Tous les chapitres de : Chapitre 11 - Chapitre 13

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第十一幕

「私に何か用かしら? 良いわよ。少しだけ話相手になってあげる。あなた、名前はなんて言うのかしら? ちなみに私はべニート・リアナっていうの。これでも、ディグニス帝国皇位継承権第一位なのよ。凄いと思わない?」 姫は腰を低く目線を下げると、野良ネズミに対し自慢気に話を進める。側から見れば、それは滑稽以外の何ものでもない。 「チュチュッ!」 「チュチュッていうの? 珍しい名前ね。でも気に入ったわ。貴方、私の従者になりなさい。そうすれば特別にチュネープ公爵の爵位をあげても良いわよ。領地は…… そうね、この宮殿内全部よ。あっ、でも図書館は言っちゃ駄目よ。馬鹿になるから。どう? 悪くないと思わない?」 姫はそっと手を差し出す。するとチュネープ公爵は姫から逃げるように側の階段を駆け上がる。姫はその姿を前に吐息をもらす。なんで皆んな逃げるのよ…… 姫が視線を上げると、チュネープ公爵が自分を見下ろしていた。 「あら、随分と偉そうな態度をとるじゃない。でも良いわよ、私優しいから今すぐに降りて謝ってくれたら許してあげる。ほら、早く降りてきなさいよ」 しばらく向かい合って対峙した後、痺れを切らした姫が階段に足をかける。すると、驚いたチュネープ公爵はさらに上へと駆け上がり階段の奥へと姿を隠した。 「ちょっと! せっかく私が許してあげるって言ってるのに、それを無視するなんて貴方ね…… まったく…… フフッ。私の言葉を無視するなんて…… 良いわよ、絶対に見つけてあげるから」 姫は誰もいないことを密かに確認する。「ちゃんと隠れるのよ」一言呟き、姫は陽気な態度で暗闇の中を駆け上がる。 「あら、随分と隠れるのが上手いのね。暗くて良く見えないのもあるだろうけど……」 姫は壁にかけられたランプを手に取る。しかし、その視線はある一室の扉に止まる。僅かに開いた扉、その隙間から差し込む光に導かれる様に姫は足を運ぶ。 「もうっ、勝手に人の部屋に入ったりしたら駄目よ。怒らないか
last updateDernière mise à jour : 2026-03-04
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第十二幕

 ——どれくらいの時間が経っただろうか。「リアナ皇女、オルディボ様がおいでになっています。いかがなさいますか?」 部屋の外からミリアが、そう応える。とっくに社交会は始まっている。しかし、姫は部屋のベッドに寝そべったまま一人考え込んでいた。胸元に抱え込んだ本を、そっと枕の下に隠し入れる。姫が、ゆっくりと身体を起こす。「入れて良いわよ」 姫が言うと、護衛の男はミリアの指示で部屋へと入室する。「姫様! どうされたのですか? 私が来るまで待つようにと言ったはずですよ?」  護衛は救急箱を手に、どこか慌てた様子で言った。聞くに、私を探し回って宮殿内を何周もしたそうだ。まったく…… 遅いと思ったら、なぜ真っ先に寝室に来なかったのか疑問で仕方ない。「それで、これからどうされるのですか? 私としては、すぐにでも社交会に戻って頂きたいところではありますが……」 護衛は姫の前で膝をつくと救急箱を開き、姫の手当てを始めた。本来ならば専属医がやる仕事ではあるが姫の意向で軽傷であれば専属の護衛が一任することになっている。「別に…… 特に何も考えてないわ。ただ、今はあまり気分が乗らないだけ。気が変わったら戻る。それとも、何か急いで戻らないといけない理由でも?」「理由も何も。前も言いましたが、これは姫様の誕生日祭半年前の祝いを兼ねていますので、主役がいないのは少し寂しいと言いますか……」 動揺する護衛に姫は追い打ちをかける。「良いじゃない別に。どうせ私がいなくても社交会は進行し続けるわよ。去年だって私が体調を崩して休んだのに何の問題もなく終わったじゃない。所詮、私なんか飾りよ飾り! 居たところで良い笑いものになるだけ。みんなそう思ってるわ。誰も本気で私の心配なんかしてないわよ…… お父様も……」「体調を崩したも何も、姫様が勝手にミーシャ様とワインの飲み比べ勝負を始めたのがいけないんですよ? 笑われても仕方ありませんよ。正直、私も笑っていました」「笑うなよ。仕方ないでしょ。あっちが、生意気な態度をとるから痛い目
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第十三幕

 ——狭く薄暗い部屋で男が一人、本を手に文書を眺める。僅かなランプの光を頼りに見飽きた文書を何度も何度も読み返す。「あなた、まだいらしたんですか? もうとっくに真夜中ですよ。皆さまも帰られましたし、あなたも休んではいかがですか?」「なんだ、まだ起きていたのか。とっくに寝ているものだと思ったが随分と多忙なのだな」 皇帝は本から視線を逸らすことなく応えた。「まさか、あなたに比べたら大したことなんてありません」 皇后は和かに応えた。「なるほど。それで? 私は、まだしばらく残ってやることがある。それが終わるまでは床にはつけない。お前は、どうするんだ?」 皇帝は、ジッと文字の一点を見つめる。「なら、私もしばらく残りますわ。あなたが寝るまでは皇后として、この国の為に何か出来ないか考えてみます」「そうか。それは結構なことだ。なら、また一つ寝る前に覚えて行くと良い。この宮殿内には一つだけ如何なる者も皇帝たる私の許可無く出入りすることが許されない部屋が存在している。それは薄暗く小さく宮殿内に相応しくない作りをしている。しかしだ、もし仮に許可無く、指先一つでも侵入したことが、この私に知られたら…… その日が、その侵入者の命日となるだろう。ところで、なぜいつも、お前が私を見に来る度、私は、この本から目が逸らせなくなってしまうんだろうな。いつも不思議で仕方ない」「どうして……? その本が、それ程までに、お好きだからではないのですか? それか……」「足元に気をつけろ。危ないぞ」「足元…… あっ、ごめんなさい……」 その時、皇后は何かに気づいたかのような様子で、その右足を、ゆっくりと部屋の境界線の外に追い出した。 皇帝は読んでいた本を静かに閉じると、視線を皇后に向けた。「それと、一体いつから、この部屋には自前のランプが置かれるようになったんだ? 何度、勝手に入るなと私は言った? しばらくの間、この部屋の鍵は私が預かっておく。くれぐれも勝手な真似はするなよ」 皇帝は一つため息を吐いた。 「"ランプ……? あなたのではないんですか?"」  皇帝の表情が強張る。咄嗟に持っていた本を机の上に置く。「ッ!?」 足りない…… 何か足りない……「どうかなさいましたか?」 皇后が心配そうに見つめる。「何を見た…… イザベラ、この部屋で何を見た…… い
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