彼がこんなにもストレートな性格だったなんて、以前は全然気づかなかった。
伊澄の記憶の中では、京弥はそんなタイプではなかったはずだ。
彼のその一言で、伊澄は一瞬、どう返せばいいのか分からなくなってしまった。
けれど、少し考えてから、彼女は笑顔で言った。
「そんなにキッパリ言わなくてもいいじゃない......それに、私はちゃんと埋め合わせしたつもりだよ?」
「たった一食のご飯で埋め合わせ?」
京弥は彼女の笑顔を見て、少しおかしそうに鼻で笑った。
自分と紗雪が、そんなにも軽い存在だと?
たった一度の食事で、過去のことすべてを帳消しにできるとでも?
「ち、ちがう、そういう意味じゃないの」
伊澄は少し焦った。
どうして京弥兄は、こういうときに限って定型通りに返してくれないの!?
普通はもうちょっと遠慮するとか、柔らかく返すとか、そういうもんでしょ?
でも、京弥は彼女の後に続く言葉すらも封じるような一言を放って、まったく隙を与えてくれなかった。
これでは、この後どう話を進めればいいのか分からない。
思わず、自分のこの執着心は正しいのか、それとも滑稽なだけなのか。
伊澄の中に、そんな疑問すら浮かび始めていた。
彼女は乾いた笑いを浮かべて言った。
「ちがうの、京弥兄、本当にそういう意味じゃなくて......これからはあんまりお邪魔しないようにするし、できるだけご飯も作るから。京弥兄たちが好きなら、私、頑張るよ」
だが、京弥はその笑顔を見て、どこか下心を感じ取った。
すぐさま、きっぱりと断った。
「その必要はない。料理作るのは家政婦の仕事だ」
伊澄に料理を続けさせるつもりは、もうなかった。
一度くらいならともかく、何度もとなると......
本当に何か仕込まれてるかもしれないと、心配になる。
しかも、彼女は昔から知っている妹のような存在だったのに、今では自ら進んでこんなことをするようになるとはおかしい過ぎる。
京弥には、それがどうしても納得できなかった。
それに対し、伊澄はわざとらしく悲しげな顔を作った。
「なんで?なんでやらせてくれないの?」
「必要ないからだ」
京弥は眉をしかめ、不機嫌そうに彼女を見た。
言ってる意味がわからないのか?
何度も説明してるのに、なぜ同じことを繰り返す?
これ以上話しても、ただの時間の無