All Chapters of 魔道AI〈ゼロ〉と落第生: Chapter 101 - Chapter 110

110 Chapters

突入

決戦の朝が来た。オブシディアン基地の大ホールには、500名を超える戦士たちが集結していた。異常演算者、支援者、医療班、通信班。すべての人員が、最終確認を行っている。「各部隊、準備状況を報告せよ」ルーク司令官が指揮台に立つ。「第一部隊、準備完了」「第二部隊、準備完了」「第三部隊、準備完了」次々と報告が上がる。クロたち12人は、中枢突入部隊として最前列に並んでいた。「緊張してる?」サクラがクロに聞く。「少しな」クロが正直に答える。「でも、やるしかない」ジンも頷く。「今日で、すべてが決まる」カイが拳を握る。「よし、気合い入れていこうぜ」「おう!」12人が拳を合わせる。その時、ルークが最後の訓示を始めた。「諸君」500人の視線が、一斉にルークに注がれる。「今日、我々は歴史を変える」「異常演算者が自由に生きられる世界を、我々の手で掴み取る」「危険な戦いだ。命を落とす者もいるかもしれない」「しかし――」ルークが力強く言う。「我々には、戦う理由がある」「家族のため、仲間のため、未来のために」「だから、恐れるな」「胸を張って、戦え」500人が一斉に敬礼した。「了解!」その声が、基地中に響き渡る。「では、出撃」ルークの号令で、500人が動き出した。飛行船が次々と離陸し、政府中央評議会への航路を辿る。クロたち12人は、先頭の飛行船に乗っていた。「到着まで、30分」パイロットが報告する。「了解」クロが答える。窓の外には、朝日が昇り始めていた。新たな時代の夜明けを告げるように。「綺麗な朝日だな」カイが呟く。「ああ」ジンも頷く。「この美しい世界を、守るために戦う」サクラが優しく微笑む。「必ず、勝ちましょう」「ああ」全員が頷いた。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――30分後、飛行船は政府中央評議会の上空に到着した。巨大な建物が、眼下に広がっている。「すごい……」サクラが驚く。「こんなに大きいんだ」「当然だ」フィアが説明する。「ここは、国の中枢だから」レインも短く言う。「厳重」確かに、建物の周囲には大量の警備兵が配置されている。さらに、対空砲台も多数設置されていた。「第一部隊、降下開始」通信が入る。
last updateLast Updated : 2025-10-26
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怪物との戦い

12人が建物の外に飛び出すと、そこには信じられない光景が広がっていた。高さ50メートルはある、巨大な怪物。《アビス・ビースト》。漆黒の体表に、無数の触手。口からは、紫色の毒霧を吐き出している。「でかい……」カイが呆然とする。「こんなの、どうやって倒すんだよ」「倒すしかない」ジンが冷静に言う。「あれを放置すれば、街が壊滅する」確かに、怪物は既に周辺の建物を破壊し始めていた。逃げ惑う市民たち。悲鳴が響き渡る。「助けなきゃ……」サクラが叫ぶ。「よし、作戦を立てる」クロが素早く指示を出す。「まず、市民を避難させる」「サクラ、レオ、リア、マルクは避難誘導を」「了解!」4人が市民の救助に向かう。「残る8人で、怪物を倒す」クロが続ける。「ジン、カイ、ミナ、フィア、レイン、俺」「連携を最大限に使う」「了解」全員が頷く。「行くぞ!」8人が怪物に向かって走り出す。怪物が触手を振り下ろしてくる。「危ない!」フィアが氷壁で防御する。しかし、触手の力は凄まじく、氷壁が砕け散った。「くそ、硬い……」レインが土の壁で追加防御するが、それも破られる。「物理防御じゃ、ダメか」ジンが分析する。「なら、攻撃で圧倒する」クロとジンが同時に雷を放つ。《双雷・連撃》二つの雷が怪物に命中する。しかし――「効いてない……!?」怪物はダ
last updateLast Updated : 2025-10-27
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新しい世界へ

