LOGINお見合いのその日、内海唯花はまったく知らない人との結婚が決まった。 結婚後はお互いを尊重し合って平凡な生活を過ごすものだと思っていた。 しかし、秒で結婚した夫はべったりとくっついて離れないような人間だった。 一番彼女が驚いたのは、毎回困った状況になると彼が現れ、すべてをいとも簡単に処理してしまうことだった。 彼女が追及すると、彼はいつも運がよかったとしか言わなかった。 ある日、朝日野の億万長者が妻を溺愛しすぎで有名になりインタヴューを受けているのを目にすることに。しかも、その億万長者はなんと彼女の夫と瓜二つだったのだ。彼は狂ったように妻を溺愛していた。その妻とは彼女のことだったのだ!
View More「もう冗談は言わないから怒らないで、ね。彼女の対処は面倒だから、父親である辻社長に任せましょ。社長はきちんと物事を判断できる方だから」唯花は辻グループの社長である豊への印象はよく、夕菜に対しては悪かった。夕菜は一人っ子だ。しかも、豊が治療を繰り返してやっと手にすることができた子供であるから、あのようにわがままな娘に育ててしまった。夕菜は気に入った人や、物を何が何でも手に入れないと気がおさまらない。豊は娘と話し合い、叱ってしっかりと注意していたはずだ。父親から何も言われていなければ、彼女がおとなしく地元で理仁の代役を探し写真を撮って、唯花を誤解させようと送りつけてくることはなかっただろう。理仁は言った。「後で辻社長に連絡するよ。写真は彼に送って見てもらう。そして娘の件を処理してもらうんだ」結城グループと辻グループが提携を決めた後、理仁はあれからこの事業に関してはノータッチだった。部下を担当者にあてたのだ。理仁は既婚者で妻との関係も良好だというのに、娘は理仁に一目惚れをし、モラルに欠いた行動をしたと豊は思っている。感情をコントロールするのは確かに難しいから、許されるべき状況もあるのはある。何と言っても結城理仁という男は魅力的すぎる。しかし、娘は理仁を刺激し、隠すことなく彼にアプローチをした。この件で豊は怒りを爆発させ娘に警告するように注意した。それから彼は理仁に対して申し訳なく思っていた。理仁から連絡することもなければ、豊から理仁に連絡することもなかった。豊は今も海外出張中で、あと数カ月は帰国できない。辻グループの事は、基本的に夕菜が取り仕切っている。夕菜の肩書きは辻社長つきの秘書になっているが、社員たちは、辻グループはいずれは彼女に継がれることになるとわかっている。それで、辻社長が不在の間、夕菜が会社の全てを任されていて、誰も口を挟むことはないのだ。しかし、豊は娘のことは少し警戒心を持って構えていた。彼が出張している間に、娘を制御する人間がおらず、また何か過ちを冒すのではないか心配だった。そして、わざわざ甥の響にも少し権利を与え、夕菜の動向に目を光らせておくよう頼んでおいた。特に夕菜が勝手に星城に行って、理仁と接触しないように響に任せていた。「昼は迎えに行くから一緒にご飯を食べよう」「はい、わかり
この時、理仁は会議中だった。それですぐに唯花に返事はできなかった。話し終わった後、理仁はやっとテーブルの上に置いていた携帯を手に取って、LINEを開いた。唯花から連絡が来ているのを見て、彼は思わず表情を緩めた。会議室にいる管理職たちは、社長が急に表情を和らげたのを見て、きっと奥様からだろうと予想した。その場の全員がほっこりとしていた。結城社長夫妻が結婚してからもう一年経つ。まだ結婚式は挙げていないが、それももうすぐだ。来月には結婚式が行われる。夫婦の仲は、やはりとても良く。しかも時間が経てば経つほど良くなっていっている。彼らはその目で、冷徹社長が社長夫人の前では、少しずつその氷を溶かしていくのを見届けてきた。鉄も熱を加えれば柔らかくなりその姿を変える。いくら頑固で厳しい男でも、心から愛する女性に出会えれば、柔らかくなるのだ。しかしその時、彼ら結城社長の表情はさっきとは打って変わって一変し、彼はガタンと音を立てて勢いよく立ち上がった。椅子をのけて、背を向け外へのほうへと歩いていった。数歩進んで会議の途中だったことを思い出し、振り返って悟に言った。「悟、あとはよろしく頼む」悟はすぐに承諾した。そして悟は心の中で、一体また何があったのだろうと考えた。