All Chapters of 独占欲に捕らわれて2: Chapter 11 - Chapter 20

103 Chapters

依存の海4

「ねぇ、紅玲……。もう限界よ……。はやく犯して? 紅玲が欲しくて、どうにかなりそう」潤んだ目で見上げられ、紅玲の支配欲が刺激される。「いいよ。今日はチサちゃんが嫌だって言っても、やめてあげないから」紅玲はそう言ってキスをひとつ落とすと、起き上がって千聖の足をやんわりと開かせる。「チサちゃんのココ、愛液ですごいことになってるよ? ベッドにまで零れて、もったいないなぁ……」紅玲は千聖のヴァギナに口を寄せると、じゅるじゅると大きな音を立てながら、愛液を啜る。それだけでは飽き足らず、舌でGスポットを刺激しながら愛液を掻き出していく。「ああああっ!! や、あぁ……! ひぅ!? ゃ、そこは……ああぁ!」千聖は羞恥と快楽に身悶えながら、シーツを握る。「飲んでも飲んでも溢れてくるよ? 舌だけじゃ足りないよね? 今度は指も使って、気持ちよくしたげる」今度は指を2本挿入し、クチュクチュと音を立てながら広げるように掻き回す。クリトリスを舌で包み、小刻みに動かした。「ひあああぁっ!! りゃめっ、あ、あぁんっ! もうイく、すぐにイッちゃうぅ! あぁ、はぁ……」イく寸前で指と舌が離れ、悩ましげな吐息が千聖の口から零れる。「すぐにイっちゃダーメ。オレのことも満足させてくれなきゃ」「あぁ……紅玲、はやく……!」ニヤリと笑う紅玲に、千聖は潤んだ目で懇願する。「さて、今日は何個消費するんだろうね?」コンドームを咥えると、紅玲は見せつけるように封を切った。すでにパンパンに膨れ上がった凶器のようなペニスにコンドームを被せると、千聖のヴァギナに先端を擦り付ける。「いやぁ……これ以上、焦らさないで……」「チサちゃんは欲しがりさんだね。そんなに急かさなくても、すぐにあげるよ」紅玲は狙いを定めると、ゆっくり腰を落としていく。徐々に支配されていく感覚に背徳を覚え、千聖は小刻みに震える。「はぁ……っ、あぁ……! 紅玲で、満たされて……んあぁ!」3分の2までゆっくり入れると、紅玲は一気に腰を落として最奥まで侵入した。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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依存の海5

「すごい締め付け……。そんなにオレが恋しかった?」「えぇ、そうよ……紅玲が欲しくてたまらなかったのぉ……。ねぇ、はやく動いて? たくさん突いて」千聖は覆いかぶさる紅玲の首に腕を回しながら、躊躇うことなくおねだりしてみせた。「オレを求めるチサちゃんは、この上なく可愛いよ……」紅玲は熱っぽく囁くと、鎖を引きながらキスをする。「お望み通りに……」千聖の手首を押さえつけるように掴むと、紅玲は千聖の弱点を抉るように腰を動かし出す。「ああぁ……! そこは、あっ、やあぁ! 反則、よ……!」「好きでしょ? 弱いところをグリグリされるの」耳元で囁くように言うと、小刻みに突き上げて千聖の弱点を攻め立てる。「ひぅっ!? や、やぁ……! あっ、アッ、ああああぁっ!!!」執拗な攻め立てに千聖は絶頂を迎え、紅玲を締め上げる。「くっ……はぁ……。イくの早すぎ……。オレまでイッちゃいそうになったよ……」「だ、だって……はぁ……紅玲が、いいところばっかり、するから……」千聖が息も絶え絶えに言うと、紅玲は小さく笑って再び腰を動かした。「ひゃうん!? や、待って……ああぁ……!」「待てないよ、オレはまだイッてないんだから」今度は貪るように大きく腰を打ち付ける。「んあぁ……! は、やめ……っ、ああぁ!」耐え難い快楽に、千聖はいやいやと首を横に振る。鎖の音が、紅玲の独占欲と加虐心を煽り立てる。「今やめて苦しくなるのは、チサちゃんなのにね?」紅玲はクスクス笑いながら言うと、千聖を抱き上げて座った。「え? あああぁっ!! 深、い……あ、あ、ああぁ……!」千聖は紅玲の首にしがみつき、ゆるゆると腰を動かす。「そんなんじゃ満足しないの、知ってるでしょ?」紅玲は千聖の耳を食むと、彼女の腰を掴んで突き上げる。激しいふたりの動きに合わせ、鎖はうるさいくらいに鳴る。「やああぁっ!!! そんなされたら、んぁ、あぁ……! またイく、イッちゃうのぉ!」「いいよ、乱れてみせて。オレももう、イきそう……!」紅玲はラストスパートをかけると、千聖の最奥に落ち着かせる。千聖を強く抱きしめ、小さく呻いて欲を吐き出す。「……っ! はぁ……」「あああああぁっ!!! はぁ、あぁ……」再び果てた千聖は、紅玲にもたれ掛かる。紅玲はそっと千聖を横たえると、ゆっくりペニスを抜いた。「んっ…
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行

