今日は、会社の最も重要な取引先が主催したパーティーだった。それは私が子宮外妊娠手術を受けてから、7日目でもあった。しかし、葛城文宏(かつらぎ ふみひろ)の幼馴染、桜井静香(さくらい しずか)が、その場で相手方の担当者の服にケーキをぶつけてしまったのだった。文宏は、まず彼女に「大丈夫か?」と声をかけた。それから、私に視線を向けた。「葵、井上社長に謝罪しろ」私は驚いて彼を見つめた。担当者は服についたケーキを拭きながら、みるみる怒りを募らせていった。「謝るべき人間が本当は他にいるにもかかわらず、御社には責任転嫁の習わしがあるようだね」それなのに、静香は目に涙を浮かべ、文宏に寄りかかっていた。まるで、自分が被害者であるかのように。文宏は彼女を抱きしめ、険しい表情で私を見た。「何をぼうっとしているんだ!早く謝れ!とりあえず、井上社長にお酌しろ。この取引は何があっても、失敗させるわけにはいかないから」彼は私が子宮外妊娠の手術後にお酒が飲めないということを忘れていた。あるいは、私の体のことを気にも留めていなかったのかもしれない。静香は勝ち誇ったような挑発的な目線で私を見てきた。彼女は、文宏が私を突き出すことを知っていたのだ。そして、彼が必ず自分を守ってくれること、傷つけないことも分かっていた。私は当然彼女のミスを庇うつもりはなかったけど、文宏が突然私の耳元で囁いた。「許しのカード、1枚だ」あの時、彼は私と結婚するために、66回もの旅先プロポーズを計画してくれた。私もその度に彼からの深い愛情を感じ取ることができていた。そして67回目、家族や友人に祝福されながら、私はようやく彼のプロポーズを受け入れた。「葵、お前を愛している!もし俺がお前を裏切ったら、天罰が......」彼が言い終える前に、私は彼の口を手で覆った。彼が跪いて誓う姿に心を打たれ、私もその気持ちを受け入れようと思った。彼の66回のプロポーズに応えるため、私は友人に頼んで66枚の許しのカードを作ってもらった。そして彼に「許しのカードを全部使いきったら、あなたとは別れるからね!」と言った。結婚して5年間、文宏は許しのカードを大切に保管し、私が怒ってカードを使うことを恐れていた。しかし、彼の幼馴染が海外から帰国してか
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