私は胸がぎゅっと締めつけられるような気がした。無意識にソファの上のバッグをちらっと見たが、すぐに視線をそらした。
あのお金は須恵ちゃんが貸してくれたものだ。絶対に、絶対に渡してはいけない!
しかし、母はすぐにバッグを見つけ、私が守ろうとするより早く、それを奪おうとした。
私は必死にバッグを胸に抱え込んだ。
しかし、頭皮が引っ張られるように痛み、思わず仰け反ると、母が頭上から怒鳴りつけてきた。
「他人の肩ばかり持ちやがって!お前もお父さんと同じゴミだ、役立たずだ!」
結局、私は母にバッグを奪われてしまった。母はバッグの中身を床にばらまき、数枚の紙幣がふわりと舞い落ちた。
母はその紙幣をかき集めると、満足そうに去って行った。
私は床にうずくまり、涙をこらえながら須恵ちゃんに申し訳ない気持ちでいっぱいだった。
でも、やっぱり私たちを助けてくれたのは須恵ちゃんだった。数分後、出て行ったはずの母が、何者かに蹴飛ばされて戻ってきたのだ。