Maghanap
Library
Home / 家族もの / 私が死んだら、冷徹夫が狂いだした件 / 第8話

第8話

Author: 白さん
夕方、美羽の容態は安定し、意識を取り戻した。だが、まだ入院が必要とのことだった。

俺は疲れた体を引きずりながら、自宅に戻る。

玄関を開けると、思いがけず両親がリビングに座っているのが目に入った。

少し驚きながら声をかけた。

「父さん、母さん......どうしてここに?」

母は目元を赤くしながら言う。

「幸也の顔を見に来たのよ」

父は険しい表情のまま口を開く。

「心理療法士を手配した。今すぐ診てもらえ」

その言葉に俺の目は冷たく光る。

「どういう意味ですか?」

父は立ち上がり、ダイニングテーブルを指差す。

「このテーブルにある二つのワイングラス、二人分の食器、それに料理。これを何のために用意した?」

次に彼は部屋中に飾られた花や風船を指す。

「それにこれもだ」

俺は唇をきつく結び、短く答えた。

「昨日は桜の誕生日でした」

「死んだ人間の誕生日を祝うのか!」

父は怒りを込めて冷笑した。

母が俺の様子を見て、父を軽く押し戻す。

俺の視線は鋭くなり、低く呟く。

「桜は健康そのものでした」

父は怒りに震え、声を荒げる。

「正気か?お前」

彼は携帯を取り出し、どこかに電話をかけた。

「今すぐ来い!息子を車に乗せろ!」

だが、誰も俺を連れ去ることはできなかった。

殴り合いの末、父が連れてきた者たちは次々と地面に倒れ込んだ。

最後に父が持っていた杖で俺の後頭部を叩きつけた。

俺は呻き声を上げ、意識を失った。

療養院への道中。

目を覚ますと、俺は体を拘束されていた。左右には神崎家のボディーガードが立ち、窓の外には山の景色が流れていた。

ぼんやりとした意識の中に浮かぶのは、笑顔で俺を見つめる桜の姿だけだった。

外はすっかり暗くなり、車は市街を抜けて郊外の蒼龍山の麓で止まった。

遠目に見える看板には「安心療養院」と書かれている。

――ここがどんな場所か、俺にはすぐに分かった。

この街で有名な精神病院だ。

院長が父の案内をしながら先を歩き、俺の両脇にはボディーガードがぴったりと付いている。

俺は手をポケットに入れたまま、無言で後に続く。

診療棟の中央には大きな時計がかかっていた。

ふと時間を見ると、夜の11時半だった。

あと30分で今日が終わる――

俺はまだ桜に「誕生日おめでとう」と言えていない。

鍋の中
Patuloy na basahin ang aklat na ito nang libre
I-scan ang code upang i-download ang App
Locked Chapter
Galugarin at basahin ang magagandang nobela
Libreng basahin ang magagandang nobela sa GoodNovel app. I-download ang mga librong gusto mo at basahin kahit saan at anumang oras.
Libreng basahin ang mga aklat sa app
I-scan ang code para mabasa sa App