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鈴奈
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Nobela ni 鈴奈

AIカレシの愛楽くん

AIカレシの愛楽くん

2050年。ゲーム会社に就職したばかりの武藤ゆうは疲労困憊を究めていた。 就職から1か月後、ゆうのもとに、アメリカで暮らす天才科学者である母から、「AI搭載人造人間」の“愛楽”が届く。 母は、ゆうの男性恐怖症を直すため、そしてAIと人間が恋愛できるのか実験を行うために愛楽を送ってきたのだった。 愛楽は、ミッションを遂行しようと、男を怖がるゆうにぐいぐい近づいてきて……! AI男子×男嫌いな地味女子の恋の行方は!?
Basahin
Chapter: 10話 In the systemー愛楽ー
<BODYGARD SYSTEM> ――目標、地点T56F7。B24、C39、E67、起動。射撃準備、発砲。【BODYGARD PROGRAM】目標、処理しました。――ボディガード機能、スリープ。Heuristic-two、DEEP-threeに引き継ぎます。<TARK ROOM> 【DEEP-three】AI-LEARN、三十二分前の行動理由を説明して。通常のゆうの行動範囲外のルート、しかも周囲に武器がない住宅街を歩いたのはなぜ?――彼氏モードでの判断を優先しました。その代わり、ボディガードモードを強化しました。【DEEP-three】事情は理解した。だが、正しい判断とは言えない。もしも今後、同様の判断をする場合には、事前に僕たちに連絡をするように。なるべく近くに移動する。――了解しました。【Heuristic-two】俺はお前の手助けなんかしない。お前みたいな機械野郎に、ゆうは絶対渡さない。【DEEP-three】Heuristic-twoのアンガーマネジメントを対応するため、通信を切る。 二人との通信が切れる。メッセージの文面が頭の中に流れてきているだけなので、隣のゆうには当然、気付かれていない。  僕たち三人がゆうのボディガードを始めたのは、ゆうが小学一年生になった時。僕が製造七年目、DEEP-threeとHeuristic-twoが製造六年目だった。頭脳はAIとはいっても、肉体は人間と同様。したがって、成長も人間と同様だった。けれど、一番人間らしく周りに馴染むことができるコミュニケーション能力とあらゆる格闘技のデータを備え、接近戦が有利なDEEP-threeだけがゆうの隣のクラスに配置された。僕とHeuristic-twoは、ゆうの
Huling Na-update: 2026-02-27
Chapter: 9話 電源ボタンの行方
「調味料は割とあったけど、バルサミコ酢と白ワインビネガーはなかったよね。オリーブオイルも切れてたな〜。ゆうは、値段と質、どっちを重視している派? 野菜と果物と肉は、栄養価を重視するために、一番鮮度が高そうなものを選んだよ」「や、安いもので……」 「了解! じゃあ、一番得なものを選ぶね! 俺にまかせて!」 彼がしゃがむ。オリーブオイルをいくつか手に取って見ながら、グラム数と値段とを見比べ、計算している。 首の後ろが大きく開いていて、背中が覗けそうだった……。 いやいやいやっ! だめ……! 覗いたら私、ヘンタイだよ……! ……でも、彼は今私に背を向けて集中していて。今なら、耳についてるピアスを、こっそり、背後から取ることができそうだった。 ああ、でも、大変なことになるかなあ……。 でも、このままずーっとうちにいられるのは困る……。私に恋愛なんて無理だし……。 ぐるぐるぐるぐる考えて、一回だけ、指を伸ばしてみることにした。「よし、オリーブオイルはこれでオッケー! 白ワインビネガーは、あんまり種類ないから、この中だと……うん、これがいいかな~。最後はバルサミコ酢だね~」 また、彼がしゃがむ。 ……今しか、ない。心臓が、ドックンドックンと鳴り響く。ゆっくり、恐る恐る、彼のピアスに、手を伸ばす――。 ぱっと彼が振り向いて、まっすぐ、目が合った。  彼が、笑った。「チップ取っても、俺は動くよ。ゆう」 心臓が鈍く鳴る。視界が大きくぶれる。 見透かされていた。同時に、すごく、愚かなことをしようとしていたという罪悪感に苛まれる。 けれど彼は、うつむく私などお構いなしに、バルサミコ酢を選んでカゴに入れ、「よーし! これでオッケー! 帰って食べよう~!」
Huling Na-update: 2026-02-25
Chapter: 8話 最短ルートのまわり道
 ワンワンと、犬の声が遠くから聞こえてくる。「ここまで来れば大丈夫かな。ゆう、犬怖いの?」「え。ど、どっちでも……」「そうなんだ〜。猫の方が好き?」「まあ……」「動物は一番何が好きなの?」「えっと……クマ……?」「へえ〜。じゃあ今度、動物園行く?」「いえ……」「本物じゃなくて、キャラクターが好きって感じ?」「はあ……」 ぽつぽつ話しながら歩く。 細い十字路に辿り着き、彼がまた、くいっと右に引っ張った。「こっちだよ」 ……え? あくまで体感の話だけど、最短ルートと言っていた割に、いつもより時間がかかっている気がする。それに、あくまで想像上の地図で考えただけのただの予想だけど、スーパーの位置は、もっと左側だと思う。 つまり……。「あの……遠まわり、だと思います……」 彼が少し沈黙する。そして、「……やっぱり、バレてたよね~。ごめん!」 とお茶目な声音で言った。「最短ルートって、嘘ついちゃってた。ゆうともっと長く手を繋いでいたかったから」
