義姉が津川家に嫁いできたばかりの頃、彼女も私と同じだった。
「少し我慢すれば、家族みんなが穏やかに暮らせる」――そう信じていたのだ。
だが、津川家の人々は違った。
彼らは私にしているのと同じように、義姉をも搾取しようとしたのだ。
だが、彼らが見誤ったのは、義姉が「鉄板」のような人間だったということだ。
彼女は幼い頃に両親を亡くし、高校卒業という学歴しか持っていなかった。
しかし、彼女は商才に恵まれ、鋭い頭脳を活かして若くして最初の資金を稼ぎ出した。
そして社会人入試の場で和真と出会い、一目惚れの末に結婚した。
義母は義姉の出自を気に入らなかった。彼女はずっと冷たい態度で接し、皮肉や嫌味を繰り返していた。
しかし、義姉は広い世界を見てきた女性だ。義母の小さな嫌がらせを気にすることもなかった。
だが、決定的な事件が起きたのは、ある日のことだった。
義母が義姉を階段から突き落とし、彼女は流産してしまったのだ。
それは義姉と和真の最初の子供だった。
その出来事に、義姉は深く傷つき、一時は離婚も考えたほどだった。
だが、和真は正義感のある男性だった。
義姉が義母を故意傷害で訴えると言った時、和真はその決意を止めることなく支持した。
その結果、義母は拘置所に半月間収容されることになった。
その後、義姉は和真の顔を立てる形で義母を許したが、これを機に彼女は津川家で「恐れられる存在」となった。
それだけではない。義姉は流産をきっかけに総合格闘技を学び始め、今では二人の男性を同時に倒すこともできる。
義妹はもちろん、義姉に逆らおうとは夢にも思わない。
義父母も彼女に波風を立てることを避けている。
「だから昔から言ってたのよ。おとなしい人をいじめるなって。
なのに、あなたたちはいつも優しくて穏やかな人を選んで搾取しようとする。
海人、私があんたの考えを知らないとでも思ってるの？」
義姉が海人を鋭く問い詰めると、私の心はぎゅっと締め付けられた。
「この間、電話であんたが和真に何を話していたか、私は全部聞いてたのよ」
その言葉に、海人は雷に打たれたかのようにその場で固まった。
私はその様子を見て、義姉に尋ねずにはいられなかった。
「彼がお兄さんに何を
