しかし、紗季には隼人を信じることも難しかった。実はすべての男性との身体的接触にトラウマがあるのではなく、隼人だけにはそれがないなどと、彼に告げるわけにはいかない。それは自分にとって、あまりにも屈辱的なことだった。長年自分を最も深く傷つけ、欺き続けた男が、唯一拒絶感なく触れられる相手だなんて。身体的な慣れだとしても、このままにしておくわけにはいかない。紗季は微笑んで彼を見た。「つまり、あなたと接触し、親密になり、あまつさえ関係を持つことで克服しろと?滑稽だとは思わないの?私は婚約しているのよ!」「それが役に立つなら、それしか解決法がないなら、試してみるべきではないのか?」隼人は眉をひそめた。まるで、そうするのが当然だとでも言うように。だが、紗季は隼人にそんな上から目線で説教されるのが気に入らなかった。彼らの間に、解決策がそれしか残されていないわけではない。紗季は深く息を吸い込み、唇を歪めた。「言っておくわ、隼人。私は一生、あなたと男女の関係になるつもりはない。今、心理的なトラウマがあるのは認めるけど、自分で努力して克服するわ。あなたの助けなんていらない。どこへなりとも行ってちょうだい。邪魔しないで!」言い終えると、紗季はためらうことなく背を向けてドアを開けた。彼女の後ろ姿を見て、隼人はゆっくりと眉をひそめた。車を降りて彼女を止め、自分の前に引き寄せた。「何を恐れている?何を気にしているんだ?」隼人は紗季を遮った。紗季はゆっくりと振り返り、言葉にしがたい複雑な眼差しで彼を見つめた。「気にしているですって?」隼人はためらうことなく言った。「違うか?もし気にしていなければ、なぜ俺との接触を恐れる?俺を頼って問題を解決するのを恐れ、俺たち二人が、最も親しい他人でありながら、巡り巡ってこの点では最も相性が良いという事実を恐れている……」パチン!彼が言い終わらないうちに、紗季は手を上げ、平手打ちを食らわせた。紗季は怒りで激しく胸を上下させ、彼を指差して叱責した。「自惚れないで!あなたが言うようなこと、私たちの間には存在しないわ。私は永遠にあなたに好意なんて抱かない。さっさと消えて。あなたの顔なんて見たくない!」彼女は怒って背を向け、立ち去った。彼女の後ろ姿が遠くに消えるのを見て、隼
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