お盆の休みに、私は白野健太(しらの けんた)の好みに合わせて旅行ルートを綿密に計画した。しかし、彼はまた約束をドタキャンした。息を深く吸い込むと、私はためらうことなく、彼の兄嫁、寺田若子(てらだ わかこ)の非公開ツイッターアカウントを開いた。【海でサーフィンがしたいって言ったら、白野機長が彼女を置いて、私に付き合ってくれたんだよね】【亡くなったお兄さんの代わりに、ちゃんと私を守るって言ってくれたよね。本当に、約束ちゃんと守ってくれている】添付された写真には、健太が砂浜にしゃがみ込み、サーフボードを丁寧に拭いている姿が写っていた。若子はビキニ姿で、CAらしい抜群のスタイルを惜しげもなく披露していた。身をかがめて滑り止めワックスを手渡すとき、その胸元が無意識に健太の額に触れた。健太は避けようともせず、穏やかな笑みを浮かべていた。この目を背けたくなるような光景を見ても、私はもはや以前のように取り乱すことはない。黙ってスクリーンショットを健太に送り、同時に別れを告げた。健太は気にも留めなかった。「どうせ今回も数日で終わるだろ。適当にきっかけを作れば、またすぐ戻ってくるさ」だが、彼は間違っていた。以前の私がすぐに戻っていたのは、彼を愛していたから。でも今回は、もう戻らない。……別れを告げた翌日になっても、健太からは何の連絡もない。しかし、彼が私の身分証明書を持ち去っていたことに気づき、私は仕方なく車で千キロ以上も走って海辺まで彼を探しに行った。人けのない浜辺の片隅で、若子がトライアングルビキニを着て健太の隣に寄り添っているのを見つけた。「晴美って、本当に別れる気なの?二年もかけてやっとあなたを手に入れたんでしょ?絶対に大切にするんだと思ってたのに。だって、あなたって本当に素敵じゃない!」健太はうつむいてライチの皮を剥きながら、気だるげに言った。「退いて進む作戦だよ。俺が一緒に遊びに来いよって声をかけるのを待ってるだけさ。もともと彼女の身分証明書も持ってきて、呼ぶつもりだった。でも、今のあの態度じゃ甘やかす気にはなれない。少し放っておくくらいでちょうどいいさ」そう言って、剥いたライチを若子の口元に差し出した。「ここの名物で、みずみずしくて美味しいよ」若子はうつむいてそれを口に含み、しとや
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