ピアノ経験者がねこふんじゃったぴあのをジャズ風に編曲するコツは何ですか？

音色と間の取り方に注目するとソロ・ピアノの編曲はぐっと洗練される。ここではメロディをなるべく残しつつ和声を再構築するアプローチを取っている。僕は右手でメロディの骨格を弾き、左手でコンパクトに和音を入れて対話させることが多い。

具体的には、原曲の単調なCコードをC6やCmaj7へ置き換えて柔らかくし、随所でii–Vを挟んで進行に動きをつける。G7に対してはAlteredや半減七（m7♭5）を使って色を変えると、次のCに到達したときの解決感が美しくなる。ボイシングはガイドトーン（3度と7度）の連続移動を意識すると滑らかになるから実践している。

即興的な要素を加えるなら、メロディを小さなモチーフに分けてそれを転回したり、オクターブで重ねて強調する練習をすると良い。練習メニューとしては「メロディ保持→和声変換→リズム変化→即興フレーズ化」を順に行うことで段階的にジャズ感が育つ。『All of Me』のような古典的ジャズ曲の扱い方を参考に、自然にアレンジを馴染ませると完成度が上がると思う。

鍵盤の上で少し実験をする感覚で、リズムとテンポをいじるのが僕の楽しみ方だ。普段から拍子の扱いを遊ぶのが好きで、『ねこふんじゃった』をただの4分の4拍子の子どもの曲として扱わないで、まずはスイングに変換する。8分音符をスウィングさせ、裏拍を強めに弾くだけで即座にジャズの匂いが立ち上る。

メロディのフレージングを少し崩して、転回や装飾音を入れると独自性が出る。ハーモニーの面では、単純なC→F→Gの進行を見つけたら、FをFmにしてモード借用を使ったり、GをG7→Db7（トライトーン・サブ）にして緊張感を生むと面白い。テンションとして9や13を加え、コードのボイシングはルートを省いたルートレスにすると手が軽くなって自然にジャズらしくなる。

リズム的にもっと冒険したいなら拍子を変えてみるのも手だ。『Take Five』のような5拍子や3/4のワルツ風に置き換えて、メロディのアクセントをずらすと予想外の表情が生まれる。ソロパートを作るならメロディをモチーフにしてブルーノートを効かせたり、ペンタトニックやモードを使って展開するとまとまりやすい。実験→選択→磨き込み、これが僕の鉄則だ。

鍵盤に向かうときの最初の遊び方として、メロディをそのままジャズの「語り」に変えてしまうのが手っ取り早い。僕はまず『ねこふんじゃった』の素朴なフレーズを右手で歌うように弾き、左手は単純なルートと三度のバウンスで支えることから始める。

その上で和声を少しずつ拡張する。Cメジャーの単音コードをそのまま置く代わりに、Dm7→G7→Cmaj7のようなii–V–I進行に分解すると即座にジャズ感が出る。さらにG7をG7altやトライトーン・サブ（Db7）に置き換えたり、Cmaj7をC6/9にして色を添えるとメロディの印象が一変する。テンション（9や13）を入れると柔らかく、ディミニッシュやセカンダリードミナントで短い装飾進行を挿むと味が出る。

リズム面では8分音符をスウィングさせ、メロディを少し遅らせたり早めたりして躍動感を出すのがコツだ。左手はウォーキングベース風や2ビートのコンピング、あるいはシェルボイシングでまとめて、右手はメロディの装飾やガイドトーンの動きを意識する。全体としては「原曲の愛らしさを残す→和声で色付け→リズムで遊ぶ」という段階で進めると自然にジャズ風になる。最後は空間を活かしてフレーズを聴かせると締まるよ。