真夕は身につけていた白いシャツの襟元を整え、それから振り返って司を見た。
スマホはベッドサイドのテーブルの上に置かれていたが、彼はそれを一瞥することもなく、出ようともしなかった。メロディアスな着信音が何度も響いても、彼は無視し続けた。
彼が彩の電話に出なかった。
それは、おそらく初めてのことだったかもしれない。
司は背が高く、脚も長く。彼は立ち上がると、手を伸ばして黒いスーツの上着を脱いだ。
彼の中には白いシャツを着ており、背中には大きな血の染みが広がっていた。真夕は、祖母が彼の背中に振るったあの鞭のことを思い出した。
実際、あの一撃で彼の肌は裂けていたが、男の人は骨が硬いのか、彼は痛みを顔にまったく表さなかった。
その傷はきちんと処置しなければいけない。放っておくと、感染するかもしれない。
真夕が口を開いた。「救急箱、持ってくるよ。背中の傷、手当てしてあげる」
司は振り返って彼女を見つめ、薄い唇で美しい微笑みを浮かべた。「さっきは無視してたくせに?」
真夕は腰をかがめ、救急箱を取り出した。「おばあちゃんに心配かけたくなかっただけよ」
司はベッドに腰掛けた。真夕が言った。「シャツ、脱いで」
司は素直に白いシャツを脱ぎ、鍛え抜かれた上半身を露わにした。真夕にとって、彼が服を着ていない姿を見るのはこれが初めてだった。肩幅が広く、筋肉は引き締まり、ウエストは細い。ジム帰りのような誇張されたエイトパックではなく、洗練された六つの腹筋だった。
Vラインの腹筋は黒いスラックスの中に消えていき、腰には高級感漂う冷たい黒いベルトが巻かれていた。
まさに完璧な男の美しさに、真夕の小さな顔は一瞬で真っ赤になった。
どこを見ればいいのか、わからなかった。
その時、司の艶やかな、からかうような声が響いた。「これで、おあいこだな」
真夕はぽかんとした。「おあいこって、何が?」
司「さっき俺が君を見たから、今度は君が俺を見た、ってこと」
真夕「……見てないし!」
司「じゃあ、なんで顔が赤いんだ?」
真夕「……」知ってたら助けなかったのに!
真夕は消毒綿棒で彼の傷口を丁寧に処置し始めた。この一撃は深く、肉が裂けて血が滲み、見るだけでぞっとするような傷だった。
長い間放置されていたため、炎症の兆しも見られた。
真夕はできるだけ優しく手を動かし、彼