「その……昨日は悪かったな。お前の手、振り払ったりして」 いきなり本題に突入してくる辺りが寛道らしい。 だけどお願い、もう少しクッションをっ。 心の準備が出来ていなかった私は、そわそわしながら、「あ、あのっ、それ、お、お互い様……だから」と途切れ途切れに返した。 そう。そもそも最初に寛道の手を拒絶したのは私。 そのくせ寛道から同じようにされて、ショックのあまり居た堪れなくなって逃げ出しちゃうとか……。 ワガママにも程があるよね。 「あ、のね、寛道。昨日……何で怒ったのか……聞いても……いい?」 私の手を振り払った時、寛道は確かに怒りに震えていた。 私はそんな寛道を見たことがなかったの。 いつまでも――。 例えばお互いに彼氏や彼女が出来たとしても。 私たちはずっとずっと仲の良い幼馴染みのままでいられると思っていた。 あの拒絶は、それを根底から覆すものに思えたから。 だから私、すごく不安になってあの場を逃げ出したの。 寛道の怒りの理由を聞いてしまったら、今までの関係ではいられなくなる。 直感的にそう思ったのだけれど。 でも、それを明らかにしないままじゃ、私は頼綱と幸せになることは出来ない。 「あれは――。お前が俺のやったモン、人に……っていうかそこのオッサンに食わしたって言うから」 そこまで言ってバツが悪そうに頼綱を気にする寛道に、私はキョトンとする。 「それって……そんなに重大なことだった?」 恐る
Terakhir Diperbarui : 2025-08-01 Baca selengkapnya