隼翔は彼女をちらりと見て、店の鍵もかけてないから困ったという顔をして、車を降りると、店に入って鍵を取りドアをしっかりと施錠した。
車に戻ってくると、隼翔はエンジンをかけながら彼女に尋ねた。「一体何があったんだ?そんなに慌てた様子で、顔も真っ青だぞ」
「牧野さんから電話があって、唯花に何かあったらしいんです」
そう言いながら、唯月の顔色はさらに青ざめていった。
妹は今日店に行って掃除をしていたはずだ。一体何があったというのだろうか。
もしかして、本棚が妹に倒れてきたのではないだろうか?
本棚にはあれだけ多くの本が並べられていて、非常に重い。それが倒れてきて押しつぶされでもしたら……
唯月はそれ以上は想像できなかった。
怖かったのだ。
もし、妹が事故に巻き込まれて万が一のことがあれば、彼女は一体どうすればいいのだ?
彼女にはもう両親はいない。妹と支え合って今まで生きていたのだ。もし、そんな妹までも両親と同じように……
唯月はそれを想像し、瞳に涙をたくさん浮かべてぽろぽろと涙を零し始めた。
それを聞いた隼翔はとても心配した様子で尋ねた。「妹さんに一体何があったんだ?」
唯花は親友の妻だから、隼翔はとても気になり心配だった。
「わかりません。牧野さんは何も言っていなくて、ただ唯花がって。その時電話越しの彼女はとても慌てた様子だったので、絶対に何かあったはずです」
隼翔は彼女に言った。「今すぐ牧野さんに電話をかけてみたほうがいいんじゃないか。はっきりと一体何があったのか尋ねてみるんだ。泣いている場合じゃないよ、今はまだ何があったのかわかっていないんだから。そんなに泣いて、もし君が想像しているようなことじゃなかったら、泣く意味なんてないだろう?」
唯月は嗚咽交じりに言った。「耐えられなくて……昔みたいに、突然先生から教室から出てすぐに家に帰るように言われた時のあの光景が浮かんで。村役場から学校に電話がかかってきて、私にすぐ家に帰るようにって。急いで家に帰ってみたら、両親はもう亡くなって……」
両親が亡くなったあの日を唯月は一生忘れることなどできない。
彼女は突然の電話に非常に怯えていた。
何か悪いことがあったのではないかと異常なまでに不安になってしまうのだ。
「自分で勝手な想像はしない方がいい。先に一体何があったのか、はっきりと聞くべきだ