『世界の半分』(原題:'Half of a Yellow Sun')はチママンダ・ンゴズィ・アディーチェによる歴史小説で、ビアフラ戦争を背景にした群像劇です。1960年代のナイジェリアを舞台に、知識人ウデン、彼の愛人オルン、使用人少年ウグウの3人の視点から物語が展開します。
戦争勃発前の穏やかな日常から、イボ族虐殺や飢餓といった悲惨な現実へと移り変わる様子が、彼らの人間関係を通じて描かれます。特にウグウの成長と裏切り、オルンの強さと脆さの対比が印象的。アディーチェは個人の運命と国家の分断を重ね合わせ、戦争が人間性をどう変質させるかを問いかけます。
最終章でウデンが書いた本の真実が明らかになるシーンは、記憶と歴史の捏造というテーマを浮き彫りにします。植民地支配の影響、民族意識の芽生え、知識人の責任まで、重層的な問題を孕んだ傑作です。