ダイアン・アーバスの作品の中でも特に強い印象を残すのは『Identical Twins, Roselle, New Jersey, 1967』だろう。双子の少女が並んだこの写真は、彼女の代名詞とも言えるほど頻繁に引用される。彼女が切り取った世界の不気味な美しさ、どこか歪んだ日常の一瞬が、この作品には凝縮されている。
アーバスは社会の周縁にいる人々——巨人症の男性や道化師、カーニバルの出演者たち——を被写体に選ぶことが多かった。『Child with Toy Hand Grenade in Central Park, N.Y.C. 1962』もまた、一見普通の風景の中に潜む不穏さを捉えた代表作だ。少年が握るおもちゃの手榴弾と、その表情の不自然な緊張が、観る者に何かしらの違和感を植え付ける。
彼女の写真が持つ力は、被写体の持つ「普通ではない」要素を強調するだけでなく、むしろ私たち自身の中にある異質性を映し出すところにある。銀塩プリントの粒子感も相まって、これらの作品は半世紀経った今でも新しさを失わない。展覧会でオリジナルプリントを目にした時、ガラス越しでも伝わってくる生々しい存在感に足が止まったことを覚えている。
鳥瞰図の魅力に取りつかれたのは、『TOKYO FROM ABOVE』という写真集に出会ってからだ。上空から捉えた東京の街並みが、普段見慣れた景色を全く別のパターンとして見せてくれる。道路が血管のように広がり、ビル群が幾何学模様を形成する様は、都市の生命力を感じさせる。
特に印象深いのは夜間のショットで、無数の光の粒が地上に散らばっている様子だ。あれは人間の営みそのものを可視化しているようで、なぜか胸が熱くなった。最近ではドローンの普及でこうしたアングルの作品が増えているが、やはりプロの写真家が捉えた構図のバランスは格別だ。