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第12話

Author: 冷たい花火
病状が悪くなったし、悠斗は再び手術室へ運ばれた。

仕事を終えたばかりの中島家の両親は知らせを聞いて病院に駆けつけたが、医師から悠斗の右手が完全に使い物にならなくなったと告げられ、まるで雷に打たれたような衝撃を受けた。

二人にとって悠斗は一人息子であり、早く結婚して家庭を持ち、中島グループを継いでくれることをずっと願っていた。

ところがここ数年、彼はグループで経験を積むどころか、まともな恋愛にも興味を示さず、パイロットになる夢を追い続け、一人の女性のために無茶ばかりしてきた。

そして今、大事な右手まで駄目にしてしまい、唯一まともと言えた将来の道さえ自ら閉ざしてしまった。

あまりのショックに両親は胸を締め付けられ、その場で倒れてしまい、そのまま救急室に運ばれてしまった。

手術が終わり、悠斗は集中治療室に移された。

麻酔が切れて目を覚ました彼は、ぼんやりした視界の中で、思わず名前を呟いた。

「明美……」

1秒、10秒、60秒が過ぎても返事はない。

今は病室にいないだけだろうと思い直した彼は、ドアの外から足音が聞こえてきたときに、もう一度名前を呼んだ。

だが、返ってきたのは見知らぬ声だった。

「中島さん、右手の神経は完全に断裂しています。

回復する見込みはありません。今後、重いものを持つことはできません」

その言葉だけで、悠斗の心は底なしの闇に沈んでいった。

包帯で巻かれた右手をゆっくりと持ち上げ、指を揃えようと力を込めてみるが、どうしても思うように動かない。

その様子を見た看護師が慌てて止めに入り、もう一度丁寧に注意を繰り返した。

その言葉ははっきりと耳に届くのに、まるで遠くの宇宙から響いてくるように現実感がなかった。

乾いて色褪せた唇を開き、彼はぼんやりと尋ねた。

「俺……まだ飛行機、操縦できる?」

「飛行機?この状態じゃスマホ操作のも大変ですよ。早めに別の道を考えたほうがいいんじゃないですか」

看護師は小声でつぶやきながら、新しい薬を取り替え始めた。

悠斗の瞳に宿っていた光が少しずつ消え、そのまま静かに目を閉じた。

一時忘れていた記憶が、潮のように押し寄せてくる。

右手が駄目になる前に起きた出来事を思い出した。

スポーツカー、キス、乱闘、バラの花、そして夢乃が心の底から吐き出した、耳に刺さるほど痛い本音の言葉。

次々
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