LOGINかつて都市を消し飛ばした“禁忌のAI”ゼロ── それを偶然起動させてしまったのは、学園最底辺の落第生・クロだった。 魔法もテストも何ひとつできない彼は、唯一ゼロを制御できる存在だった。 「俺にだって、やれるはずだ──!」 演算と才能が支配する魔法学園で、常識外れのバディが世界を揺るがす! AI×魔法の熱血バトルファンタジー、ここに開幕!
View Moreそれから五年が経った。《ニューエラ・アカデミー》は、世界中に20の分校を持つまでに成長していた。卒業生は5000人を超え、彼らは社会の様々な場所で活躍している。異常演算者への差別は完全に消え、共存が当たり前の世界になっていた。そして――クロとサクラには、4歳になる娘がいた。名前は、アイリ。風属性の魔術を使える、元気な女の子だった。「パパ、見て!」アイリが小さな風の渦を作る。「おお、すごいな」クロが褒める。「上手になったな」「ママが教えてくれたの」アイリが誇らしげに言う。サクラが微笑む。「この子、才能あるわ」「そうだな」クロも嬉しそうだ。二人の家は、アカデミーの近くにあった。毎日、教師として働き、夜は家族と過ごす。そんな平和な日々が続いていた。――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――ある休日、12人全員が集まることになった。場所は、最初に約束の海に来たビーチ。「久しぶりだな、みんな」クロが仲間たちに声をかける。「ああ、久しぶり」カイが笑う。ジンも微笑んでいる。「みんな、元気そうだな」ミナとフィアは、親友同士で話している。「最近、忙しくてさ」「わかるわ。私も」レイン、レオ、リア、マルクも談笑している。「久しぶりの休みだ」「楽しもうぜ」アイリは、他の子供たちと遊んでいた。そう、他の仲間たちにも子供ができていたのだ。ジンとフィアの息子。
《ニューエラ・アカデミー》開校から三年が経った。学院は今や、世界中から注目される存在となっていた。卒業生は1000人を超え、彼らは社会の様々な場所で活躍している。「信じられないな」クロが校長室で書類を見ながら呟く。「三年で、ここまで大きくなるなんて」「君たちの努力の賜物だ」ルーク司令官が訪問し、そう言った。「いや、みんなのおかげです」クロが謙遜する。「先生方、生徒たち、支援者の皆さん」「すべての人の協力があったから」ルークが微笑む。「謙虚だな、相変わらず」「それで、今日はどうされたんですか?」「実は――」ルークが真剣な表情になる。「君たちに、新たな提案がある」「提案?」「世界各地に、《ニューエラ・アカデミー》の分校を作らないか」その言葉に、クロは驚いた。「分校……ですか?」「ああ。ヨーロッパ、アジア、アメリカ」「世界中に、この教育を広めたい」「でも、俺たちだけでは……」「大丈夫だ」ルークが安心させる。「各地のWAU支部が協力してくれる」「そして、君たちの卒業生が教師になる」クロが考え込む。確かに、素晴らしい提案だった。しかし、責任も大きい。「みんなに相談してみます」クロが答える。「わかった。返事を待っている」ルークが去った後、クロは仲間たちを集めた。「分校か……」ジンが考え込む。「やりがいはあるな」「でも、大変だぞ」カイが心配する。「俺たち、各地
《ニューエラ・アカデミー》開校から一年が経った。 初期の生徒たち300人は、今や立派な異常演算者に成長していた。 そして、新たに400人の新入生を迎えることになった。 「すごい人数だな」 カイが新入生の名簿を見ながら言う。 「400人も」 「需要が高まってるんだ」 ジンが説明する。 「異常演算者への理解が深まり、正しい教育を受けたいという人が増えた」 「いいことだな」 クロが微笑む。 「俺たちの活動が、実を結んでる」 新入生歓迎式が開かれた。 壇上には、12人の教師だけでなく―― 1期生の代表として、ユウキとアカネも立っていた。 「新入生の皆さん、ようこそ」 ユウキがマイクを手に取る。 「僕は、1期生のユウキです」 「一年前、僕もここに入学しました」 ユウキが自分の経験を語る。 「最初は不安でした。本当に、異常演算を使いこなせるのかって」 「でも、先生方の丁寧な指導のおかげで、今ではこんなに成長できました」 ユウキが風の魔術を披露する。 美しい風の渦が、会場を包む。 新入生たちが感嘆の声を上げる。 「すごい……」 「僕たちも、あんなふうになれるのかな……」 アカネも続ける。 「私も、最初は自信がありませんでした」 「でも、仲間と一緒に頑張ることで、強くなれました」
