振り返ると、ついさっきまで話を盗み聞きしていた誰かが、屏風の後ろからひょこっと顔を出し、いたずらっぽくウインクしていた。海人は口元に笑みを浮かべたが、視線は逸らしたまま、何も言わずにキッチンへ向かった。来依はというと、昨夜は途中までしか話を聞けず、海人に振り回されて疲れてしまい、それ以上考える余裕もなかった。けれど今はぐっすり眠ってスッキリし、あれこれとまた気になり始めていた。このゴシップ、最後まで聞かなきゃ気が済まない!彼女は背後から海人に抱きつき、甘えた声で囁いた。「どこの彼氏かと思えば、家では料理まで作っちゃう完璧男子……あら、うちの彼だったわ」海人は火をつけ、鍋に食材を入れたが、特に反応は返さなかった。来依はさらに甘えて、「ねぇ~ねぇ~、宇宙一イケメンで、奥さんに超甘い菊池社長、可愛い奥さんがゴシップ気になって仕方ないの、教えてくれないのは酷くない?」海人は背筋がゾワッとした。「もうちょっと普通に話してくれ」「ちゃんと普通に話してるもん」「……」海人は苦笑した。「そのセリフ、くどっ……炒め物の油代わりになるわ」来依は甘え技が効かないと見るや、今度は駄々っ子モードに切り替えた。「言わないと怒るから!」海人はさらに口元を緩め、優しげな笑みを浮かべて妥協した。「まずはこの料理を仕上げさせてくれ。食べながら話すよ」来依は彼の腰を軽く叩き、優雅にキッチンを出て行った。海人はその背中に向かって一言だけ脅すように叫んだ。「覚えてろよ」来依は振り向かずに舌を出したような口調で返した。「待ってるよ~。お腹ペコペコなんだから、菊池社長がんばって~!」「……」ほどなくして、四品とスープが食卓に並んだ。来依は嬉しそうに海人におかずを取ってあげながら言った。「こんなにいっぱい作って、大変だったでしょ。食べ終わったらマッサージしてあげよっか?」海人は眉を少し上げて尋ねた。「どうマッサージするつもりだ?」「普通のなんてつまんないよ」来依は実際、力があるわけでもない。ただ口でそれらしく言っているだけだ。「もちろん、ちょっと工夫したやつよ。でも今は秘密。ちょっとだけサプライズ残しておかないと、後の楽しみが減るでしょ?もっと……気持ちよくなるように」海人の
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