夫の死後、私たちは盛大な結婚式で再会した夫の真田昴(さなだ すばる)が墜落死して四年目、私はようやく彼が残した四千万円の借金を返し切れるだけの金を貯めた。
病んだ体を引きずって返済に向かったのに、警備員に乱暴に突き飛ばされた。
「今日は久我家の本物のお嬢様の世紀の結婚式なんだよ。ホームレスはあっちへ失せろ!」
私は振り向き、そこで飾られていたウェディングフォトに、昴の顔を見つけた。
そんなはずがない。彼はたしかに、私の目の前で崖から落ちて死んだはずなのに。
私はホテルの裏手へ回り込み、はっきりさせようとした。
けれど不意に、昴の友人たちがからかうように笑う声が耳に入った。
「昴さん、わざわざ死んだふりまでして久我彩花(くが あやか)と結婚するなんて、そこまでしてこそ本物の愛だよな!」
「だって本物のお嬢様だからな。久我瑞希(くが みずき)みたいな偽物のお嬢様じゃ、昴さんのそばに控えることさえ身の程知らずだろ!」
昴が軽く咳払いした。
「彩花の体は今年を越せそうにない。彼女と結婚するのも、その最期の願いを叶えてやるためだ。五年の約束が終わったら、俺は瑞希のところへ戻るよ」
私は必死に口を押さえた。指の隙間から血がにじみ出る。
でも、昴。
私は五年目まで生きられないのよ。