41引っ越した当日のこと……。ある程度定期的に掃除をしたり風通しなどしていたため、雨戸を開け空気の入れ替えを済ますと、炭火七輪と大きさのあまり変わらない小型の薪ストーブに入れてある炭を確認して、庭先でお湯を沸かしカフェオレを堪能した。取り敢えず、弁当にインスタントものなど1日2日胃袋を宥められるだけのものは買ってきた。いろいろやっておかなきゃならないこともあるのだが、とにかくホッとできる時間がほしい。そう思う美鈴だった。布団なども置いてはあるが、追い追い新しく買いたいと思っている。ライフラインの申し込みなどもしていかなければならない。バスは2時間に1本しか来ないけれど、全くないというわけでもないので助かる。それに蔵に入れてある自転車もあるので買い物はどうにかなりそうだ。引っ越しがタオルケットで寝られる季節でよかったと思えた。美鈴がこれから住まう家は、古いが建付けがしっかりとしており、当分リフォームなどの心配もない。家の壁がぐるりと半分と少しになっていて、半分より幾分少ない範囲が透明の窓ガラスになっており、冬は日光が燦燦と注ぎ庭も隅々まで見渡せるのは、ほんとに醍醐味といえる。この家ではほとんど箒を使った掃き掃除で完結できる。部屋は板の間《フローリング部分》と畳だけで設えられており、絨毯を敷き詰めた部屋がないからだ。部屋の中《畳》を掃き、広縁を掃く。そして集めた埃は部屋の下部にちゃんと外に掃き出しができる長方形の掃き出し口が付いているので、そこから外に向けて掃き出す。昔の人の知恵はすごいなと感じる。掃除機のなかった時代に作られた家ならではだが、じゃあ昔の家屋には全部このような重宝する掃き出し口が付いていたかというと、そうでもないのだ。何故わかるかというと、同じ年代の親類の家には付いていなかったのを記憶しているから。たぶん、付いていなくても大丈夫だったのだ。昔の家は小さな窓(戸)ではなく、部屋から直に埃を掃き出しできるように大きな雨戸付きの窓(戸)がついていたから。だがないよりあるほうが断然便利。掃き出せる箇所が多ければ掃除しやすいもの。何か所にもあると埃やゴミを集めて《掃いて》は、すぐに外に捨てられるからね。掃除しやすいと思う。
Last Updated : 2025-04-04 Read more