未央は目をキラキラ輝かせ、芸術作品の前で立ち止まりながら、真剣な顔で見入っていた。
悠生は両手を後ろで組む仕草をし、ゆっくりと彼女の後ろにつき、その真面目に作品を見る横顔を見つめ、胸の奥にはある感情が揺れた。
「白鳥さんはこの絵が好きなの?」
未央は頷いた。好きなことについて説明する時、目がキラキラとして、饒舌になった。
「これは海外の有名な巨匠の傑作です。先生はとても素晴らしく、かつて……」
そこで、未央ははっとして、少し恥ずかしくなった。
「すみません、ちょっと興奮しすぎて」
悠生はじっと彼女を見つめ、口元が緩んだ。「いいんだ。俺も聞いていて楽しいよ」
これまで、未央には落ち着いている人で、時には迅速に行動できる人だという印象を持っていた。
しかし、今は彼女には乙女のような一面もあることを発見した。
未央はほっとし、話を続けた。
二人は肩を並べて、会場をゆっくり歩いた。
しかし、自分たちの行動が二階にいるある人物にじっくり観察されていることに気付いていなかった。
雪乃は今回の美術展の特別ゲストとして招待されていた。ふとした瞬間、ある聞き覚えのある声がした。
下を見下ろすと、未央の姿が見つかり、その傍にはイケメン男性がいた。
雪乃は何かを思いつき、携帯を取り出し、角度を変えながら、何枚も写真を撮った。
すると。
それらの写真を連絡先のトップにしている人に送信した。
「ピコン!」
博人は会議室に座り、向こうには虹陽市から転属してきた管理職の部下たちが座っていた。
今後、彼らとともに立花市で子会社を立ち上げる予定だった。
その時、携帯の通知音がした。
博人はちらりと携帯の画面を確認し、雪乃からのメッセージだと分かると気に留めず、会議を続けようとした。
しかし。
「ピコン!ピコン!」
通知音が続けて鳴り響いた。
博人は眉をピクリと上げ、不機嫌になった。携帯を取りあげ、マナーモードにしようとした瞬間、操作を誤ってメッセージを開いてしまった。
すると。
ある二人の非常に親密そうな写真が目に飛び込んできた。写真には未央と悠生が写っていた。
二人の距離は極めて近く、まるでキスしているかのような姿勢だった。
「ボキッ――」
博人の顔色が非常に暗くなり、手加減できず、うっかりとペンを折り曲げてしまった。
彼はその写真を