アリアが四歳になった春、幼児園で新たな挑戦が始まった。「今日から、みんなで『お友達プロジェクト』をしましょう」エリカ園長が子供たちに向かって発表する。「これは、お互いの違いを理解し合う、特別な学習です」「お友達プロジェクト?」レオが首をかしげる。「どんなことをするんですか?」「それぞれが自分の特技や特徴を発表して、みんなで理解し合うのです」エリカが説明する。「アリアちゃんには、魔法について教えてもらいたいと思います」アリアは驚いた。これまで、魔法のことは秘密にしてきた。それを、みんなの前で発表するなんて。「でも……ひみつにしてって……」「大丈夫よ、アリア」エリカが優しく微笑む。「ここは、みんなの『違い』を大切にする場所です。隠す必要はありません」その日の午後、アリアは家に帰って両親に相談した。「ママ、パパ、えんちょうせんせいが……」アリアが今日の出来事を説明すると、リリスとカインは顔を見合わせた。「ついに、その時が来たのね」リリスが深い溜息をつく。「アリアの魔法を、公に認めるかどうか……」「どうしたらいいんだ?」カインが悩む。「隠し続けることはできないが、公にするのもリスクがある」「でも、エリカ園長は信頼できる人よ」リリスが思案する。「それに、いずれは向き合わなければならない問題だった」「アリアは、どうしたいんだ?」カインが娘に尋ねる。「おともだちに、ほんとのアリアを、しってもらいたい」アリアが真剣な顔で答える。「でも、みんながこわがったら……」「大丈夫よ」リリスがアリアを抱きしめる。「あなたの魔法は、人を幸せにする力。きっと、みんな理解してくれる」「ほんと?」「本当よ。でも、もし怖がる子がいても、気にしちゃダメ。あなたはあなたのままでいいの」翌日、アリアは少し緊張しながら幼児園に向かった。「アリアちゃん、今日はいよいよね」レオが声をかける。「ぼく、とても楽しみにしてるよ」「ありがと、レオくん」午後の時間、『お友達プロジェクト』が始まった。「それでは、まずレオくんから発表してもらいましょう」レオは前に出て、自分の得意なことを発表した。「ぼくは、絵を描くのが得意です。みんなのとくちょうを、にがおえにかけます」「すごいね」「じょうずだね」子供たちから拍手が起こった。次は、
Last Updated : 2025-09-20 Read more