紫水と似た色の染料や絵の具はありますか？

紫水と言えば、医療用の消毒液として馴染み深いあの独特の色合いですよね。あの色を再現しようと思うと、実は結構難しいんです。アクリル絵の具で試したことがありますが、『ウィンザー＆ニュートン』のパーマネントマゼンタとフタロブルーを混ぜると近い色味が出せます。

ただし、紫水の特徴的な深みと透明感を出すには、グレーズ技法が有効です。薄く何層も塗り重ねることで、あの薬瓶の中の液体のような奥行きが表現できます。水性染料だと『リキテックス』のバイオレットが近いですが、完全に一致させるのは至難の業。紫水の色は時代やメーカーによっても微妙に異なるので、再現する際は参考にする実物の色味をよく観察することが大切です。

面白いことに、紫水のような色はデジタル画面上では#9F81F7あたりのヘキサコードが近いのですが、実際の画材でこれを再現するとなるとまた別の話。物質の持つ光の反射や透過の性質がデジタルとは根本的に違うからです。

紫水の色を探しているなら、植物由来の染料が意外なヒントになるかもしれません。ムラサキ草の根から抽出した紫根染めは、紫水に近い深い紫色を出せます。ただし天然染料は色落ちしやすいので、絵の具で考えるならやはり合成顔料が現実的。『ホルベイン』のバーントウンペールとバイオレットを少量混ぜると、あの消毒液らしい重厚な紫色が得られます。水彩で透明感を出す場合は、混色より単色のバイオレット系を薄めた方が紫水らしい清涼感が出せるでしょう。