「私に何か用かしら? 良いわよ。少しだけ話相手になってあげる。あなた、名前はなんて言うのかしら? ちなみに私はべニート・リアナっていうの。これでも、ディグニス帝国皇位継承権第一位なのよ。凄いと思わない?」 姫は腰を低く目線を下げると、野良ネズミに対し自慢気に話を進める。側から見れば、それは滑稽以外の何ものでもない。 「チュチュッ!」 「チュチュッていうの? 珍しい名前ね。でも気に入ったわ。貴方、私の従者になりなさい。そうすれば特別にチュネープ公爵の爵位をあげても良いわよ。領地は…… そうね、この宮殿内全部よ。あっ、でも図書館は言っちゃ駄目よ。馬鹿になるから。どう? 悪くないと思わない?」 姫はそっと手を差し出す。するとチュネープ公爵は姫から逃げるように側の階段を駆け上がる。姫はその姿を前に吐息をもらす。なんで皆んな逃げるのよ…… 姫が視線を上げると、チュネープ公爵が自分を見下ろしていた。 「あら、随分と偉そうな態度をとるじゃない。でも良いわよ、私優しいから今すぐに降りて謝ってくれたら許してあげる。ほら、早く降りてきなさいよ」 しばらく向かい合って対峙した後、痺れを切らした姫が階段に足をかける。すると、驚いたチュネープ公爵はさらに上へと駆け上がり階段の奥へと姿を隠した。 「ちょっと! せっかく私が許してあげるって言ってるのに、それを無視するなんて貴方ね…… まったく…… フフッ。私の言葉を無視するなんて…… 良いわよ、絶対に見つけてあげるから」 姫は誰もいないことを密かに確認する。「ちゃんと隠れるのよ」一言呟き、姫は陽気な態度で暗闇の中を駆け上がる。 「あら、随分と隠れるのが上手いのね。暗くて良く見えないのもあるだろうけど……」 姫は壁にかけられたランプを手に取る。しかし、その視線はある一室の扉に止まる。僅かに開いた扉、その隙間から差し込む光に導かれる様に姫は足を運ぶ。 「もうっ、勝手に人の部屋に入ったりしたら駄目よ。怒らないか
Dernière mise à jour : 2026-03-04 Read More