悟はかなり長い間、このように慌てた様子の理仁を見ていない。理仁は大股で会議室を出ていった。彼は自分のオフィスに戻ると、すぐに唯花に電話をかけた。「唯花、この写真は一体どこで手に入れたんだ?」「さっき受け取ったの。誰かがうちの店に届けて、明凛が受けたんだけどね」すると理仁は小さな声で何度か悪態をついた。「あなた、怒らないで。この写真の男はあなたじゃなく、姿がちょっと似ているだけでしょ。あの人たちが親密そうにしている写真を撮ったところで、あなたとは関係ないことよ。辻さんはただ身代わりを見つけてきただけでしょ。ただ、何か企んでいつも私にこういう写真を送りつけて、私の心を乱そうと思ってるのよ。彼女たちの陰謀も成功することはないわ。だけど、いつもこんなふうに親しそうにしている写真を見ているのも目が痛いわ。そろそろどうにかしないと。安心して、私はあなたを誤解なんてしてないから。もし、誤解してしまったら、彼女たちの思うツボでしょ。だったらいっそ私たち
「あなたはとっても綺麗よ。妊娠したってスタイルはずっとキープしているし、それに自立した素敵な女性って感じで、九条さんもかなりメロメロに酔ってるでしょうね」それを聞いて明凛は大笑いした。「悟の家族からはよく食べろ食べろってなんでもかんでも与えられているんだから、なにがスタイルをキープしてるよ。私もうすぐお腹がぷくって出てくると思ってるの。太るに決まってるわ。毎日毎日ペットに餌を与えるみたいに食べさせられて、太らないほうがおかしいでしょ。今はちょっとエクササイズでもして鍛えたいって思ってるんだけど、悟が許してくれないのよ。まあ、だけど私も自分をコントロールできていないわね。前から食いしん坊だったし、妊娠してからはそれがもっと激しくなったって感じよ。一日中草を食べてるウサギみたいに口が止まらないのよね」明凛はそう言いながら、立ち上がってお菓子の入った箱を二つ持ってきた。「これね、うちから持って来たの。うちのシェフが考えた新しいデザートだよ。とても美味しかったから、あなたのために持って来たの」唯花は一箱受け取って言った。「あなたのうちのシェフは腕がかなり良いみたいね。食べてみるわ。美味しかったら、一箱琴ヶ丘のほうに持って帰って、そこにいるシェフに味をみてもらって作ってもらおう」「今週は琴ヶ丘で週末を過ごすの?」「うん、二週間に一回はあっちに行って、家族や親戚と過ごしているからね。それにまだまだいろんな事をお義母さんに教えてもらわないといけないから」麗華は早く唯花に結城家の女主人としての役目を教え込みたかった。そうすれば、自分は肩書きだけで引退できるからだ。しかし、来月は理仁と唯花の結婚式が控えている。唯花はその準備に忙しく、今は姑から女主人として管理すべきことを引き継ぐ余裕がない。「あなたも来る?」唯花は明凛に尋ねた。「いいわね、後で悟に言ってみる。午後高校生たちが授業が終わって下校時間が過ぎてから、私たちもあなた達夫婦と一緒に琴ヶ丘邸のほうで週末を過ごすわ。今こんだけ暑いから、琴ヶ丘のほうへ行けば涼しくて良い休暇が過ごせるでしょうね」琴ヶ丘は景色が素晴らしいだけでなく、自然が多くあの地域を歩いてまわればそこまで太陽の光に晒されることはない。それに、常に風が吹いていて、とても涼しく感じられるのだ。「おばあさんはまだ帰ってき
「凪、凪、凪って、あの女が何だっていうんです?まったくの役立たずで、お母さんが必死に教え込んだって無意味だったじゃないですか。お母さんがあの女のことを諦めた時にはやっと誰が後継者として相応しいか気づきますよ。私をバカにしてる奴ら、覚えておきなさいよ!それから、私が気に入った白山社長もいつの日か落としてみせますから。お母さんも私が彼を追いかけるのを応援してくれてますし」若葉は、後継者と決まっていない今のうちに、まずは玲を口説いて落とそうと考えていた。それから後継者としての身分を取り戻すのだ。そうすれば好きな人も、身分と地位も全て手に入る。これで完璧だ。綾は若葉と凪が争い合い、夫が漁夫の利を得ることを期待している。だからもちろん若葉の後押しをするため、若葉には自分がこの世で最も素晴らしい女性だと思い込ませるようにおだてまくった。黛一族の内部争いに関して、唯花も星城で九条家の力を借りて、静かに注目していた。