「みのりちゃん、おおきくなったらぼくとけっこんしてください!」「う「ちょーっと待ったー!」そうやって私の父は割り込んできた。いつも。幼い約束なのに……。「うちの娘と結婚したければこの俺を倒してから言ってくれ!」そう言って、幼い、まだ歩き始めたよって感じの子供でも私の父はコテンパンにしていた。このエピソードは昔の遊樹(ゆうき)と私、神崎美乃(かんざきみの)梨(り)の話だけど、私は世間的にどうやら美少女のようでモデルにスカウトされたり(父がこの人もコテンパンにした)、小さい頃からいろんな子(全員父がコテンパンにした)に求婚されたものだ…。ふぅ。若干達観してしまったのは、うちの道場の師範でもある父が私の側にいる男で、私を口説こうとするたびに「うちの娘と――――」と彼らをほぼほぼ病院送りにしてしまうからだ。父もよく警察にマークされたりしないものだと思う。 そうして残ったのが幼馴染の鋸(のこ)田遊樹(た ゆうき)。いや、不満はないよ。だって、彼が子供の頃に求婚してくれた時に「うん」って返事をしようとした時に父に割って入られたんだから。それにそれに!遊樹はずっと私のこと好きでいてくれて、父に何回病院送りにされたんだろう?ってくらい病院送りになってるけど、それでも好きでいてくれる稀有な存在でもあるし。加えて、父とやり合って、遊樹の体格はいい感じになったし、遺伝なのかなぁ?遊樹のお母さんの佳穂さんは美人で、遊樹もなかなかイケメンに育ってると思う。高校(同じ)の下駄箱からラブレターが出てきたりするし。ラブレターを下駄箱……臭くならないのかな?せっかく書いたのに。いや、好きな彼の下駄箱は臭くないと信じてるんだろう。うん。遊樹の下駄箱は臭くないもん!ふん!!遊樹、何回も病院送りになってるのに、母と佳穂さんがママ友で「あらまぁ、まただわぁ」「遊樹ったら美乃梨ちゃん好きだから、うふふ」ってのんきに話してるし……。いいのかなぁ?今朝も私は鍛錬から始まる。「鍛錬は一日にしてならず!今日も道場で受け身から!!」父さんが朝からハイテンションで指導をする。そんなだから私には女子高生にあるまじき筋肉がついてるんだよ……。腹筋割れそう……。私は脳筋じゃないよ。断じて!道場、痛んでるなぁ。床が板張りで、ミシミシ聞こえる。あ、あんなところに蜘蛛の巣が!うわー、ヤ
Terakhir Diperbarui : 2025-05-31 Baca selengkapnya