秘密機関で働いている俺は、上司の指示で姉の会社に書類を届けに来た。彼女のオフィスに足を踏み入れた途端、一人のインターンが俺の前に立ちはだかった。「お前が新しく来たアシスタントか?」俺を上から下まで値踏みするように眺め、最後に手にしている書類へ視線を落とすと、鼻で笑った。「初日から松宮社長にアピールしようって?何様のつもりだ」そこでようやく気づいた。こいつ、俺のことを恋敵だと思っている。けれど、姉から彼氏がいるなんて聞いたこともない。説明しようと口を開きかけた瞬間、頬に焼けるような痛みが走った。平手打ちだった。「松宮社長のアシスタントは俺だけだ!彼氏の座なんて、絶対譲らないぞ!」頭を掴まれ、そのまま熱々の茶を顔にぶちまけられる。「わかったぞ。お前、金持ち女をたぶらかす気だな?なら、今日は代わりに親のしつけをしてやるよ!」俺は床にうずくまりながらも、必死に書類袋だけは体で守った。その仕草が完全に癇に障ったらしい。やつは袋を乱暴に奪い取り、社員たちの前でびりびりに引き裂いた。さらに厚かましくも、姉に向かってこう言った。「さっき、この下劣な男があなたを誘惑しようとしていたんです!でも安心してください。もうしっかり懲らしめておきました!」......「こいつ、ほんと命知らずだな。松宮社長に色目使うなんて。今泉さんに目をつけられたら終わりだというのに」「まだ知らないんだろうな。今泉さんはインターンだけど、親父は会社の重役だって。前に松宮社長に近づこうとした男たち、どいつも無事じゃ済まなかっただろ」周囲の社員たちのざわめきが絶え間なく耳に入る。今泉篤志(いまいずみ あつし)は俺を見下ろし、目には露骨な軽蔑が滲んでいた。次の瞬間、頭を強く引き掴まれ、無理やり体ごと引き上げられる。頭皮が裂けるような激痛に足の力が抜け、思わずうめき声が漏れた。だが返ってきたのは、さらにもう一発の鋭い平手打ちだった。「そんな色っぽい声出して誰を誘惑してんだ?いいか、松宮社長は今日は外で接待中で会社にはいない。妙な真似をするなら、ただじゃおかねえからな!」胸の奥で怒りを押し殺しながら、なんとか言い返そうとしたその時、床に落ちていたスマホが突然鳴り出した。画面を見ると、上司からだった。手を
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