《ニューエラ・アカデミー》が開校してから半年が経った。生徒たちは、目覚ましい成長を遂げていた。「すごい……」クロが訓練場で生徒たちの模擬戦を見ながら呟く。「半年前とは、別人みたいだ」ジンも頷く。「基礎がしっかりしてきた」「このまま成長すれば、立派な異常演算者になるだろう」訓練場では、二人の生徒が戦っていた。一人は、風属性のユウキという少年。もう一人は、炎属性のアカネという少女。「《風刃・連撃》!」ユウキが風の刃を連続で放つ。アカネが炎の壁で防御する。「《炎壁》!」しかし、風刃が炎壁を突破しそうになる。「まずい……」アカネが焦る。その時、アカネは授業で習ったことを思い出した。(ミナ先生が言ってた。防御が破られそうな時は、攻撃に転じろって)「《爆炎弾》!」アカネが攻撃に切り替える。炎の弾丸が、ユウキに向かって飛ぶ。「うわっ!」ユウキが慌てて回避する。その隙に、アカネが距離を詰める。「《炎拳》!」炎を纏った拳が、ユウキに命中した。「勝負あり!」審判役のカイが宣言する。「アカネの勝ちだ」「やった!」アカネが喜ぶ。「ありがとうございます、ミナ先生!」ミナが笑顔で親指を立てる。「よくやった」「でも、ユウキも悪くなかったぞ」カイがユウキに声をかける。「攻撃は完璧だった。ただ、相手の反撃を予想できなかった」「はい……」ユウキが悔しそうに言う。「次は、勝ちます」
「──昨日と同じ構え、だけど……」アルヴェンの目がわずかに細められる。朝霧がまだ草を濡らしている訓練場で、クロは構えていた。ブレイサーの雷紋が淡く光る。昨日完成したばかりの新術式──《雷迷陣》の試作型。今日は、それをぶっつけで試すつもりだった。(分岐ルートは三つ、起点は右脚、収束まで1.6秒──)「いきます!」クロが地を蹴った。雷の軌跡が、空中で枝分かれする。一条はアルヴェンの右肩を、もう一条は足元を。さらに一本は“回避先”と予測したポイントへ。(よし……逃げ場、塞いだ!)だが。「ふぅん、なるほど」次の瞬間、アルヴェンは重心を沈めると、最も狭い隙間を滑るように抜
《警告:演算残時間、あと2分30秒》 ゼロの声は冷静だったが、その意味は重い。 このままでは、戦い切る前に演算が尽きる── 「くっ……」 クロ・アーカディアは、わずかに汗ばむ額に手をやった。 だがその手は震えていない。むしろ静かで、冷えていた。 (焦るな。俺はもう、一人じゃない) 演習フィールドの岩場に、重圧が満ちていく。紅牙、翠嵐、白鋼――各チームの動きが明確になった。 「完全に……狙われてるな、俺たち」 「注目されるのは実力の証ってな」 カイが肩を鳴らす。 「構わない。包囲は、裏返せば殲滅の機会」 フィアの指示が即座に飛ぶ。 「カイ、前方でプレッシャーを。レインは
「──さあ、注目ッ! 本日より、総合演算実技の本戦が開始されるッ!」 甲高い放送がアリーナ全体に響く。 観客席には、教師陣に加え、上級生たちや外部関係者──さらに国家直属の魔導騎士団からも、数名の騎士団長クラスが視察に訪れていた。 演習の実力次第では、将来の推薦やスカウトにも繋がる一大イベント。空気は自然と引き締まり、ざわめきに熱気が混じる。 「出場するのは、1年生全4クラス! 各クラスから三チームずつ──合計で十二チームが参戦するッ!」 「まずは予選バトル! 全チームを四チームずつ、三つのブロックに分ける。そして──」 「各ブロックで行うのはロイヤルバトル形式! 全チ
「おいクロ。ちょっと放課後、屋上来い」 そう言ったのは、教科書すら持ってこないことで有名な担任教師だった。 アマギ・トウヤ。魔術理論担当、三十代半ば。 無精髭に、シャツは出しっぱなし。ネクタイは緩め、靴もスリッパ。 教壇に立っていても、なぜか常に眠そうで、授業は脱線しまくり。 けれど一部の教師たちは、彼を凄腕の演算魔術士だったと噂している。 「え、なんで俺……?」 「ああ。お前、演算制御が乱れる癖、まだ直ってねぇだろ」 「まぁ、正直……昨日も限界ギリギリでした」 「だと思ったよ。放課後付き合え。演算の補助感覚、叩き込んでやる」 クロは言葉を失った。担任のトウヤは、普段は口数