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光煌の逆転姫~その女、追い詰められるほど煌めき輝く~

光煌の逆転姫~その女、追い詰められるほど煌めき輝く~

名門貴族、パルテレミー伯爵家の令嬢として生を受けたジャンヌ・パルテレミー。 彼女は追い詰められるほどに力を発揮する『大逆転』という加護を持っていた。 その一方で、とある理由から不義の子として疑われ忌み疎まれていた彼女は、不遇の少女時代を過ごし捨てられるようにして家を飛び出すと、その力を武器に賞金稼ぎという無頼の道を歩む事となる。 その道の途中、己の出生の秘密を知った彼女は、自らの未来を切り開く為、世界に破滅をもたらす者達との戦いに身を投じていく…… その戦いの果てに、ジャンヌは幸せな未来を掴み取る事が出来るのだろうか?
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Chapter: 戦いに持ち込むもの
「ありがとう。では、仕切り直しと行こう!おおおっ!」「また来るっ、今度は!」 ジャンヌは冷静にシーザーの動きを見極め、迎え撃つことにした。先程の三連撃は、予想外のタイミングだった事もあってジャンヌは服を斬られてしまったが、きちんと冷静に対処するならば、そう後れを取る攻撃ではない。「てぃっ!せいっ!はあっ!」「また三連撃……けどっ!」 三連撃の最中に反撃する隙は無いが、それらの動作が終わった後ならば話は別だ。生物は無限に動き続けることなど出来はしない。特に渾身の力を込めた攻撃ならば、尚更その直後には動きが止まるか、隙が出来るものである。だが、シーザーはその隙を、左手の盾を巧みに使う事で完璧に隠していた。ここでも、ジャンヌの反撃をシーザーは盾で防ぎきったのだ。これには、傍で見ていたソロも瞠目していた。「……大したもんだな」「え?ジャンヌさんがですか?」「いや、シーザーが今の反撃を防いだことさ。ジャンヌの攻撃はああ見えて、かなり重い。にもかかわらず、シーザーはさっきも今も、しっかりと盾で防いでいただろう?自分の攻撃直後で、防御にまで力が入りきらないはずなのに、あれを受けてもビクともしてないというのは、相当な鍛錬を積んで体幹がしっかりしている証拠だよ。だから、大したもんだって言ったのさ。普段の様子から見てもう少し頼りないと思っていたが、そんな事もなさそうだな」「あ、あはは……」 (王子様なのに、評価が低いなぁ……) ジーナにしてみれば、シーザーは自分の国の王子である。本人曰く、次期国王だと豪語しているのだが、ジャンヌ達からは頼りなく思われていたというのは、何とも切ない話だ。そうは言っても、ジーナ自身、シーザーの事をそこまで高く買っていた訳でもないので文句は言えない。  そもそも、ジャンヌは昨晩のようにハバキリの力をほとんど解放していない。いわば、片手落ちの状態だ。もしも、ジャンヌがシーザーを殺すつもりで本気を出していたならば、あの盾ごと腕や胴を斬り捨てられていたに違いない。それを考えれば、評価が難しいのも事実だった。「鬱陶しいわね、その盾……!」「ふっ!
Last Updated: 2026-05-06
Chapter: シーザーvsジャンヌ
 宿の中庭に連れて来られたソロは、かなり不機嫌そうな表情をしている。そんな彼を連れてきたジーナは心苦しそうだが、中庭の中心でシーザーと対峙するジャンヌはとても嬉しそうだ。20万ドルゴの臨時収入が、相当嬉しいらしい。「まったく、久々にゆっくりと魔法の創作でもしようと思っていたところだったのに……」「ご、ごめんなさい、ソロさん。ジャンヌさんが連れて来るようにって」「何ブツブツ言ってんの、ソロ!いいじゃない、少しくらい。シーザーと試合するだけで20万ドルゴよ?こんなラッキー、中々ないわよ」 ニコニコと笑いながら言うジャンヌを見て、ソロは溜息を吐いた。20万ドルゴは、|Neck《賞金首》に懸けられた賞金としてみれば大きな金額ではないが、一般的な庶民の平均月収クラスの額ではある。ジャンヌの言う通り、それがシーザーと試合……命のやり取りですらない戦いをするだけでもらえるなら、十分破格だ。相手がNeckなら命の危険もあるが、そうではないのだ。「はぁ……確かに、シーザーの実力を知っておくのは悪いことじゃないがな。仕方ない、二人共こっちへ来い」 ソロはジャンヌとシーザーを呼ぶと、二人に向けて小さく呪文を唱え、印を切った。そしておもむろに、懐から小さな人形を取り出して宿から借りてきたであろう小さなテーブルの上にそれを置く。布と綿で作られたその人形は、ずいぶんと不格好で辛うじて人の形をしているように見える。ジャンヌもシーザーも、ジーナさえも怪訝な顔である。「なにそれ?」「これは身代わりの人形だ。今二人にかけた魔法は、この人形と二人を繋いでくれる。二人が範囲内にいれば、ダメージを負ってもこの人形が肩代わりしてくれるのさ」「へぇー!そんないいものがあるなら、なんでもっと早く教えてくれなかったのよ」「それほどカバーできる範囲が広くないのと、一度範囲を決めたら解除するまで動かせないんだ。だから、実戦で使うのは難しいんだよ。……あと、人形を作るのも中々難しいしな」 最後に小さな声で囁いたのがソロの本音だろう。彼は魔法に関しては右に出る者はないと言われているが、手先はそこまで器用ではない。というより、この人形を見る限り、
