「ちょっと待て」混乱する頭を整頓するため、ルシアンはアリアに待ったをかけた。ルシアンの制止に、何かを言おうとして開いていた口をアリアが閉じる。(素直だな)視線を少し外して、ルシアンの要求通り『待つ』姿勢のアリアにルシアンは新鮮な驚きを覚えた。ルシアンにとって、レオンハルトのような一部を除き、貴族とは話しをよく聞かない相手だった。特に、ルシアンの元にやってくる貴族令嬢たちは話を聞かない。ルシアンとて、丁度よく性欲が発散できると言っても、鬼畜生ではない。関係を持っても、結婚という形で責任をとる気はないと伝える気でいる。だから「待て」というのだが、彼女たちはルシアンを落とすという目標に焦っているため、ルシアンの話を聞かずに襲い掛かってくることが多い。ただ、貴族令嬢側にも事情はある。ルシアンにとっては彼女たちの夜這いの目的は「貴族の地位を失いたくないため」という認識である。確かに、これも間違いではない。ルシアンの思っている通り、彼女たちはルシアンの貴族籍が欲しくて魔塔にやってくる。彼女たちはルシアンの容姿も知らずに魔塔に来る。目的は貴族籍なので、醜くてもいいというのが彼女たちの認識。魔塔から出てこないルシアンなので夫婦生活はないに等しいだろうし、見映えのよい男性を愛人として側に置くことは王都にいる貴族夫人にとって珍しいことではない。そんな気持ちでやってきた彼女たちは、ルシアンの容姿に驚くことになる。華やかな王都で美男を見慣れている彼女たちも息を飲むほど、ルシアンの容姿は王都でもトップクラス。社交界で一、二を争うレベル。ルシアン本人は至極面倒臭がりだが、神様は彼を作るときにかなり手間暇をかけたようだというのが、レオンハルトの評価である。よって、ルシアンを一目見た瞬間に、彼女たちのやる気は最大値になる。言葉を変えれば「なりふり構っていられない状況」になり、関係を持っても結婚はしないとルシアンが明言しても「大丈夫です」と納得する振りをして、とにかく関係を持つことを目標としてしまう。することも多い。その結果、「私を抱いたのに」と泣く女性を前に、「責任は取らないと言ったのに」とルシアンが困ったことが何回かあり……。(だから貴族令嬢の「大丈夫」など信じないのだが……いや、いまの問題はそれではない)「えっと……そもそも、どうして俺に求婚を
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