「ん……げほ、ごほっ……うぅ……」目を覚ました千聖はむせ返り、喉をさする。「おはよう、チサちゃん。真夜中だけどね」寝間着代わりのシャツに着替えた紅玲が、水を差し出してくれる。千聖は水を受け取って半分近く飲むと、息をつく。「ありがとう、紅玲。今は何時かしら?」千聖は薄手のカーテンがかかった窓を見ながら聞いた。外はもう真っ暗になっていることだけは分かる。「真夜中2時だよ。お腹空いたでしょ? 野菜スープ作ったから食べる? そんなにカロリーないから、食べても大丈夫だと思うけど」「もうそんな時間だったの……。そうね、いただくわ」ベッドから降りて、千聖は自分が服を着ていることに気づく。首輪も外されているようだ。「服、ありがとう」「どういたしまして。一応躯も一通り拭いたけど、気になるようならお風呂に入るといいよ」至れり尽くせりな紅玲の行動に愛を感じ、千聖は頬を緩ませる。「なにかいいことあった?」「えぇ、愛されてるなって」千聖は背伸びをして、紅玲の頬にキスをした。「可愛いことしてくれるね」紅玲はキスをされた頬に触れながら言う。「気のせいよ。あぁ、おなかすいたわ」千聖は照れ隠しに素っ気なく言うと、部屋を出た。「“可愛い”なんて言われ慣れてるくせに照れちゃって。本当に可愛いなぁ」口元に弧を描きながら言う紅玲だったが、言い終わった途端、冷めた目をする。「何人の男に言われてきたんだろうねぇ?」背筋が凍るほど冷たい声で呟くと、紅玲は笑顔を作り直して千聖を追いかけた。台所に行くと、紅玲はスープが入った鍋を温め直す。「お風呂はどうする? 入るなら、追い炊きしてくるけど」「お気遣いありがとう。でも、それくらい自分でやるわ」千聖はそう言って台所を後にする。「どうすれば、チサちゃんはオレだけを見てくれるんだろう……?」紅玲はスープをかき混ぜながら呟き、ため息をついた。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行2

「美味しそうな匂いね」戻ってきた千聖は、おだやかな表情を浮かべながら戻ってきた。「ちょうど温まったよ」紅玲はふたり分の野菜スープを皿によそると、食卓に置いた。「こんなに野菜が入ってるなら、おなかも満たされそうね」大きくカットされた野菜がゴロゴロ入ったスープを見ながら、千聖は嬉しそうに言う。「いただきます」スプーンでひと口大のにんじんをすくって食べると、ろくに噛まなくても潰れた。「どう?」「よく煮えてて、とっても美味しいわ」「よかった。それを食べたら、はやく寝ないとね。もう月曜日だし」紅玲の言葉に、千聖は固まる。「そうだった……。はぁ、やっちゃった……」肩を落とす千聖を見て、紅玲は嬉しくなる。(こんなチサちゃんを知ってるのは、オレだけだよね。オレしか知らないチサちゃんを、もっと見たいなぁ……)「大丈夫、ちゃんと起こしてあげるから」欲望をひた隠しにしながら、紅玲は優しく微笑む。「ありがとう、助かるわ……」千聖はホッとしたような顔をすると、再びスープを口にした。スープを食べ終えると、紅玲はふたり分の食器をまとめる。「オレが洗っておくから、入ってきちゃって」「ありがとう、お言葉に甘えるわ」千聖は早歩きで台所から出た。「仕事を辞めれば、こんな慌ただしくする必要ないのにねぇ……」千聖の足音を聞きながら、紅玲は食器を洗って寝室に戻った。紅玲が寝室に戻って10分後、パジャマ姿の千聖が髪を拭きながら戻ってくる。「こっちにおいで、乾かしたげる」化粧台の椅子を引きながら、紅玲は手招きをする。千聖は嬉しそうに口角を上げると、椅子に座った。紅玲は千聖が持ってきたタオルで水分をあらかた拭き取ると、あらかじめコードをさしておいたドライヤーで温風をあてながら、櫛をいれる。「ふふっ、こうして人にやってもらうのって、すごく心地がいいのよね……」「チサちゃんは乾かしてもらうの好きだよねぇ。今までもそうだったの?」紅玲の言葉に、千聖は振り返る。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行3

