Masukお見合いのその日、内海唯花はまったく知らない人との結婚が決まった。 結婚後はお互いを尊重し合って平凡な生活を過ごすものだと思っていた。 しかし、秒で結婚した夫はべったりとくっついて離れないような人間だった。 一番彼女が驚いたのは、毎回困った状況になると彼が現れ、すべてをいとも簡単に処理してしまうことだった。 彼女が追及すると、彼はいつも運がよかったとしか言わなかった。 ある日、朝日野の億万長者が妻を溺愛しすぎで有名になりインタヴューを受けているのを目にすることに。しかも、その億万長者はなんと彼女の夫と瓜二つだったのだ。彼は狂ったように妻を溺愛していた。その妻とは彼女のことだったのだ!
Lihat lebih banyak母親からそう言われるまでもなく、理仁はすぐに結城家の訪問医に電話をかけて尋ねた。「もしもし、うちの祖母と両親は最近どこか不調を訴えたりしていましたか?」「いいえ、おばあ様と旦那様、それから奥様はみなさん健康です。若旦那様、どうしてそのようなことを聞かれるのですか?おばあ様に何かありましたか?」医者はおばあさんが結構な年なので、何かあったのではないかと思ってしまった。結城家の健康診断を担当しているのは彼ではないが、病院で働いしてる同僚や大学の昔の同級生に聞けば結果はわかる。結城家は誰も何か体の調子が悪い人はいないはずだ。結城家は全員健康には気をつけているので、みなそれぞれとても元気だ。きっとこの一族は神から愛されていて、運が非常に良いのだろう。若者世代は誰もが優秀で、すでに引退している世代はみんな食生活が良く、健康体そのものだった。健康こそ、最大の財産なのである。そして、結城家は健康という財産だけでなく、実際に金銭的な富も持ち合わせている。星城一の財閥家とは、まがいもない事実なのだ。「祖母は今星城にはいません。彼女はあちこち走り回っていますから、大丈夫です。うちの両親を心配しているんです。さっき、テーブルの下にあるリストがあって、何やら色んな栄養素のサプリが並んでいるんですが、この写真を送って見てもらってもいいでしょうか?」「ええ、若旦那様、そのリストを送って見せてください」「理仁、言ったでしょ、私たちはなんともないんだってば。見る必要はないから。これは誰かがテーブルの下に挟んだのよ。捨ててしまいましょ」麗華はその紙をさっさと捨ててしまいたかった。しかし、理仁がそれを許さなかった。「母さん、二人ともなんともないって言うわりに、なんでそんなに焦ってるんだよ?ただ先生に見てもらって、別になんでもないってわかってから捨てても遅くないだろ」辰巳もその紙を受け取って見てみた。咲は見えないので、耳を澄ましてよく聞いていた。唯花は義父母が少し慌てた様子だと思っていた。きっとこの紙はあの二人がローテーブルの下に挟んだのだろう。唯花は言った。「お義父さん、お義母さん、先生にちょっと見てもらうくらいなんでもないですよ。うちの誰かのものじゃないなら、家政婦さんたちの誰かのものなのか探して、必要なら何かしてあげれ
栄達は言葉を失った。まずい!息子にあの妊活用サプリがリストアップされた紙を見られては、彼はどうやって妻のフォローに回ればいいのだ?「誰がテーブルの下に紙切れを挟んだんだ?」理仁はぶつくさと言っていた。理仁はその紙を拾い上げて、そのままゴミ箱に突っ込もうと思っていたが、何か字が書かれてあるのに気づき、好奇心に駆られて、思わずその紙を開いて見てみた。この時、麗華が唯花とちょうどキッチンから出てきた。麗華は息子があの紙を広げて見ているのに気づいた。テーブルの位置も少しずれている気がする……麗華はその瞬間、顔色を真っ青にした。まずい、終わりだ!どうして見つかってしまったのだ?あの紙はローテーブルの底に下敷きにしていたのに、まさか息子に見つかってしまうとは。夫が息子に密告したのか?いや、それはないはずだ。夫が裏切るはずがない。麗華はなんとか自分を冷静に保ち、慌てず自分を落ち着かせた。その時は断固として認めなければ済む話だ。理仁がその紙を広げてみると、何かの栄養サプリがリストされていた。彼は自分が服用しないので、いまいちよく知らない。そこに書かれているものが一体どんな効果があるのかさっぱりだ。