《アビス・ビースト》を倒してから三日が経った。世界中のメディアが、12人の活躍を報じていた。『異常演算者、人類を救う』『WAU、伝説の怪物を撃破』『新たな時代の幕開け』オブシディアン基地の会議室では、12人とルーク司令官が集まっていた。「まず、報告だ」ルークが資料を広げる。「政府は、異常演算者保護法を制定した」「差別、迫害を法律で禁止する」「違反者には、厳しい罰則が科せられる」「本当に……」サクラが涙ぐむ。「夢みたい」「夢じゃない」クロが微笑む。「現実だ」エリス・ノヴァも報告に加わる。「世界中のWAU支部から、祝福のメッセージが届いています」画面に、次々とメッセージが表示される。『おめでとう、クロたち』『君たちのおかげで、僕たちも自由になった』『本当にありがとう』温かい言葉の数々に、12人は感動した。「みんな……」ミナも目を潤ませる。「私たち、本当に世界を変えたんだね」ジンが静かに言う。「でも、これからが本番だ」「どういうこと?」カイが聞く。「平和を維持することだ」ジンが説明する。「差別をなくすことは、法律だけでは不十分」「人々の心を変える必要がある」フィアも頷く。「そのために、WAUの活動を続けなければならない」レインも短く言う。「啓蒙活動」「そうだな」クロも同意する。「俺たちは、これからも活動を続ける」「異常演算者への理解
last updateLast Updated : 2025-10-28
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海辺の約束

休暇二日目の朝。12人は早起きして、朝のビーチを散歩していた。まだ誰もいない、静かな海岸。波の音だけが、心地よく響いている。「気持ちいいな」カイが伸びをする。「こんな平和な朝、最高だ」サクラも微笑む。「ずっと、こんな日々が続けばいいのに」「続くさ」クロが答える。「俺たちが守るんだから」その時、ミナが提案した。「ねえ、今日は何して遊ぶ?」「そうだな……」ジンが考える。「ビーチバレーとか?」「いいね!」みんなが賛成する。午前中は、ビーチバレーで盛り上がった。クロ、ジン、カイ、マルク、レオ、レインの男性チーム。サクラ、ミナ、フィア、リアの女性チーム。(人数が合わないので、レインとリアが途中で交代)「行くぞ!」カイが力強くスパイクを打つ。しかし、フィアが冷静にレシーブした。「甘いわ」ミナがトスを上げ、サクラがスパイク。「えい!」ボールが男性陣のコートに落ちた。「くそ、やられた」試合は白熱し、最終的に女性チームが勝利した。「やった!」サクラたちが抱き合う。「俺たち、負けたのか……」カイが悔しそうに言う。「まあ、楽しかったからいいだろ」ジンが笑う。午後は、シュノーケリングを楽しんだ。透明な海の中には、色とりどりの魚たちが泳いでいる。「綺麗……」サクラが感動する。「こんな世界が、海の中にあるなんて」クロも頷く。
last updateLast Updated : 2025-10-29
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新たな始まり

休暇から戻った12人を、オブシディアン基地で盛大な歓迎が待っていた。「お帰りなさい!」ルーク司令官とエリス・ノヴァが出迎える。「ただいま戻りました」クロが笑顔で答える。「休暇は、どうだった?」「最高でした」サクラが嬉しそうに言う。「みんなで、たくさん思い出を作りました」ルークが満足そうに頷く。「それは良かった。では、早速だが――」「育成機関の件、どうするか決めたか?」「はい」クロが前に出る。「12人全員で、やらせていただきます」その言葉に、ルークが嬉しそうに微笑む。「そうか。嬉しいな」「では、さっそく準備を始めよう」会議室に移動し、詳細な打ち合わせが始まった。「まず、機関の名称だが――」ルークが資料を開く。「政府からの提案は《異常演算者育成アカデミー》だ」「うーん……」カイが首を傾げる。「堅苦しくないか?」「確かに」ミナも同意する。「もっと親しみやすい名前がいいわね」「なら……」ジンが提案する。「《ニューエラ・アカデミー》はどうだ?」「新時代の学院、という意味だ」「いいね!」サクラが目を輝かせる。「前向きで、希望がある感じ」全員が賛成し、名称が決定した。「次に、場所だが――」エリスが地図を表示する。「政府が用意した候補地が、3つある」画面に映し出されたのは、どれも広大な土地だった。「海沿いの土地、山間部の土地、都市部の土地」「どれがいいかな?」
last updateLast Updated : 2025-10-30
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教師たちの初日