「それはどういう意味かしら?」紅玲はドライヤーを止める。「前にも、誰かにやってもらってたの?」「子供の頃、お母さんにやってもらったわ。あとは……、優奈の家に泊まりに行った時とか、あの子にやってもらったくらいね」千聖の返答に、紅玲は安堵の笑みを浮かべる。「よかった、オレ以外の男にはこんなことさせてないみたいで」「信頼してる人にしか、髪は触らせないもの」そう言って千聖が前を向くと、紅玲は穏やかな表情を浮かべながら、再びドライヤーにスイッチを入れる。髪が乾くまで、ふたりは鏡越しに見つめ合いながら他愛のない話をした。「はい、できたよ」仕上げに冷風をかけ終えた紅玲は、ドライヤーをしまいながら言う。「ありがとう、紅玲。いつも助かるわ」「これくらいするのは当然だよ。さぁ、もう寝ようか」「えぇ、そうね」ふたりはベッドに入り、千聖は紅玲の腕の中で目を閉じた。翌朝6時半、紅玲はひと足早く先に起きて台所に立つ。黙々と朝食と千聖の弁当を作ると、食卓に朝食を並べて寝室に行く。千聖はベッドの上で丸くなって眠っている。「可愛い寝顔……。起こしたくないけど、仕方ないよね」紅玲は自分に言い聞かせるように言うと、千聖の肩を揺すった。「チサちゃん、起きて。朝だよ」「んんー……もうなの……?」千聖は目を擦りながら、不機嫌そうな声を出す。「もう少しで7時になるよ」「うぅ、今起きるわ……」千聖は躯を起こすと、大きく伸びをする。「台所で待ってるよ」「えぇ……」まだ眠そうな千聖の返事を聞くと、紅玲は台所に戻った。「さてと、お寝坊さんのためにも、濃いめに淹れようか」紅玲は珈琲フィルターなど必要なものを出すと、電気ケトルでお湯を沸かす。あとはお湯を注ぐだけの状態にすると、スーツに着替えた千聖が台所に来た。「おはよう、チサちゃん」「おはよう、紅玲。今日も美味しそうな朝食ね」千聖は指定席に座りながら言う。食卓の上には、鮭の塩焼きに味噌汁、卵焼きに白米と和風の朝食が並んでいる。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行4

「チサちゃんの好みはだいたい把握してきたからね。仕事がある日の朝は、ご飯がいいんでしょ?」「そうよ、よく分かってるじゃない」千聖は満足気に微笑むと、いただきますをして朝食を食べ始めた。紅玲は珈琲を淹れると、マグカップを食卓に置きながら座る。鮭の塩焼きをひと口食べると、満足気に頷いた。「うん、塩抜きして正解だった」「塩抜きって?」千聖は質問をすると、自分でも鮭の塩焼きを食べてみる。「スーパーでバラ売りしてる鮭ってお店の人が塩を振ってるんだけど、夕方とか夜に買うと、塩が鮭に染み込みすぎてしょっぱかったりするんだよね。これは夜に買ったやつだから、塩水で塩抜きしたんだよ」「へぇ、詳しいのね」千聖は感心したように言う。「まぁね。ところで今日はオレも朝早くから出かけるから、一緒に出るよ」紅玲の言葉に千聖は目を輝かせる。「本当に? 朝から一緒にいられるなんて嬉しいわ」「……オレもだよ」紅玲は別の言葉を飲み込むと、作り笑いをして答えた。朝食を終えると、ふたりは食器を冷やして家を出た。「朝からこうして手を繋いで歩けるって、幸せだなぁ。朝の散歩でも習慣にしようかな」紅玲は繋いだ手に軽く力を入れながら言う。「ふふっ、健康的でいいんじゃない?」「何よりこうしてチサちゃんといる時間が長くなるしね」「またそういうこと言う……」千聖は頬を染めながらも、紅玲に寄りかかる。「まんざらでもないくせに」「照れるものは照れるのよ……」紅玲にからかわれながら雑談していると、あっという間に千聖の会社に着いてしまった。「残念だけど、仕事に行ってくるわ」「うん、頑張ってね」紅玲は千聖の頬にキスをする。会社に入ろうとしていた人達は、目を丸くしてふたりを見る。「ちょっと……!」「あっはは、じゃあね」顔を赤くする千聖に手を振ると、紅玲はその場を後にした。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行5

