LOGIN幼馴染の夫は妹との子供を引き取り、2人の子として育てるよう言った。 10年彼女は双子の世話に追われ、その間冷たい夫からはほぼ無視をされ、子供たちからもいつの間にか嫌われて、最終的に棄てられた。 初恋に敗れ、身内に裏切られ、彼女は死ぬ間際この結婚を後悔した。 そして彼女は、過去へと戻ったことを知った。 愛していても報われないどころか殺されるなら、もう自分を偽るのはやめよう。 「君、変わったね」 「ぶりっ子はやめたの。悠一、別れましょう」 子供の頃、お転婆で自由な彼女に惹かれた気持ちを思い出し、彼は前世と違って彼女を囲い込もうとしてきた。 「雪乃、愛してるよ」 「ご冗談」 彼女は綺麗に微笑った。
View More「何するのよ!!」次の日の夕方。ボディーガードに連れられた春奈が、悠一の前に乱暴に投げ出された。「痛っ!」ドサッと床に倒れ込み、春奈は目の前に綺麗に磨かれた革靴を目にした。顔を上げると、そこには底冷えのするような冷たい眼差しの悠一がいて、咄嗟に身を引いた。だがー「きゃあー!」髪の毛をガッ!と鷲掴みにされ、無理やり顔を上向けにされた。「痛い…」涙目で訴えたが、ふんっと嗤われた。「この程度で泣き言を言うな」「……」どんなに哀れを誘うような顔をしても、見つめる瞳には嫌悪と憎しみしか宿っていなかった。なんで…?春奈は、自分がなぜこんなにも悠一に憎まれたのか、分からなかった。だから、怯えながらも尋ねずにはいられなかった。「どうして?どうして、こんなひどい事するの?」「分からないのか?」悠一の瞳に、益々憎しみが込められた。「お前が、あのガキ共に余計な事を吹き込んだせいで、雪乃は死んだんだ」「え…」死んだ?誰が……。お姉ちゃんが…!?呆然としていた春奈が、急に意識を取り戻して叫んだ。「待って!お姉ちゃん!?お姉ちゃんが死んだって、そう言ったの!?なんで!!」「……」悠一は目を眇めて、目の前で焦ったように喚いている女を見つめた。まるで、自分に罪がないみたいに言うんだな…。だが、「どうしてお姉ちゃんが死ななきゃいけないの!?」彼女がそう言った途端、湧き上がる怒りが抑えられなかった。「お前だ!!お前が!あいつらに雪乃がいなければって言ったんだろうが!!」「!」ゼイゼイと肩で息をして、怒りを吐き出す悠一の目には、涙が滲んでいた。ああ…そうか…。あの子たちまだ小さいのに。そんなことしちゃうんだ…。春奈の目から光が失われた。そして、ふふっ…と小さく笑うと突然立ち上がり、ここに来た時から目に映っていた子供たちに向かって、怒鳴った。「この人殺し!!」咲良は驚愕に目を見開いて固まり、陽斗は地団駄を踏んだ。「なんだよ!僕はママの為にやったんだぞ!」「うるさい、バカ!あんたのせいで、お姉ちゃん死んじゃったじゃん!!」「バカって言うママがバカ!!」2人の罵り合いに咲良は泣き、悠一はイライラと歯を食いしばっていた。そしてダンッ!!と床を踏み鳴らし、3人それぞれに視線を据えた。「お前ら全員が人殺しだ。母子3人、仲良く罪を
邸の中は耳が痛くなるほどの静寂と、悠一の怒りのオーラが支配していた。小高を始めとした全ての使用人、邸のボディーガード、運転手、庭師に至るまで、全ての人間が集められた。「誰だ?」悠一の傍には先日の、雪乃を運んだという運転手が跪き、その彼の横には陽斗が転がされていた。まだ10歳程度の子供の頬は赤く腫れ上がっていて、泣きすぎて声も枯れていた。「うう…」「陽斗!大丈夫!?」連れて来られた咲良が横たわる弟に駆け寄り、目の前の使用人たちをギロリと睨みつけた。「誰よ!?」彼女は、弟が使用人の誰かに虐められたと思った。そして父親が、その犯人を今探し出している最中なのだと思った。だが…。「お前もそこに跪け」「え…」そうじゃなかった。悠一の冷たい声音に怯えながらも、彼女は納得がいかなかった。なんで私が…?だから、そう言った。すると、普段優しい訳ではないがひどくもない父親が、「あ"?」と睨みつけてきた。それにビクつきながら、それでもまた言った。