開校式の朝。《ニューエラ・アカデミー》の校門前には、300人を超える新入生が集まっていた。年齢も経歴も様々。10代の若者から、30代の大人まで。すべてが、異常演算者として正しい教育を受けるために集まった。「すごい人数……」サクラが緊張した顔で言う。「みんな、私たちを見てる」「大丈夫だ」クロが励ます。「俺たちは、彼らの先輩だ」「胸を張っていこう」12人が壇上に上がると、大きな拍手が起こった。「ようこそ、《ニューエラ・アカデミー》へ」クロがマイクを手に取る。「僕の名前は、クロ・アーカディア」「この学院の教師の一人です」300人の視線が、一斉にクロに注がれる。「皆さんは、今日からここで学びます」「異常演算の使い方、制御の仕方、そして――」クロが一呼吸置く。「どう生きるべきか」「異常演算者として、社会とどう関わるべきか」「それを、僕たちが教えます」次に、ジンがマイクを受け取る。「僕は、ジン・カグラ」「クロと共に、この学院を運営しています」ジンが冷静に続ける。「この学院には、ルールが一つだけあります」「それは――仲間を大切にすること」「異常演算者は、一人では生きていけません」「仲間と助け合い、支え合う」「それが、僕たちの信念です」その言葉に、生徒たちが深く頷く。他のメンバーも、次々と自己紹介をしていく。カイの熱い挨拶。ミナの親しみやすい言葉。サクラの優しい笑顔。フィアの冷静な分析。レインの短いが
last updateLast Updated : 2025-10-31
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成長する生徒たち

《ニューエラ・アカデミー》が開校してから半年が経った。生徒たちは、目覚ましい成長を遂げていた。「すごい……」クロが訓練場で生徒たちの模擬戦を見ながら呟く。「半年前とは、別人みたいだ」ジンも頷く。「基礎がしっかりしてきた」「このまま成長すれば、立派な異常演算者になるだろう」訓練場では、二人の生徒が戦っていた。一人は、風属性のユウキという少年。もう一人は、炎属性のアカネという少女。「《風刃・連撃》!」ユウキが風の刃を連続で放つ。アカネが炎の壁で防御する。「《炎壁》!」しかし、風刃が炎壁を突破しそうになる。「まずい……」アカネが焦る。その時、アカネは授業で習ったことを思い出した。(ミナ先生が言ってた。防御が破られそうな時は、攻撃に転じろって)「《爆炎弾》!」アカネが攻撃に切り替える。炎の弾丸が、ユウキに向かって飛ぶ。「うわっ!」ユウキが慌てて回避する。その隙に、アカネが距離を詰める。「《炎拳》!」炎を纏った拳が、ユウキに命中した。「勝負あり!」審判役のカイが宣言する。「アカネの勝ちだ」「やった!」アカネが喜ぶ。「ありがとうございます、ミナ先生!」ミナが笑顔で親指を立てる。「よくやった」「でも、ユウキも悪くなかったぞ」カイがユウキに声をかける。「攻撃は完璧だった。ただ、相手の反撃を予想できなかった」「はい……」ユウキが悔しそうに言う。「次は、勝ちます」
last updateLast Updated : 2025-11-01
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受け継がれる意志

