F. Scott Fitzgeraldの短編小説とブラッド・ピット主演の映画『ベンジャミン・バトン 数奇な人生』は、時間の流れに対する解釈が根本的に異なります。
小説版では1922年の雑誌掲載時から、逆年齢の概念を皮肉たっぷりに描き、上流社会に対する批判が散りばめられていました。ところがデヴィッド・フィンチャー監督は、このファンタジー要素を壮大なラブストーリーへ昇華させました。特に幼少期のベンジャミンが老人として描かれるシーンでは、CG技術が小説では不可能な情感を生み出しています。
キャラクター造形も大きく変化し、小説のヒロイン・ヒルダは単なる社交界の女性でしたが、映画ではケイト・ブランシェット演じるデイジーが時代を超えた運命的な存在へと変貌を遂げています。雨の駅のシーンなど、オリジナルにはない映像美が物語に深みを加えているのが印象的です。