Last Updated: 2026-05-05
Chapter: シーザーの願い
 ソワレに着き、一息ついたジャンヌ達は、ソロの提案で数日この街に留まることとなった。というのも、アーデを通して、この後訪れる豪雨の予兆を捉えたからである。 本来、森に住む魔獣であるフォレストオウルには、ある程度の天候を読む能力が備わっているらしい。いかに魔獣と言えど自然の猛威に逆らうことは不可能で、嵐や洪水、積雪や落雷といった極端な自然災害に対しては勘が働くもののようだ。人間でさえ空の様子を観察して雨を予想したりできるのだから、人より優れた感覚を持つ魔獣にもそれが出来るのは当然のことなのかもしれない。産まれた時からソロと一緒に暮らしているアーデもまた、他のフォレストオウルと同じく、天候を読む事が出来た。そのイメージをソロと共有する事で、この先数日間、激しい雨が降る事を予測したようだ。 幸い、宿は格安で泊まれるので、数日滞在してもそこまでの痛手にはならないはずだ。昨日倒したナタンの賞金が降りるのは彼の遺体が篤国に届いてからになるから、しばらく先になりそうだが、彼の首に懸けられた賞金は100万ドルゴほどもあったので、まとまった金額の目途が立っているのも大きい。  この街でも稼げる仕事が見つかればそれに越したことはないのだが、そこまでは望み過ぎだろう。 更に言えばこの先、ソワレを出るとしばらくは森林地帯が続き、宿を取れそうな街までは数日以上かかる見込みだ。森の中で豪雨に見舞われれば、そのリスクはとても大きい。多少の雨ならば木々が雨避けになってくれるが、森の中はどうしても水はけが悪く、足場も悪くなりがちなのでキャンプを張るのも一苦労だ。その為、出来るだけ雨を避けようというのがソロの提案であった。「うわ、凄い空の色……あの赤さだと、今夜くらいから一雨来そうね」    窓の外に見える空を見上げて、ジャンヌがポツリと呟いた。決してアーデの予想を信じていなかった訳ではないが、改めて空の色合いを見てしまうと口に出したくなる。それほどに、空の色は濃い赤色をしていた。「ホントですね……そう言えば、お父さんも、こうして空の色を見て明日の天気を予想してました。昔は鉱山で働いていたから、大雨の時は鉱山が休みになるんだって」「ああ、万が一、坑道に大量の水が流れ込んだら大変だもんね。うぇ、この間の湖に落ちたの思い出しちゃった……」 そう言って、ジャンヌは見たこともない渋い
Last Updated: 2026-05-04
Chapter: 二つの結末
「……負けた?ナタンが?」 エルドレッドがそう聞き返すと、フードを被った人物の一人が頷き、その場は時間が止まったような静寂に包まれた。だが、静かだったのはほんの一瞬だけで、エルドレッドの隣に座っていたグレッグが苛立つように声を上げ、静寂はいとも簡単に打ち破られた。「バカな!奴の加護は使い方次第では無敵の能力なのだぞ。負ける事などあり得るはずが……まさか、加護を使わなかったのか!?」   「落ち着いてくれ、グレッグ。ナタンの|誓約《ユーラティオー》は確かに強力だったが、欠点もあった。そこをつかれた可能性もある。ダーラ、詳細を」   「……」 ダーラと呼ばれたフードの人物は一言も発さず、黙って何かを取り出して円卓の上に置いた。それは、ナタンが円卓から出ていく際に、左手に持っていた小さな結晶と同じものだ。それは彼女の持つ加護によって作られた結晶であり、どんなに離れていても情報の共有と保存が出来るという代物である。    余談だが、エルドレッドの言うナタンの加護・|誓約《ユーラティオー》の欠点とは、相手が取引に応じなければその効果が発揮されないという点にある。 |誓約《ユーラティオー》の正体は、非常に深い催眠のようなものだ。それは相手と言葉を交わし、その了承を得ることで相手の心を縛る力となる。ジャンヌ達の周囲の風景が変わったように見えたのは、催眠状態に入った事による幻覚である。  その能力ゆえに、まず第一に相手がナタンの言葉に耳を傾けなければならない。ナタンがどこか気安い様子で、戦いの最中にあっても休息を入れてジャンヌを挑発していたのはそれが理由だ。普通であれば、戦闘中に敵の話を聞こうとする人間は少ないだろう。ナタンは饒舌に語りながらわざと隙を見せることで、自分のペースに引き込んでいたのだ。 また、|誓約《ユーラティオー》はその性質上、予め能力を知っている者には容易に対処されてしまうという弱点もあった。何しろ、一切の口を利かず、黙っているだけでナタンの加護は封殺できるのだ。相手をカタに嵌めてしまえば無敵の能力となり得るとはいえ、その弱点はあまりにも大きい。彼が故郷の篤国で大量の殺人を犯したのも、自らの加護の秘密を守る為だ