紅玲はコンビニに寄るとエナジードリンクを買って、ネットカフェに入った。「どうなるかな……」神妙な顔をして呟くと、USBメモリを差し込み、ワードを開く。書きかけのシナリオを開いて書き始めるが、すぐに手が止まってしまう。「はぁ……寂しすぎてどうにかなりそう……」盛大なため息をつくと、チラリと時計を見る。まだ9時手前だ。「はやく10時にならないかなぁ……」紅玲はエナジードリンクを半分近く飲むと、再びキーボードに指を滑らせた。だが10分もしないうちに紅玲の手は止まる。「死にそう……」蚊の鳴くような声で呟くと、紅玲は背もたれに寄りかかる。千聖と同棲するようになって1週間ほど経った頃から、シナリオライターとしての仕事が上手くいっていない。というのも、千聖がいない時間は情緒不安定になってしまうため、なにをするにしてもすぐに集中力が途切れてしまうのだ。ギリギリ納期には間に合わせてはいるが、情緒不安定が悪化して納期が遅れるようになるのも時間の問題だと、紅玲本人も分かっている。「どうしたら、チサちゃんはずっとオレのそばにいてくれるんだろう……?」本日何度目か分からないため息をつきながら、適当な言葉を検索していく。“逃避行”と検索したところで、妙案を思いついた。「そっか、チサちゃんにも同じ思いをさせればいいんだ」紅玲の目はとたんに輝きだし、調べごとをしながらノートになにかをまとめ始める。「うん、微調整とか必要だけど、こんな感じかな」紅玲は満足気に頷くと、ノートをしまって時計を見る。もう10時手前だ。「急いで出なきゃ……」USBメモリを抜いて荷物をまとめると、紅玲はネットカフェを後にした。10時2分になると、紅玲は千聖に電話をかける。千聖はワンコールで出てくれる。『もしもし、紅玲』愛しい人の声に、頬が緩む。「お疲れ様、チサちゃん。仕事は順調?」『えぇ、順調よ。そっちは?』「なかなかいい感じにまとまってきたよ」USBメモリで手遊びをしながら言うと、千聖のホッとしたような息遣いが聞こえてきた。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行6

『それならよかったわ。最近、時々思いつめたような顔をしてたから、心配だったの』「……気づいてたの」うまく隠せていたと思っていた紅玲は、驚きのあまり返事が遅れる。『恋人なんだから、当然でしょ? お手洗いに行くから、そろそろ切るわね。新しいシナリオ、楽しみにしてるわ』「うん、期待してていいよ。それじゃあ、またね」電話を切ると、紅玲は軽い足取りで帰路を辿る。「バレてたのはちょっと悔しいけど、気づいてくれたのは嬉しいね」そう呟くと、口角を上げた。一方千聖はというと、電話を切ってからお手洗いに行った。スカートをたくしあげて黒タイツを下げると、赤いまだら模様の太ももが目に入る。「もう、なに考えてんのよ……」頬を染めながら言うと、洋式トイレに腰掛けた。昼休みになると、後輩達と一緒にランチを食べる。彼女達は食堂で買って食べるが、千聖だけは紅玲の手作り弁当だ。「綾瀬先輩、また彼氏さんのお弁当ですか」後輩の瑞希はカツカレーを持ってきながら、羨ましそうに千聖の弁当を覗き込む。「少し前まではここのパスタが1番だって言ってたのに……」「まさか綾瀬先輩に彼氏が出来るなんて、夢にも思いませんでしたよ。しかも超イケメン!」千春と美幸も、それぞれ昼食を持ってきた。「なんで美幸が綾瀬先輩の彼氏知ってんのよ?」「だって今朝、キスしてましたし。会社前で」美幸の言葉に、3人はむせ返る。「み、見てたの……?」「バッチリ!」恐る恐る言う千聖に、美幸は親指を立てて頷いた。「見たかったなぁ……」「おアツいことで」羨む瑞希と冷やかす千春に、千聖は頭を抱える。「あーもう、冷やかさないでちょうだい……。あれは、私も予想外だったんだから……」「で、綾瀬先輩の彼氏さんってどんな人なんですか? 写真見せてくださいよ」瑞希は目を輝かせながら、身を乗り出す。「やめておくわ。好きな物は独り占めしたいの」千聖が片目を閉じながら言うと、3人の後輩達ははしゃぎ出した。(惚気けるのも、悪くないものね)自分の恋人についてあれこれ想像を膨らませる3人を見ながら、千聖は静かに口角を上げた。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行7

