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第27話

Auteur: こがね
……

その日、奈々美は立て続けに三件の手術をこなした。

手術室から出てきた時には、体の感覚がなくなるほど疲弊していた。

彼女はゆっくりと息を吐き、医局に戻ると、机いっぱいに広げられたデリバリーの料理が目に入った。

蛍子が意味ありげに笑う。

「誰からだと思います?」

奈々美は笑った。

「その顔に書いてあるわよ。『菊池稔』って」

「菊池先生にお礼言っておいてくださいね」

蛍子はチッチッと舌を鳴らした。

「まさに『手放さなきゃ、新しいものは入ってこない』ってやつですね。捨てられて過去の人になっちゃう男には、やっぱりそれなりの理由があるってことですよ」

廊下を通りかかった真由紀が医局からの話し声を聞き、不快そうに眉をひそめた。

「今の医者は、随分と騒々しいのね」

蛍子は外で誰かが自分たちの文句を言っているのを聞き、きょとんとして首を傾げ、ドアから顔を出して外を覗いた。

首を傾げた拍子に、外に立っていたその上品な婦人と正面から目が合った。

蛍子は気まずそうに咳払いをした。

「……失礼しました」

蛍子は顔を引っ込め、口を押さえ、慎重に小声で尋ねた。

「私、そんなに声大きかったですか?」

席に座っていた奈々美はパソコン画面の横から視線を送り、その婦人の後ろ姿を見た。

そして、隣に付き添っているアシスタントの顔も見た。

静かに数秒見つめ、奈々美は視線を戻し、料理のパッケージを開け続けた。

蛍子の好きなものを先に彼女に渡し、稔に写真を撮って送った。

最近は二人ともリアルタイムでゆっくり話すことが難しい。時差もあるし、稔が暇な時は奈々美が忙しい。

短い会話さえも稀な状況だ。

番号が呼ばれ、真由紀は隣の整形外科の診察室に入った。

担当医は若い男性医師の彰だった。

「ここには他に医者はいないの?」

彰は彼女を見た。

「もし私の若さがご不安でしたら、明日の午前中にまたいらしてください。明日の外来は桑原医長の担当です」

「伊東という医師はいないの?」

真由紀はバッグを置いて椅子に座り、単刀直入に聞いた。

「この方の評判はどうなの」

彰はもう一回彼女を見た。少し警戒心を抱く。

「もし個人的なご用件でしたら、直接ご本人をお訪ねください。診察をご希望なら、私も診ますから」

真由紀は表情を引き締め、それ以上聞かなかった。

彰は大体
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