Last Updated: 2026-05-03
Chapter: 剣心一如
「ふん、仕切り直しという訳か。よかろう、腕試しをせよとの命令であったが、使えぬなら殺せとも仰せつかっておる。死にたくなければ、精々本気で抗ってみせるがよい!」 ナタンがそう言い放つやいなや、ジャンヌとナタンは互いに構えを取って睨み合った。そんな二人の凄まじい気迫のぶつかり合いに、動きを封じられて見守るソロ達にも緊張が走る。「さ、先程のナタンとやらの動きに、ジャンヌ嬢はついていけるのか?とてつもない速さだったが」「確かにヤツの動きは速いが、問題はあの急激な動きの変化だろう……ジャンヌはどうやってあれに対抗するつもりなのか」「あっ!」 ジーナが驚きの声を上げたのは、先に動いたのがジャンヌの方だったからだ。このまま睨み合いが続けば、ソロの危惧した唐突なナタンの動きに対応するのが難しくなる。ゆえに、ジャンヌは先手を打って、攻撃を仕掛けたようだ。「ふんっ!ぬうううう!」「くううううっ!」 激しい衝突音からの鍔迫り合いが火花を散らす。ジャンヌが放った上段からの振り下ろしを、ナタンは完璧なタイミングで受け止めた。また、そこからジャンヌが全力で押し込んでいるにも関わらず、ナタンの刀は鋼鉄の壁のように硬くビクともしない。やはり、ナタンも相当なパワーの持ち主であるようだ。 (ジャンヌのパワーに負けていない……だと?!何て奴だ!)「でぇいっ!」「ちっ!」 次に膠着状態を崩したのはナタンの方だ。ジャンヌの力に押し込まれていたはずが、ナタンは鍔迫り合いが続く中で、互いの力のバランスが崩れる瞬間を狙っていたらしい。その一瞬を正確に見抜き、かち上げるようにしてハバキリを押し上げ、跳ね除けた。押し返されたジャンヌは舌打ちをしつつも一歩下がってすぐに構え直し、そこから互いに打ち込みの応酬が始まった。「おおおおおっ!」「やあああああっ!」 目にも留まらぬ速さで両者の刀がぶつかり合い、剣戟の音と衝撃が周囲に拡散していく。互いに一歩も譲らぬ攻防は激しさを増していき、もはや刀の動きを目で追う事すら難しくなってきた。そんな時だった。  ザシュッ!という音とも
Last Updated: 2026-05-02
Chapter: ハバキリの涙
「ずいぶん大層な異名持ってるじゃない。……あんた、|Neck《賞金首》ね?」   「いかにも。我が首を狙う者は、もういないと思っているがな」    ジャンヌの指摘を受け、ナタンは静かに頷いた。わざわざ隠す必要もないと言いたげだが、ソロはその名を聞き、すぐに思い当たるものがあった。 (ナタン、だと?……あの装いは確か、東の島国、|篤国《あつくに》のもの……そうか!)「気を付けろ、ジャンヌ!そいつは連続殺人鬼だ!」「れ、連続殺人鬼!?」「そうだ。そいつはその昔、篤国で無辜の人々を次々と殺害し、この大陸に渡ってきたとして篤国の王から直々に懸賞金が懸けられている。だが、こんな強力な加護を持っていたとは……!」 ソロがそう叫ぶと、ナタンはニヤリとよく解ったと言わんばかりに小さく笑った。だが、その眼光はかなり鋭く、ゾッとするほど昏い光を宿しているようだ。「ほほう、我が行いを知る者など、とうの昔に全て斬り捨てたと思っておったがな。しかし、知らぬ方が幸せであったと思う事であろうよ。……我の過去を知る者は全て殺す。可哀想だが、たった今、一人残らず殺さねばならなくなったわ!」「ハッ!ごちゃごちゃごちゃごちゃうるっさいわね!あんたなんかに誰も殺させるもんですか!皆には指一本触れさせやしないわ、かかってきなさい!」 そう言って、ジャンヌはハバキリを抜き放った。ハバキリの刀身がキラリと輝き、ジャンヌの魔力をたっぷりと湛えている。身動きの取れないソロ達には、とても頼もしく見える姿であり、普通の敵ならば、その迫力に気圧されていただろう。「ほう、確かに似ておる。その威迫、単なる紛い物に出せるものとは思えぬな。……どれ」 ナタンはジャンヌの持つハバキリをしっかりと見据え、笑みを消した。その直後、ダダンッ!という激しい踏み込みの音を立てて、ジャンヌに肉迫する。「っ!?っぶな!」 敢えて無造作に、自然体で構えていたジャンヌは、その一撃にも敏感に反応することができた。ナタンが繰り出してきたのは鋭い突きで、的確に彼女の喉元を狙っていたのだ。ジャンヌは寸での所で、その一撃をハ
Last Updated: 2026-05-01
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