検証の歴史を辿ると、まず注目すべきは2011年に発表された論文『Feeling the Future』だ。あの研究は「夢が未来の出来事を予知した」可能性を示唆して一時話題になったけれど、その後の追試で同じ結果が再現されることはまれだった。私自身、当時の議論を追いかけていて、統計的手法の脆弱性や事後的なデータ処理が大きな問題になったのを覚えている。
科学的コミュニティが強調するのは再現性だ。実験室で制御された条件下で確実に繰り返せない現象は、偶然や認知バイアスで説明されることが多い。研究者たちは選択的記憶や確認バイアス、報告バイアス(ファイルドロワー問題)を厳しく検討しており、それらが正夢と思われる体験を作り出す重要な要因だと示している。
だから私は、現在のエビデンスを総合すると「正夢=偶然の一致」という説明が最も妥当だと考えている。確かに未解明の点は残るが、堅牢な統計と再現実験が出るまでは懐疑的な立場を取るのが合理的だと思う。