翌朝、神崎家。
俺は監視カメラの映像を見つめていた。桜の部屋で何が起きているのか、全てを把握している。
美羽が化粧台の引き出しを開け、中からアクセサリーをいくつか取り出してポケットに隠した。
俺は車で美羽を尾行し、彼女が盗んだアクセサリーを二次販売のブランドショップで売却するのを確認した。
さらに、彼女を追って街外れの狭い路地へ向かう。彼女の家がそこにあった――賃貸のボロボロの家だ。もともと家族が住んでいた家は、彼女の継父がギャンブルで失ったらしい。
美羽が家に入ると、継父はいやらしい笑みを浮かべながら彼女を上から下まで舐め回すように見つめ、バッグを奪おうと手を伸ばした。
美羽は眉をひそめ、一歩後ずさりしてバッグを継父に投げ渡した。
俺はタバコを一服しながら静かに110番通報した。
家を出た美羽は、すぐに警察に呼び止められた。
「白崎美羽さんですね。窃盗の容疑でご同行いただきます」
「何の話ですか!」
美羽は眉間にしわを寄せて反論するが、周囲の住民たちはその様子を見ようと外に出てきた。
俺は遠くから、美羽が警察車両に乗せられるのを見届けた。
翌朝、警察署で。
美羽は一晩中取り調べを受け、すっかり精神的に追い詰められていた。
留置室の隅で膝を抱え、ぼんやりとした表情で座り込んでいる。
俺は逆光の中に立ち、彼女をじっと見下ろした。
気配に気づいた美羽は顔を上げ、俺の姿を確認するなり目を輝かせて鉄格子にしがみついた。
「幸也!
幸也、迎えに来てくれたんでしょ?」
俺は冷淡な視線を彼女に向けるだけだった。
「白崎さん」
距離を感じさせるように静かに声をかけた。
「盗みを働いた者は、それなりの罰を受けるべきだ」
美羽は慌てて弁解し始める。
「違うの、幸也!聞いて!私の継父が私を脅したのよ。あの人、私のお母さんを殴って、お金を要求してきたの!」
彼女は必死に言葉を重ねるが、俺の無感情な目を見て、言葉を詰まらせた。
すると、彼女の態度が一変し、声を荒げた。
「幸也、あなた本当にそれでいいの?忘れたの?佐々木さんはあなたを裏切ったのよ!それを助けたのは私よ!私だって心臓病で死にかけたのよ!」
「心臓」という言葉が出た瞬間、俺の表情が僅かに変わった。
ゆっくりと鉄格子に近づき、彼女の首を掴む。
力がこもる手のひらに、美羽の