思い返すと、近所の掲示板やニュースで『家出』に関する話を耳にするたびに、法律と現場の温度差について考えさせられることが多い。僕の見立てでは、日本では未成年の
出奔(家出)に対する法的な扱いは基本的に保護優先で、刑罰で罰する仕組みにはなっていない。まず警察に捜索届けが出されれば、警察は行方不明者捜索として対応し、発見した場合はまず保護して保護者に引き渡す方向で動くことが普通だ。補導という言葉が使われる場面も多く、特に深夜を含む場合には警察官や地域の青少年指導員が関与して指導や家族への連絡を行うことがある。
次に福祉の視点だが、児童相談所(児相)は子どもの安全が懸念されると判断すれば一時保護を行う権限を持っている。家庭内の虐待や育児放棄が背景にある場合、単に保護者に返すだけで済ませず、家庭環境の調査や保護計画の作成、場合によってはより長期の保護や里親、施設入所の検討につながる。法制度上は『少年法』などで非行や犯罪行為に至った場合の処遇ルートも整っており、ここでは処罰より更生と保護が重視される。ちなみに成年年齢は2022年に18歳に下がったが、少年法の適用対象など若者支援の枠組みは依然として20歳未満を念頭に置く運用が続いている点に注意が必要だ。
最後に実務的な面だが、単に家を出たという事実だけでは刑事責任が問われることは基本的にないものの、危険な場所に身を置いたり他人の財産に損害を与えたりすれば別の問題に発展する可能性がある。また家庭側も、子どもの保護と同時に原因の把握と再発防止、場合によっては家庭裁判所や児童相談所との連携が求められる。全体として日本の対応は“保護と支援”が中心で、問題の根底にある家庭や学校、経済的事情をどう補うかが重要になる。そういう点で、当事者や関係者が冷静に制度を理解して動くことがいちばん大事だと感じている。