LOGINお見合いのその日、内海唯花はまったく知らない人との結婚が決まった。 結婚後はお互いを尊重し合って平凡な生活を過ごすものだと思っていた。 しかし、秒で結婚した夫はべったりとくっついて離れないような人間だった。 一番彼女が驚いたのは、毎回困った状況になると彼が現れ、すべてをいとも簡単に処理してしまうことだった。 彼女が追及すると、彼はいつも運がよかったとしか言わなかった。 ある日、朝日野の億万長者が妻を溺愛しすぎで有名になりインタヴューを受けているのを目にすることに。しかも、その億万長者はなんと彼女の夫と瓜二つだったのだ。彼は狂ったように妻を溺愛していた。その妻とは彼女のことだったのだ!
View More「吉田さん、この花、誰からですか?理仁さんが持って帰るようにって?」その花束を見て、唯花は理仁が届けさせたものだと思った。「理仁さんったらまた何か贈り物を?洋服?私にはもう一生分ほどあるのに」唯花は、洋服が入っているその袋も理仁が彼女に買ったものだと思っていた。彼の洋服はすべて彼女が買うか、オーダーメイドで仕立てるものばかりだ。そして、彼女のものはすべて彼が買ってきたものだ。理仁は唯花の身につけるものがすべて自分が買ったものであることを好んだ。吉田は何か言いたげに口ごもった。まず花束を唯花に手渡した。唯花がそれを受け取ると、中に小さなカードが入っているのが見えた。彼女はカードを取り出して読んだ。そこにはこう書かれていた。「結城様へ、この花束を贈ります。毎日が幸せで楽しい日々でありますように。愛しています」送り主はなかった。理仁に贈る花束なのか?唯花は読み終えて少し呆然とした。これはバラの花束だ。誰かが理仁にバラの花束を贈り、カードには理仁への愛の言葉が書かれている。聞くまでもなく、女性が贈ったものに違いない。一体誰が、夫に花を贈ったというのか?吉田はさらに、そのいくつかの袋を唯花の前に差し出して言った。「若奥様、それとこの数着の洋服とネクタイもです。袋の中にはそれぞれカードが入っており、やはりこのような言葉が書かれております」唯花がこの家に来る前にも、理仁のところにこのようなものが届くこともあった。その時の送り主は姫華だった。姫華が贈り物をする時は、いつも堂々としていて、この人のように送り主を書くのを避けたり、宅配便の配達員を使って届けさせたりはしなかった。配達員の話では、ある男性が多額の報酬を払って依頼しただけで、その男性は「誰かの代わりに届けた」と言ったそうだ。一体誰なのか、その男性は言わず、配達員はさらに知らないという。あまりにも謎すぎて、吉田にも見当がつかなかった。唯花は花束を抱え、くるりと振り返ってソファの前に歩み寄り、花束をテーブルの上に置いた。それから吉田に合図して、数個の袋を渡してもらい、彼女は袋の中から洋服やネクタイを取り出して見てみた。どれもブランド物で、スーツも黒だった。理仁はいつも黒か紺色のスーツを着ている。この人物は理仁の好みをよく把握しているらしく、他の色のスーツは贈
「あなたを気にかけてないなら、一体誰を気にかけるっていうの?陽ちゃんの調子が悪いからでしょ。そうでなければ絶対に一緒に行くのに」唯花はおかしそうに彼をからかった。理仁は車に乗る前に、もう一度陽を抱きしめて言った。「陽君、おじさんは本当に君が羨ましいよ。毎日おばさんにベタベタできるんだから。おじさんみたいに、毎日山ほどやらなきゃいけないことがあるわけじゃなくてね」「おじたん、ぼくが大きくなって、できるようになったら、おじたんの仕事をてつだうよ。そうしたらおじたんも休めるね」陽の幼い言葉に、理仁は笑みを浮かべた。「陽君は本当にいい子だ。おじさんは陽君のこと大好きだよ」理仁は嬉しくなって、陽の小さな頬にチュッとキスをし、笑いながら言った。「おじさんの仕事はすごく大変なんだ。陽君が手伝ってくれるっていうなら、学校が始まったらしっかり勉強しないと。しっかり勉強しないと、そんなことできないよ」陽は力強くうなずいた。「おじたん、ぼく、まじめに勉強するよ。ママが、ちしきは……かえられる……なにかをかえられるって。とにかく、まじめに勉強しなさいって言ってた」母親の言ったことは、陽にはすぐには思い出せなかったが、大体のことは言えた。「そうだね、お母さんやおばさんの言うことをよく聞かないとね」理仁は陽を下ろし、妻のほうを見た。唯花をぎゅっと抱きしめて、二、三回キスしてやりたい気持ちだったが、小さなお邪魔虫がいるのを考えて、やむなく断念した。「唯花、辻社長に会ってくるよ」「行ってらっしゃい」唯花はそう言ってから、少し考え、言葉を付け加えた。「私はきっと寂しくなるわ。陽ちゃんの熱が完全に下がったら、午後、気分転換にどこかへ連れ出して、それから会社にあなたを迎えに行くね」理仁はこれで満足そうに出かけて行った。唯花は陽を連れて屋敷の玄関に立ち、理仁のロールスロイスが何台かのボディガードの車に囲まれて、遠ざかっていくのを見送った。それから、陽の手を取って中へ戻ろうとした。「おばたん、遊びに行きたい」陽は歩きながらお願いした。「陽ちゃん、まだ熱が完全には下がってないから、良くなってから遊びに行こうね?」陽は小さな口をとがらせ、不満そうな表情を浮かべた。彼は他の子供たちのように、大人が自分の要求を聞き入れてくれないと、泣き
