翻訳という仕事で頻繁に出くわす語彙のひとつが『軋轢』で、場面や登場人物の関係性によって英語の選び方がかなり変わる。経験から言うと、まず無難で汎用性が高いのは "tension" と "friction" だ。たとえば「部署間の軋轢が表面化した」は "Tension between the departments surfaced" や "Friction between departments came to light" と訳せる。どちらもビジネス文脈でよく使われ、読み手に自然に入る表現になる。
さらにニュアンスを絞るなら、亀裂や決定的な対立を強調したい場合は "rift" や "a rift developed"、もっと敵対的で感情的な衝突なら "conflict" や "antagonism" が適切だ。例として「家族内の軋轢が原因で疎遠になった」は "A rift developed within the family, causing estrangement" とすればニュアンスが伝わる。逆に、些細な不和や摩擦を示すなら "friction" を使い、行為としての「摩擦を生む」は "to create friction" とするのが自然だ。
文体や対象読者も意識する必要がある。公式レポートなら "tension" や "discord" を選び、会話調や小説的な文なら "a strained relationship" や "sour relations" のように語感を重視して翻訳する。私はいつも原文のトーンと登場人物の感情の強さを天秤にかけ、これらの語彙を組み合わせて訳出している。
英語で「淘汰される」は自然淘汰の概念から来る 'be weeded out' が一般的ですね。例えば競争の激しい業界で『能力のない企業は淘汰される』なら『Incompetent companies get weeded out in competitive industries』と表現できます。
面白いことに、生物学的な文脈では 'natural selection' が使われますが、ビジネスやスポーツなどでは 'phase out' や 'fall by the wayside' といった表現も使われます。『The old system was phased out gradually』(古いシステムは徐々に淘汰された)のように、変化の過程を強調する時にも便利です。淘汰という概念は意外と多様な表現で言い表せるのが興味深いところです。