私たちは翌日、ようやく家に帰った。しかし、家には誰もいなかった。母は荷物とお金を持って、すべてを置いていった。残されたのは一枚のメモだけだった。
「今度こそ、何があっても帰らないから!」
私はそのメモを見て、心が冷たくなった。それは父に向けた手紙だった。
弟はまだ弱っていて、ベッドに横たわり、天井をじっと見つめていた。手は私の手をしっかりと握りしめていた。
「お姉ちゃん、僕たち、何か悪いことしたの?どうしてパパとママは僕たちを見捨てたの?」
私は答えられなかった。そっと顔を背け、涙を手で拭った。
弟は優しく小さな手で、私の目元を撫でてくれた。
「お姉ちゃん、僕、すぐに大きくなって、たくさんお金を稼ぐから。お姉ちゃんが泣いてるのは見たくないんだ」
私は思わず顔を布団に埋めてしまった。目がじんと痛くなり、すぐに布団が湿っていった。
手をぎゅっと握りしめた。彼らがいなくなったって、私たちは生きていけるんだ。