「まったく、この子ったら……」
「高村、叔父さんにそんな言い方はよくないよ。一輝はもう恵子さんの結婚相手を決めていて、むしろ恵子さんが俺を諦めるように仕向けたいはず。それに、仮に一輝が恵子さんを応援していたとしても、叔父さんが俺たちを引き離すなんて絶対にしないよね?」晴人が言った。
隆志はすぐに頷き、「晴人の言う通りだ。父さんが君たちを引き離すなんてするはずがないだろう」
そう言いながら、真剣な表情で考え込んだ。「来月結婚か。確かに少し急だが、不可能ではないな。恵子さんには何日で、どこのホテルだと伝えたんだ?」
晴人は高村を一瞥し、少し早めの日付を挙げた。「10月14日、ホテルホシヨルです」
「そんな近い日程なのか?ホテルは既に満室になっているかもしれないな……」
「叔父さん、心配しないでください。この件は俺が責任を持って手配します」
隆志は晴人の能力を信じ、頷いて言った。「あの別荘を買うのにかなりの蓄えを使っただろう。もしお金が足りないようなら、遠慮なく叔父さんに言うんだぞ」
結婚式場の費用、披露宴、ウェディングドレス、前撮りなど、どれも大きな出費になるだろう。
「大丈夫です。まだ少し手元に残っていますから、必要になった時は必ず叔父さんに相談します」
日程を決めた後、隆志と高村の母親は簡単に結婚の詳細について晴人と話し合った。
高村家を出ると、晴人が言った。「次はウェディングフォトを撮る番だな。どこか希望の写真スタジオはある?」
「特にない」高村は首を横に振った。写真スタジオのことなど全く調べたことがなかった。
だが、彼女はふと目が輝いた。「衣装だけレンタルして、由佳に撮ってもらうのはどう?由佳にとってもいい仕事になるし」
「それもいいかもね。君が彼女の腕を信じているなら」
「もちろん信じてる」
二人とも容姿が良いため、どんなカメラマンが撮っても酷い仕上がりにはならないだろう。
高村は目を輝かせて、「ねえ、あなたLINEのサブアカウント持ってるでしょ?ちょっと貸して」
「何に使うんだ?」
「ちょっとした用事よ。まさか秘密があって見せられないとか?」高村は眉を上げて挑発するように言った。
晴人は薄く微笑みながら、サブアカウントのIDとパスワードを教えた。
そのアカウントは以前、晴人が高村とのお見合いやバーの誘いに使ったものだ