紀田明(きた あきら)に三年も片想いし続けて、告白するたびにその場でフラれてきた。それなのに、十八歳の誕生日になって、なぜか彼は私の想いを受け入れてくれた。その夜、彼のまやかしの優しさに惑わされ、すべてを委ねてしまった。それから一年後、双子を身ごもったが、彼の態度は曖昧なまま。産むのか堕ろすのか、答えはくれなかった。仕方なく独りで病院へ行き、手術を終えて帰ると――個室のソファにだらりと寄りかかる彼が、何気なく呟いていた。「夕恵(ゆえ)か?孕んだから堕ろしたんだ。しばらくヤれなくてさ、マジでつまんないんだ。だがよ、あの女、俺にベタ惚れでさ。子供ができたっても、自分からサクっと処理しやがる。文句も言わねぇから、都合がいいんだろ」明の冷たい言葉は、あたかも刃のように、私の心臓を打ち抜き、その場に釘付けにした。まるで奈落の底に突き落とされ、光など一切ない絶望に飲み込まれるようだった。ドアを押す手がピタリと止まり、血の気が一気に引くのと裏腹に、耳だけがカーッと熱くなった。薄暗く喧しい個室で、明の悪友たちは顔を見合わせてニヤリと笑った。「なぁ、数日会わないだけで、もうあの小娘に恋しくなったのか?ったく、彼女のどこがいいんだ?」私は深く息を吸い、耳を近づけてじっと聞き耳を立てる。ワイシャツのボタンを二つ外し、ソファにだらりと寄りかかる明から、低く軽い声が断続的に聞こえてきた。その口調は軽薄そのものだった。「お前らわからねぇな。一つ、処女で清潔だから、病気の心配がない。二つ、スタイルがいい。デカパイで顔も可愛いし、脚は長くて白い。最後は、俺にべったり惚れっぱなしで、孕んでも自分で処理する。弄びやすいんだよ」「おいおい、流石は紀田家の若様だぜ、マジでやべーな!どうやってここまで調教したんだ?でもさ、あの女、お前にそこまで惚れっぱなしで、しかも三年も付きまとってるんだぞ?一発当てようって女なんじゃないか?」明は自信満々に手を振り、得意げに言い放った。「ありえない。三年も様子を見てきたんだ。金目当ての女とは根っから違う。夕恵はな、マジで俺に首っ丈なんだ。堕ろすって方もあいつが自分から言い出したんだぜ。孕んだって聞いて、どこのありふれた女みたいに、薬飲むのサボって、子をダシに縋り付いて来るんじゃないかと思った。ついカッとな
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