しかし、テーブルの下に挟まっていたものだから、きっと家族の誰かのものだろう。父親?それとも母親か、はたまた祖母のものか。祖母は今不在で、あちこち放浪しているから、きっと彼女ではないだろう。では、両親のどちらかか?理仁はそれを見終わると、父親のほうを見た。この時、母親も近いところに立っていて、どうやら緊張した面持ちをしている。すると理仁は心の中で、きっと両親は栄養が足りずどこか体調が悪いのかもしれないと思った。「父さん、このサプリが書かれた紙がテーブルの下にあったけど、どこか調子が悪くて栄養を補う必要があるとかなのか?」理仁はこのまま紙の存在を無視することはない。そして父親に尋ねた。栄達はとぼけたふりをして言った。「別に調子が悪いところなんてないぞ。それは何かのリストか?見せてみなさい」そう言うと、彼は息子から紙を受け取った。辰巳は伯母と伯父の二人をたて続けに見た。彼はビジネスの世界という荒波に揉まれた人間で眼光は鋭い。伯父と伯母が明らかに不自然であることに瞬時に気がついた。それは理仁は言
唯花もただそこに座っているわけにはいかず、バッグを置くと立ち上がって義母に続いてキッチンに行った。理仁も父親に挨拶すると、持って来た物をローテーブルの上に置いて言った。「父さん、これは唯花が父さんと母さんにって買ってきたものだ」そう言いながら、彼は父親の隣に座り、新聞をちらりと見て尋ねた。「何の新聞を読んでいるんだ?」「時間つぶしに適当にそこらへんにあったものを見てるだけだ。なんで陽君も一緒じゃないんだ?陽君が来たら、父さんだって退屈しないのに」小さな子供がいると苦労するし疲れるが、それでも栄達は好きなのだ。陽が来ると、彼はいつも陽の後を追いかけ回している。「陽君の父親が目を覚ましたんだ。義姉さんが明日陽君を連れて父親のお見舞いに行くんだよ」栄達はひとこと「そうか」と答えた。「なるほどな、あの佐々木とかいう男が目を覚ましたんだな?」彼は、俊介が以前唯月に対してやってきた事を知っていて、佐々木俊介という男は因果応報だ、ざまあみろと思っていた。俊介が目を覚まさなければいいのにという考えすらあった。「ああ、目を覚まして食べられるようになっている」理仁は低い声で言った。「しぶとい野郎だ」莉奈にナイフで刺され、出血多量だったため、医者も命の保証はできないと言っていたのだが、結局彼は持ちこたえた。栄達は新聞紙を閉じると、それを元の場所に戻して言った。「でも結局は陽君の実の父親だからな。彼が生きているかぎり、陽君が父親を失うことはない」理仁は少し黙ってから、ひとことだけ「そうだな」と言った。この時、辰巳が咲の手を引いて入ってきた。「伯父さん、お久しぶりです」辰巳が笑顔で栄達に挨拶をした。「よく来たね」栄達は若者世代みんなに優しい。甥っ子の婚約者は耳に頼って生活していると知っていて、しっかりとした声で辰巳の挨拶に返事をした。咲は栄達の声が聞こえて、その声がしたほうへ顔を向けると、同じように挨拶をした。辰巳は咲の手を繋いだまま一人掛けソファに一緒に座った。どうせソファは大きいので、二人で座るとちょうど良い。「麗華おばさんは?」辰巳は流れでそう尋ねた。「唯花さんと一緒にキッチンにいるよ」理仁は片手をローテーブルにつけ、もう片方の手で果物が入った器を辰巳たちのほうへ近づけた。二人に食べろという
唯花はそんな麗華の子供を催促する裏の意味には気づいていないようで、微笑んで言った。「それもそうですね。陽ちゃんに会ったことがある人はみんなあの子のファンになっちゃうんです。音濱岳邸に行った時も、年齢問わず全員陽ちゃんのことを気に入ってくれました。私が彼を連れて星城に戻る時は、桐生家のおばあ様は名残惜しそうにしていましたよ」二人は仲良さそうに手を組んで、一緒に中へ入っていった。それを聞いて麗華は笑った。「桐生おばあ様は陽ちゃんと離れるのを恋しがったけど、うちのおばあ様は桐生家の双子の娘さんと離れられなくなったのね。きっと、あの子を連れて帰って、こっちで世話したいと思っているはずよ」「そうなんです。おばあちゃんは芽衣ちゃんに会うと、片時も目を逸らさずに、ベビーベッドの傍で一日中見ていても飽きないんですから」麗華は笑いながら言った。