ピロン
メッセージの着信を告げる音に、雪乃はスマホの画面を開いた。
『マンションの住心地はどうだ?』
その一文を見て、彼女は唇をひくつかせた。
「やだ、ストーカー??」
雪乃の呟きに、麻衣と友香は興味津々で彼女の手元を覗き込んだ。
「あら~、旦那さんじゃないっ。やっぱ心配なのね〜」
「いいですねぇ…。うちの旦那にも見習ってほしいです」
友人2人に羨ましがられても、雪乃はちっとも嬉しくなかった。
「だから、旦那じゃないってば…」
「はいはい。そうやって冷たくしてると、いつか捨てられちゃうわよ〜」
「……」
もう捨てられたし…。
雪乃はどうしても、前世での結婚生活を忘れることができなかった。
わかってる。今の悠一は前とは違うって。
でも前世あれだけ尽くしたのに、彼は自分に対して一瞬たりとも優しくなかったのだ。
春奈に対しては何でも好きにさせてたみたいで、これでもかってくらいの溺愛っぷりだったのに、自分は彼にとってただの家政婦で子守りだった。
そんな人生、もう繰り返したくない。
今はもしかしたら少しは自分を好きになってくれているのかもしれない。でも、これからもそうだとは限らない。
なんせ、今世もあの子たちがいるのだから…。
彼は自分の子じゃないって言ったけど、どうだか…て感じだ。
だって、自分の子供でもないのに籍に入れるなんて、それこそ愛してなければできない芸当だわ。
雪乃はふんっと鼻を鳴らした。
春奈たちが言い争いをしていた日、小野真里が仮眠を摂りに行っている間に悠一が子供部屋を訪ねてきた。
「雪乃…?」
そこにいた彼女に一瞬足を止めて、それから彼はそっとドアを閉め、子供たちの寝顔を見つめた。
「雪乃、ちょっと話せるか?」
そう言うと、彼女は「ええ…」と目の前にあるもう一つの椅子を指し示した。
「起きないか?」
眉を寄せると、彼女は小さく微笑んだ。
「大丈夫よ。小声なら起きないわ。泣き疲れて深く眠ったから」
「……」
悠一はそう言う雪乃の優しい眼差しを見て、ふと思ったことを口にした。
「ずいぶん、子育てに慣れてるんだな」
「……たまたまよ」
「……」
答える気はなさそうで、悠一はため息をついてとにかく言わなければならない事を言う事にした。
「雪乃、信じてほしい。まだ事情は言えないが、この子たちは俺の子じゃない。春奈とある男の子だ。」
雪乃はちらと悠一を見て、小さく「そ