須恵ちゃんはその夜、家に残って私たちを慰め、明日の朝一緒に警察へ行こうと言った。
「お母さん、本当にひどすぎる......これは虐待だ、絶対に彼らの親権を剥奪できるはずだわ!」
そう言って、須恵ちゃんは拳を握りしめた。
でも予想外にも、翌朝、私たちが警察に行く前に、警察官のおじさんがやって来た。
彼は真剣な顔をして言った。
「君たちのお父さんとお母さんが事故にあったんだ。家に他の大人はいるか?」
私と弟はぽかんとした顔をして首を振った。警察官のおじさんは私たちを病院に連れて行ってくれた。
それが、母が酔っ払った父を探しに行き、車庫で喧嘩を始めたからだった。
母は車の前に立って、父を止めようとした。
しかし、父は酒に酔って、アクセルをブレーキだと思い込み、車で母を跳ね飛ばして、そのまま柱に突っ込んでしまった。
父は脳出血を起こし、母は下半身を粉砕骨折した。
集中治療室の外で、警察官のおじさんは私たちを慰めてくれた。
「医者はまだ危険な状態だと言っているけど、前向きに考えれば、もしかしたらただの麻痺かもしれないよ?」
私は弟の手をぎゅっと握りしめ、ほんの少しの希望を持った。
もし、本当にあっけなく死んでしまったら、楽になれるかもしれない。
しかし、二人とも驚くことに命は救われ、二人とも生命の危機を脱した。