もちろん、自分自身も毎日楽しく過ごしている。遠く柏浜の黛家の内部争いのせいで、自分の楽しみや幸せを忘れてはいけない。周りには唯花が幸せに暮らすのを妬む人物もいる。絶対に彼女と理仁の家庭を壊してやろうと考えているのだ。金曜日の朝、唯花はわざわざ早起きして理仁と一緒に陽を幼稚園まで送った。それに午後は幼稚園まで陽を迎えに行くと約束し、陽はやっと先生と一緒に幼稚園に入っていった。見送りを終えてから、夫婦二人はそれぞれ出勤していった。唯花は今まずは本屋に行くようにしている。本屋に入ると、明凛が彼女に言った。「唯花、レジの上に大きな封筒を置いてるんだけど、あれはある高校生が持ってきたの。その子が道端で知らない人に突然呼びとめられて、あれを私たちの店に持って行くよう頼まれたらしいのよ。封筒にはあなたの名前が書いてあるわ。触った感じ、写真っぽいけど」明凛はそう言いながら、キッチンのほうへ行き冷蔵庫の中から昨日の昼に夫が持って来た果物を出した。彼女は食べきれなかった分を冷蔵庫に入れておいたのだ。果物を水洗いした後、皿にのせて出てくると、唯花に言った。「その中に入ってる写真、きっとあの恋敵と結城さんにそっくりな男性よ」唯花は自分のカバンを置いてからレジの奥に行って椅子に座り、その大きな封筒を触ってみた。確かに写真のようなものが入
「ええ、彼が昼に顧客と食事をするって」麗華は当たり前のように言った。「だったらあの子にひとこと行けなくなったと伝えたらいいわ。私たち二人、一緒に外食してからショッピングしたことなんてないもの。理仁だって、この私に文句は言えないでしょ」周りはいつも麗華と唯花のこの嫁姑は仲が悪いなどと適当なことを言いふらしている。唯花が毎回パーティーに神崎夫人と参加していて、普段も唯花が琴ヶ丘邸に帰って姑に付き合っていないと言うのだ。二人が公の場で一緒に食事をしたりショッピングしたりする姿も目撃されていないと。麗華はこのような噂話に付き合いたくなかった。彼女と唯花の関係がどうなのかは、自分自身でよくわ
一番重要なことは、姫華と善が気が合いそうだということだ。「僕はアバンダントグループの星城でのビジネスを任される身です。長期的に星城に滞在することになりますので、それは星城でずっと暮らすことと何も違いはありませんね。たまにA市の音濱邸へ帰りますが、その時も来客扱いですよ。母はよく、僕が音濱をホテル代わりに考えていて、数日泊まったらいなくなると言っているんです」姫華は手をテーブルの下に引っ込めて、兄を突っついていた。そして兄のほうへ近づき、小声でこう言った。「お兄ちゃん、善君にそんなプライベートな質問して失礼よ。あなた達はそこまで仲良くないでしょ」姫華と善も何度も会うようになってから、
咲はその車のほうへ顔を向けて、運転手は一体誰なのか目を凝らして見ようとしたが、やはり視界は真っ暗だった。少しの光は感じ取られるのだが、それでも目の前の光景をはっきりと映し出すことはできない。光は目の前にあるというのに、どうしても自分の目には届かない。「君は毎日歩いて店に行ってるんですか?」低い声が響いた。そして、咲はそれが結城家の二番目の坊ちゃんの声だとわかった。辰巳は義姉である唯花に一度してやられて、咲を花屋に送った時に、咲が彼にお礼をして名前を尋ねていた。辰巳は理仁のように自分の身分は隠さず、はっきりと咲に自分が結城家の若者世代の中で二番目に年上の結城辰巳であると教えた
隼翔は自分からソファに腰かけると、何があったのか聞き始めた。「なんだか、そいつらのターゲットははじめから陽君だったような感じだな」隼翔の直感は唯花夫婦と同じだった。「内海さん、君はそいつらの様子を覚えているか?どんな姿だったか絵に書いてくれ、人に頼んでそいつらを暴き出そう」隼翔は裏の世界からは抜け出てきたが、あちらには彼の伝説が残っている。今も、もし彼がその世界の人たちの手助けが必要であれば、彼らも昔同様、彼に助太刀をするのだった。「その人たちは黒いマスクにサングラスをつけていたから、どんな顔をしているかまではわかりません。ただ彼らの背丈とか、体つきとかならわかります。力も
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