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巻き込むつもりじゃなかった 2

Author: 水守恵蓮
2025-03-31 17:14:41

慧斗の誕生月、三月に入ってから、ロンドンの厳しい冬の寒さも、ほんのちょっと和らいだように感じる。まだまだ春爛漫にはほど遠い。だけど、慧斗を連れて散歩に出かけた公園の木々に息吹く新芽を見つけ、ほっこりする――心穏やかな日々だ。「慧斗、気持ちいいねえー」私は目線を下げて、声をかけた。塔也さんが買ってくれたベビーカーに、慧斗がちょこんと座っている。「パパが買ってくれたベビーカー、乗り心地どう?」足を止め、少し身を屈めて訊ねると、慧斗が「ぱーぶー」と応じる。多分、『パパがくれたブーブー』とわかっている。私は無意識に顔を綻ばせ、背筋を伸ばした。素敵なプレゼントが届いてから三日。ベビーカーもベッドも、大活躍だ。今まではなにをするにも、慧斗から目が離せず付きっきりだったけど、ずっと抱っこして歩かなくて済むし、家でも家事に集中できる。「お願いしてよかったー」私はクスッと笑ってから、微笑んでいる自分に虚を衝かれた。慧斗の可愛さ以外に、こんな笑みが零れるの、生まれて初めてな気がする。自分でもあまり馴染みのない笑い方をしたことに、ほんのちょっと怯む。これも、塔也さんが妻にしてくれたからだ。なんとなく、くすぐったい――。「そ、そうだ慧斗。大使館の近くまで行ってみようか」頬が火照るのに慌てて、私は取ってつけたような提案をした。慧斗は、バタバタと足を動かしている。そもそも、『大使館』がわかるわけがない。「ええと……パパがお仕事してるところ!」半分自分を鼓舞するように説明して、力いっぱいベビーカーを押した。塔也さんが勤務する在英日本国大使館は、ウェストエンド地区のピカデリーにある。ジョージアン建築という様式の白亜の建物で、これぞヨーロッパ!と思わせる魅力的な外観。ちょうどお昼時だ。お昼休憩で、塔也さんが出てくるかもしれない。お仕事中のパパを、慧斗に見せてあげられるかも――。私は胸を弾ませてベビーカーを押して歩き、二十分ほどで大使館前に到着した。大使館には、多くの人が出入りしている。出てくる人は、塔也さんの同僚だろうか。私は無駄にドキドキしながら、ほとんど導かれるように一歩踏み出した。と、その時。「!」大使館のエントランスから、キリッとスーツ姿の塔也さんが出てくるのを見つけて、ドキンと心臓が飛び跳ねた。もしかしたら……と期待はあったけれど、まさか本当に見られるなんて。塔也さんは一人だ。コートを羽
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