「陽ちゃんが病気なのに、家に置き去りにするのは心配だし、あなたも同じでしょ?私が一緒について行ったら、あなたは陽ちゃんを安心して使用人に任せられるの?」理仁は黙り込んだ。彼も確かに心配だった。「次、今度こそ絶対について行くから、そんなに冷たい顔をしないで。二階に行って服を着替えて、早く出かけたら?辻社長を待たせちゃだめよ」「君も一緒に来て、服を選んでくれよ」理仁はそう頼んだ。唯花は陽を抱き上げて立ち上がり、そのまま歩き出しながら言った。「あなたの服、全部私が買ったものじゃない?好きな黒ばかりで、どれも似たようなものよ。適当に一着選べば、全部似合うわ。あなたのスタイルはモデル並みのようなものだし、どれを着ても格好いいんだから。今あなたが毎日しているネクタイも、私が買ったものばかりだし、わざわざ私が買ったのを選ばなくても、適当に一本選ぶだけで、あなたのスマートさに花を添えるわよ」理仁は小声でつぶやいた。「着るのを手伝ってほしいんだよ」唯花は振り返って彼をちらりと見て、笑いながら言った。「じゃ、早くついてきなさい」理仁は笑って、早足で追いつき、唯花の腕から陽を受け取った。「陽君は俺が抱いて行くよ。君が疲れちゃうだろう。陽君、初めて会った時よりずっと重くなったな」「あの時はまだ二歳だったけど、今はもう三歳だもの。一年経って体重が増えてなかったら、私もお姉ちゃんも今頃心配してるわよ」理仁はくすくすと笑った。時間の経つのは本当に早い。陽ももう三歳か。数分後、夫婦二人は陽を抱いて部屋に入った。唯花は入ると、理仁のためにスーツとネクタイを取りに行った。そして気を利かせて、理仁にスーツジャケットを着せてあげた。傍らに座っていた陽はそれを見て、理仁に向かってこう言った。「おじたん、恥ずかしいよ。まだおばたんに服をきせてもらってるの」理仁「……」別に全裸で唯花に頼んだわけじゃない。ただジャケットを着せてもらっただけなのに、この子にからかわれるとは!唯花は笑って言った。「ほら、陽ちゃんまであなたのことを見て恥ずかしがってるわ。こんな大人なのに、服を着るのを手伝ってもらうなんて」理仁は陽に言い返した。「陽君こそ恥ずかしいよ。こんなに大きいのに、まだおばさんに抱っこしてもらって」「ぼくはまだ子供だもん」
瑞雲山邸にて。唯花は姉に電話をかけた後、陽がサンドイッチを食べ終えるのを待ち、それからまた体温を測って理仁に言った。「今の体温は37度7分。また何か別の物理的な方法を試そうか?」理仁は陽に温かいお湯を入れたコップを持ってきて、少し飲むように促しながら言った。「陽君は今食べたばかりだし、少し休ませてからまた試そう。熱が下がるには時間がかかるんだ。焦らなくていいし、心配しなくても大丈夫。田沼先生が薬を処方してくれているし、家にも用意してあるから」「プルプルプル……」理仁の携帯が鳴った。唯花が言った。「陽ちゃんの熱は下がりかけているし、あなたは会社で忙しいでしょう?先に仕事に行って。私が家で陽ちゃんの面倒を見るから」理仁は返事をせず、まず電話に出た。相手は辻社長だった。「辻社長からだ」理仁は夕菜を嫌っていたが、辻社長に対しては相変わらず礼儀正しかった。結局のところ、二つの会社は提携を模索しているところだからだ。しかし、もし夕菜があまりにひどく纏わりついてくるのなら、理仁は目前にある利益を放棄しても、辻グループとは提携したくなかった。電話の向こうで、辻社長は朗らかに笑いながら言った。「結城社長、昼食を一緒にいかがですか?私がご馳走します」理仁が返事をする前に、彼は続けた。「俺たち二人だけです。御社のスカイロイヤルホテルで、個室を予約しておきました。昨夜話し合ったプロジェクトについて、食事の時にまた話しましょう。問題がなければ、契約を結べればと思っています」夕菜は昨夜、大胆にも理仁の手の平を撫でた。辻社長は一晩中娘を叱り、説教したが、それでも理仁には申し訳ないと感じていた。もともと彼が娘を連れて理仁と商談すること自体、理仁のルールを破っていたのだ。理仁は寛大でそんなことを気にしなかった。結婚後の理仁は以前よりずっと度量が大きくなったことに、辻社長はかなり感心していた。愛が理仁を変えたのだ。しかし、娘があんなことをしてしまったことで、辻社長は自分を責めずにはいられなかった。彼は娘をとても可愛がっていたが、それにも限度があった。何かあっても、娘に他人の結婚生活に割り込むことなど許さない。そこで辻社長は、他の会社を考慮せず、結城グループと提携することを決めた。この提携関係をもって、理仁に謝罪の意を示そうと思ったのだ。
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