《ニューエラ・アカデミー》開校から一年が経った。 初期の生徒たち300人は、今や立派な異常演算者に成長していた。 そして、新たに400人の新入生を迎えることになった。 「すごい人数だな」 カイが新入生の名簿を見ながら言う。 「400人も」 「需要が高まってるんだ」 ジンが説明する。 「異常演算者への理解が深まり、正しい教育を受けたいという人が増えた」 「いいことだな」 クロが微笑む。 「俺たちの活動が、実を結んでる」 新入生歓迎式が開かれた。 壇上には、12人の教師だけでなく―― 1期生の代表として、ユウキとアカネも立っていた。 「新入生の皆さん、ようこそ」 ユウキがマイクを手に取る。 「僕は、1期生のユウキです」 「一年前、僕もここに入学しました」 ユウキが自分の経験を語る。 「最初は不安でした。本当に、異常演算を使いこなせるのかって」 「でも、先生方の丁寧な指導のおかげで、今ではこんなに成長できました」 ユウキが風の魔術を披露する。 美しい風の渦が、会場を包む。 新入生たちが感嘆の声を上げる。 「すごい……」 「僕たちも、あんなふうになれるのかな……」 アカネも続ける。 「私も、最初は自信がありませんでした」 「でも、仲間と一緒に頑張ることで、強くなれました」
last updateLast Updated : 2025-11-02
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未来への扉

《ニューエラ・アカデミー》開校から三年が経った。学院は今や、世界中から注目される存在となっていた。卒業生は1000人を超え、彼らは社会の様々な場所で活躍している。「信じられないな」クロが校長室で書類を見ながら呟く。「三年で、ここまで大きくなるなんて」「君たちの努力の賜物だ」ルーク司令官が訪問し、そう言った。「いや、みんなのおかげです」クロが謙遜する。「先生方、生徒たち、支援者の皆さん」「すべての人の協力があったから」ルークが微笑む。「謙虚だな、相変わらず」「それで、今日はどうされたんですか?」「実は――」ルークが真剣な表情になる。「君たちに、新たな提案がある」「提案?」「世界各地に、《ニューエラ・アカデミー》の分校を作らないか」その言葉に、クロは驚いた。「分校……ですか?」「ああ。ヨーロッパ、アジア、アメリカ」「世界中に、この教育を広めたい」「でも、俺たちだけでは……」「大丈夫だ」ルークが安心させる。「各地のWAU支部が協力してくれる」「そして、君たちの卒業生が教師になる」クロが考え込む。確かに、素晴らしい提案だった。しかし、責任も大きい。「みんなに相談してみます」クロが答える。「わかった。返事を待っている」ルークが去った後、クロは仲間たちを集めた。「分校か……」ジンが考え込む。「やりがいはあるな」「でも、大変だぞ」カイが心配する。「俺たち、各地
last updateLast Updated : 2025-11-03
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永遠の絆

それから五年が経った。《ニューエラ・アカデミー》は、世界中に20の分校を持つまでに成長していた。卒業生は5000人を超え、彼らは社会の様々な場所で活躍している。異常演算者への差別は完全に消え、共存が当たり前の世界になっていた。そして――クロとサクラには、4歳になる娘がいた。名前は、アイリ。風属性の魔術を使える、元気な女の子だった。「パパ、見て!」アイリが小さな風の渦を作る。「おお、すごいな」クロが褒める。「上手になったな」「ママが教えてくれたの」アイリが誇らしげに言う。サクラが微笑む。「この子、才能あるわ」「そうだな」クロも嬉しそうだ。二人の家は、アカデミーの近くにあった。毎日、教師として働き、夜は家族と過ごす。そんな平和な日々が続いていた。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ある休日、12人全員が集まることになった。場所は、最初に約束の海に来たビーチ。「久しぶりだな、みんな」クロが仲間たちに声をかける。「ああ、久しぶり」カイが笑う。ジンも微笑んでいる。「みんな、元気そうだな」ミナとフィアは、親友同士で話している。「最近、忙しくてさ」「わかるわ。私も」レイン、レオ、リア、マルクも談笑している。「久しぶりの休みだ」「楽しもうぜ」アイリは、他の子供たちと遊んでいた。そう、他の仲間たちにも子供ができていたのだ。ジンとフィアの息子。
last updateLast Updated : 2025-11-04
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