「私でも、きっと同じように一日中眺めていても飽きないわよ」女の子が生まれていない結城家では、みんな女の子が好きだ。他所の家の小さな女の子を見ると、視線を逸らすことができなくなってしまう。それにそこから離れようともしない。結城おばあさんのようになってしまうのは、彼女だけの話ではない。「お義母さんが家で暇なら、街をぶらぶらしてもいいし、私たちのところに引っ越して来てもいいのに。人が多いほうが賑やかですからね」麗華は言った。「いいえ、私も夫も年を取ったせいか、ここでの生活が気持ち良いのよ」やはり、近づきすぎず、離れすぎずが一番だ。嫁姑は互いに一定の距離を保っていたほうが良いに決まっている。それに住む家がないわけではない。彼らには余るほど屋敷があるのだ。麗華は息子夫婦に同居するよう要求することはない。それに、麗華には理仁以外にまだ二人息子がいる。もし、彼女が長男夫婦の家で暮らせば、残り二人の息子が両親と一緒にいたい場合、長男夫婦の家に一緒に住むことになる。いくら兄弟仲が良く、唯花がかなり寛容な嫁だとしても、結局は今住んでいる所で暮らしたほうが気が楽なのだ。人と人は、ある程度の距離を保つべきだ。だから、今のこの状況が一番だ。息子夫婦は定期的に週末遊びに来てくれる。他の息子たちがここへ来るのも、実家に帰るということだから、気楽でいられる。「私は陽ちゃんが恋しいのよ。あの子、幼稚園は慣れたか
理仁は莉子が家に戻り玄関のドアを閉めるのを見ながら、家の前でまた暫くの間静かに立っていた。そしてやっと車に戻っていった。さらに車の中で数分間静かに座っていて、結局車を出して去っていった。そして翌日の朝早く、理仁は急いで牧野家にやって来た。牧野家の庭の門はすでに開いていて、二匹のシェパードはリードに繋がれていた。この時理仁は少し嫌な予感がした。来るのが遅すぎたと思ったのだ。彼は車を止めて、車から降りるまえに、庭掃除をしていた莉子が箒を持ったまま近づいてきた。「結城さん、明凛と唯花ちゃんはもう出かけてしまったんです。二人で唯月さんのところに行くとかなんとか」理仁「……お
唯花は身を翻して明凛に近づくと、彼女を軽くつねった。「いろいろ考えずにもう寝るわ」明凛は彼女を軽く抱きしめて、慰めの言葉をかけた。「二人はもう立派な夫婦なのよ。結城さんはあなたのことを心から愛しているし、ちょっとの喧嘩くらいなんだってないわよ。安心して寝なさい。しっかり寝たら、この人生の荒波に立ち向かえる元気が湧いてくるのよ」「明凛、あなたがいてくれてよかったわ。私が落ち込んでる時に、気持ちを吐き出せる相手がいるんだもの」「もう昔からの友達でしょ、私が気分が塞いでる時だって、あなたにいろいろ話を聞いてもらってるじゃないの。さあ、早く寝て、あまり考えすぎちゃダメよ」唯花はひとこと
琴音はその意見には賛成だった。「私も同じ考えです。仕事の時は仕事の話をして、休む時は仕事の話は持ち込まないでしっかり休むべきですから。隼翔さん、ちょっといくつか質問してもいいですか?」隼翔は気にせず言った。「どうぞ」「私たちの両親は私と隼翔さんをくっつけたいって考えてますよね。私は隼翔さんのことをいいなって思ってます。とても隼翔さんのことが好きだって言えます。愛しているかと言われたら、それはまだちょっと早いかなって。だけど、長い時間一緒に過ごしていれば、きっと隼翔さんに愛が芽生えるはずです」琴音の瞳には、隼翔が彼女のターゲットに映っている。彼女が彼を好きだと言ったその気持ち
「旦那様、奥様、若旦那様がお帰りです」「あの子が帰ってきてなんの用だ?」栄達はただ訝しく思い尋ねた。「唯花さんは一緒に帰ってきたのかい?」「車二台で、若旦那様が一台を運転なさっているので、もう一台はボディーガードものです。恐らく、若奥様は車にお乗りじゃないようで」栄達は「そうか」とひとこと言い、使用人に言いつけた。「キッチンに行って多めに食事を用意するよう伝えてくれないか。今帰ってきたのなら、息子も家で食べて行かせよう」それを聞いて使用人は面白いと思った。ここは若旦那様のご実家だというのに。そんな彼が家に帰ってきて、食事をするのは普通のことだろう?それなに旦那様
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