「時久、私たち、ずっと一緒にいられるのかな?」十八歳の高橋裕香(たかはし ゆか)は頬を赤らめながら、京極時久(きょうごく ときひさ)の胸に身を縮め、溢れんばかりの愛情を瞳にたたえて彼を見つめていた。「ええ、ずっと」男は確固たる声でそう答え、深く燃えるような眼差しで彼女の清らかで華やかな顔を見つめた。その腰がぐっと沈んだ瞬間……痛い!裕香の背筋が震え、指先が時久のしなやかで力強い腕の筋肉に食い込んだ。それほどの痛みだったのに、裕香は顔を上げて、時久に向かって無邪気に微笑んだ。「時久、愛してる」男は彼女の目尻の涙を優しく唇で拭い取りながらも、彼女を強く抱きしめ、耳元で低く支配的に宣言した。「裕香、お前は俺のものだ。永遠に」裕香は彼の首にしがみつき、彼の腕の中で、まるで初めて恋を知った人魚姫のように笑みを咲かせた。だが後に裕香は知ることになる。あのとき二人が語った「永遠」とは、その瞬間の情熱を誇張するための言葉に過ぎなかったのだと。そして、「愛してる」という言葉も、やがては「憎んでる」という一言に敵わなくなるのだと。……重々しく厳粛な法廷。「証人、高橋裕香、六月六日の夜、あなたは被告人、京極時久とずっと一緒にいましたか?」「はい」六月六日は裕香の十八歳の誕生日だった。だが裕香は家族と過ごすことなく、時久の狭いアパートで、彼と朝まで過ごした。身も心も溶け合うような一夜、一生忘れることなどできるはずもない。あれが彼女の初めてだった。時久は彼女を慈しみながらも、何度も我を忘れ、彼女を痛めつけた。裕香はゆっくりと顔を上げ、被告席に立つ時久を見つめた。彼は囚人服をまとい、端正な顔には疲労の色が濃く、黒い瞳には血のような赤が滲んでいた。だがその目が彼女を見つめるときだけ、かすかに優しさが宿った。拘留されてから一週間、彼は明らかにやつれ、少しばかり無様になっていた。けれど、その圧倒的な存在感は今も彼女の視線を奪ってやまなかった。京極時久――帝都大学の金融学と法学のダブルメジャーの俊才。貧しい家庭に育ちながらも、その将来はまばゆいほどに明るかった。彼の恩師はこう語った。「百年に一度現れるかどうかの逸材、法の天賦と投資の眼力を併せ持つ男」と。本来なら、彼の未来には栄光が約束されていた
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