夕方、仕事を終わらせた千聖は、寄り道せずにまっすぐ帰る。「ただいま」声をかけながら玄関を開けるが、返事はない。「鍵は開いてたし、出かけてるってこともないわよね……?」千聖は不自然に思いながらも、家の中に入る。ヒールを脱ぐついでに紅玲の靴を見るが、普段使いの靴は置いてある。リビングに行くと、紅玲はソファに寝そべって本を読んでいた。「ただいま、紅玲」千聖が少し大きめの声で話しかけると、紅玲は躯を揺らして顔を上げた。珍しく黒縁メガネをかけている。「あぁ、おかえり、チサちゃん」紅玲は本に栞を挟むと、伸びをする。「随分熱心に読んでたじゃない? なに読んでるの?」出迎えがなかったのが寂しくて、ついトゲのある言い方をしてしまう。「んー? グリム童話だよ。名前だけは聞いたことあるけど、ちゃんと読んだことないから読んでみたら面白くてさ。個人的には青髭がお気に入りかな」不機嫌な千聖に気づかないのか、紅玲は無邪気に本の話をする。「あ、洗濯物取り込まなきゃ……」紅玲は千聖に触れることなく、リビングから出ていってしまった。(なによ、いつもは帰ってきて早々首輪つけたりするくせに……)千聖はむくれながら、先程まで紅玲が座っていた位置に座る。「そんなに面白いものなの?」テーブルに置いてあるグリム童話を手に取ると、目次を開いた。目次には“赤ずきん”や“ブレーメンの音楽隊”などといったメジャーな話もあるが、“ホレばあさん”や“ねずみと小鳥とソーセージ”など、聞いたことないタイトルも多々あった。青髭は最後の話らしい。千聖はさっそく、青髭を読み始めた。話のあらすじはこうだ。森の中に3人の息子と美しい娘と暮らす男がいた。ある日大勢のお供を乗せた6頭引きの黄金の馬車がやってくる。馬車からどこかの王様が降りてきて、娘を欲しいという。申し分のない花婿に男は喜ぶが、娘は嫌がった。というのも、花婿の青ひげが恐ろしい。「あ……」そこまで読んで、紅玲に本を取り上げられてしまった。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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紅玲の取材旅行8

「まだ読み終わってないんだよねぇ。読み終わったら、貸したげる」「でも紅玲、青髭が特にお気に入りだって言ってたじゃない。青髭は最後の話よ?」「先に青髭を読んだんだよ。それ以外はまだ半分くらいしか読んでないよ。それよりチサちゃん、お風呂沸いてるよ。夕飯の支度してるから、入ってきちゃって」自分にまったく触れようとしない紅玲に、千聖はむくれる。「さっきから何よ、全然私に触ろうとしないで……。おかえりのキスもしてくれないわけ?」紅玲は一瞬だけ目を丸くして、千聖を抱きしめる。「ごめんね、チサちゃん。ヤキモチ妬くチサちゃんが見たくなっちゃって。愛してるよ、チサちゃんだけをね」そう言って触れるだけのキスをするが、千聖はご機嫌ナナメのままだ。「いやよ、そんなのじゃ」「じゃあ、オレの上に乗る?」紅玲は千聖を抱き上げると、ソファに座った。後ろから抱きしめる形にすると、彼女の豊満な胸を服の上から揉みながら、何度もキスをする。「んっ、ふぅ……は、んんっ、んぁ……」貪るような深い口付けに、千聖の腰はゆるゆると揺れ動く。「キスだけで蕩けちゃうチサちゃんは、すっごく可愛いよ……」耳元で甘く囁かれ、千聖は小刻みに震える。「耳、好きだもんね? 寂しい思いさせちゃったぶん、たーくさん愛したげるね」紅玲は千聖の耳を、口にふくんだ。「ひゃうぅっ!?」「んっ……好き、大好き、愛してる……。オレの可愛いチサちゃん……」水音と愛の言葉が直接響き、千聖は身悶える。「あ、あぁ……! はぁ、んっ……! ぁ、私も、好きよ……あ、はぁ……っ、愛してるわ……」「感じながら愛を伝えてくれる姿も、すっごくそそる……」今度は首筋に舌を這わせながら、ブラウスのボタンを外していく。「んあぁ……! や、ああ……っ、はぁ、紅玲……。あなたのココも、窮屈そうよ?」千聖は器用に、後ろ手で紅玲のベルトを外し、ジッパーを下ろした。
last updateLast Updated : 2025-12-17
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