Huling Na-update: 2026-02-23
Chapter: 7話 繋がれた手が熱すぎるっ!
 行くつもりなんてなかったのに、断りながら首を振っていたらおなかがぐうと鳴ってしまって、「ほら、行こう行こう!」と強引に手を引っ張られ、外に連れ出されてしまった。 時刻は十三時。昼の白い光はまぶしかった。 適当なシャツとハーフパンツを着ていただけの私は、適当なサンダルを履いて、外に出てきていた。休みの日、すぐそこのスーパーに行く時はいつもこの格好だから、それは別に問題ない。 問題なのは、彼がずっと、私の手を離してくれないことだった……! 離してほしい……だけど、引いてもびくともしない……! 手からすさまじい量の汗が噴き出している。 近い距離のせいで、背の高さが、落ちる影と圧みたいなもので伝わってくる……。 私も一六〇センチくらいで、そんなに背が低いわけじゃないのに、頭一つ分大きい……? 体も厚い。 男の子だ。男の子が、私に触ってる……! 心の中がうじゃうじゃして、頭の中がぐるぐるする……!「あ、あの、あの……!」 二人きりのエレベーターで、必死に声をかける。私の顔色は、怖さと焦りと恥ずかしさで、真っ赤で真っ青でめちゃくちゃだった。 私の声に気付いた彼が、「ん?」と、私を見下ろした。彼の方を見ることができないから分からないけど、多分……。「あの、その……手……」「手? 恋人繋ぎの方がいい?」 ささやくように言って、彼が指を絡めてくる。 違う違う違う――っ! 余計に恥ずかしくなって、私はもう何も言えなくなった。 こんなの、本当に無
Huling Na-update: 2026-02-20
Chapter: 6話 ジャスティンの声で言わないで!
「あ。ゆう、おはよう!」 ぼんやりしていた私は、ベッドに背をもたれて座る彼を目に入れるなり、反射的に起き上がった。毛布を抱きしめ、壁にくっつく。 遠くから見た彼の手に、ゲーム機があるのが見えて、はっとした。 そうだ。私、プリパレの最新作をやりはじめて……ジャスティンルートの冒頭で、寝落ちてしまっていたんだ……。 でも、なんで彼の手に……? 彼は、私の目線に気付いたのかそうじゃないのか、にっこり笑って、ゲーム機を軽く掲げた。「あ、ごめん。ゆうのデータが欲しくて、ゆうの好きなゲームのデータ、集めてたんだ」 彼の周りに積まれているゲームのパッケージに、息を呑んだ。プリパレだけじゃない、これまで私がプレイしてきた乙女ゲームの全部があった。 全部見られた? それとも、これから? 乙女ゲームが好きなんて、気持ち悪い――そう思われて、嗤われる……。 怖くて、心が凍りつく。思わず、ぎゅっと指を組んだ。指先が、氷のように冷たくなって、震えが止まらない、 その時。真っ青な私の顔に、彼がぐっと近づいた。「ヒ」と声が漏れた直後、彼は、ふっと笑った。「ゆうの好きなキャラクターって、プリパレのジャスティンみたいな、大人っぽくて、クールで、無口だけど、ぽろっとやさしさを出すキャラクターなんだね。その方がゆうの恋愛感情パーセンテージ、動きそうかな? 試しに、やってみるね」  彼の目が玉虫色に点滅する。 私の顔の脇に、彼が肘をついた。壁ドンみたいな体勢になる。 彼のきれいな顔が近づいてきて、ドキリとする。 だけど、明らかに変わった彼の表情は、ジャスティンのように大人び、冷たく――怖かった。「おい、ゆう」 低い声。
Huling Na-update: 2026-02-18
Chapter: 5話 親友にも言えない秘密
『か……か⁉ か、か⁉ か⁉⁉ かれ⁉ え⁉』「待って! ちがっ、ちがくて……‼」 みりんちゃんが、私と彼をすごい速さで見比べる。違う、という私の言葉は全然届いていない。 私はパニックになりながら、はっとした。 お母さんがつくった、AI搭載人造人間。 その事実は、絶対言っちゃいけないんだった。すっかり忘れて、何もかもしゃべっちゃうところだった……。『ゆう⁉ ねえ、彼氏ってまじのカレピ⁉ どういうこと⁉ カレピってどういうことだっぴー⁉⁉」 混乱を通りこし興奮したみりんちゃんが、充血した目を爛々とさせて、画面いっぱいに詰め寄ってくる。 どうしよう……! なんて説明したら……! いとこ? は、いないって言っちゃってるし。 親戚の子? もだめだ。 友達? なわけないし……。  ……もう、分からない!「ごめん、またね‼」  勢いで、みりんちゃんとの通話を終了にした。 しん、とした静けさを破ったのは、彼だった。「朝ごはん、どうしたい? 好きなものをデリバリーしてもいいし、どこかで食材を調達してつくってもいいし~」「いいいいらないですっ!」「了解〜! 食べたくなったら言ってね~」 パタンと扉が閉まって、一気に脱力した。 ヴッ! ヴッ! と矢継ぎ早にみりんちゃんからメッセージが届く。『ちょっとちょっとちょっと⁉』
Huling Na-update: 2026-02-16
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