「なんで私がそんなことしなきゃいけないの?私は、陽斗を虐めてなんかないわ!」「……」悠一はただ黙って、本邸から連れて来たボディーガードにクイッと顎をしゃくった。すると、そのボディーガードは咲良に近づいて来ると、ドンッと一切の容赦なく突き飛ばしてきた。「きゃあ!」床に強く膝を打ちつけて、痛みに涙が出た。「なにするの!?パパ!コイツをやっつけてよ!!」そう訴えたけれど、そこには彼の冷めた眼差ししかなかった。「パパ…?」そこで初めて何かがおかしいと気づき、咲良はキョロキョロと辺りを見回したのだった。だが誰もが彼女と目を合わせようとせず、怯えたように俯いていた。「ねぇ…これ、なに…?何が起こってー」「うるさい」その時、悠一の低い声が彼女の疑問を遮った。「いつまでもペラペラと…。少しは黙っていられないのか?」「パパ…」呟くと、一刀両断された。「俺はお前たちの父親じゃない」「!」「!!!!」そこにいる全ての人が皆、驚いて目を見開いた。泣いていたはずの陽斗さえ、ピタリと泣き止んだ。それを見た悠一が、皮肉げに嗤った。「確かに、お前たちには那須川の血が流れている。けど、それは俺の血じゃあない」「そ、それは…」小高が代表するように尋ねた。「どなたのお子さまなのでしょうか…?」
前世ーキキーッ!!邸の前に、急ブレーキと共にバンッ!という乱暴にドアが閉められる音がしたと思ったら、玄関扉までが勢いよく開けられた。中にいた使用人や執事が一斉に振り向くと、そこには髪を乱して息を荒げた悠一が立っていた。「旦那さー」「雪乃は!?」小高の言葉を遮り、厳しい口調でそう問い詰める彼に、誰もが顔色を失くして俯いた。「答えろ!!雪乃はどうした!?」「……」「小高!」この邸の管理は彼が一手に引き受けている。その彼にも分からなかった。使用人たちが、奥さまを蔑ろにしていたことには気がついていた。あまりにもひどい時にはそれとなく注意していたが、悠一の態度が彼女に冷たいことから、彼(彼女)たちは、雪乃を粗雑に扱ってもいいと勘違いしていたのだ。小高は答えた。「申し訳ございません。私の落度です…」そう言った途端、悠一が拳を壁に叩きつけて怒鳴った。「そんな言葉で納得できるか!!」「……」「……」「……」鬼のような形相で皆を睨みつける悠一に、そこにいる人々はガタガタと震えていた。なんで…?奥さまのこと、嫌いなんじゃなかったの…?今まで何も言わなかったじゃん…。奥さま、どこに行ったんだよ…。雪乃が行方不明となって、既に5日が経っていた。2日間は待ってみた。どこか気晴らしにでも行っているのかと思ったから。だって、陽斗坊ちゃんが「ママは一人で遊びに行っちゃった」て言ったから…。そこへ、悠一の友人である長谷直也がやって来た。彼も急いで駆けつけたのか、服装が少し乱れていた。「悠一…」彼は、ソファに座って、両手で頭を抱え込んでいる親友の肩に手を置き、力強く言った。「こっちでも方々探してる。きっと見つかるさ」「……」悠一の眉間には深いシワが刻まれ、怒りのオーラが漂っていた。もしかして、雪乃は逃げたのか…?俺を嫌って?考えれば考える程、心が締め付けられる。わかっている。自分が、彼女にとっていい夫ではないことくらい。でも、彼女は自分を愛しているんじゃなかったのか!?本当に嫌いになったのか!?なぜ、俺から逃げようとするんだ!?悠一は、ギリギリと歯を食いしばって耐えていた。全ての使用人が集められ、何か気づいたことはないのか、誰も彼女を見ていないのか、一人ずつ厳しく問い詰められた。そんな時、一人の運転手が青い顔をしておずおずと
3年後ー「雪乃、ただいま」出張から戻った悠一が、迎えに出た雪乃を優しく抱きしめ、額にキスをした。「おかえりなさい」それに微笑んで彼を見上げる雪乃に、邸の使用人たちも皆優しく微笑んでいた。悠一が言った。「雪乃、ことりを連れてスキーに行かないか?」「スキー?」首を傾げると、悠一は嬉しそうにある一枚の写真を出してきた。「君、子供の頃スキーに行ってみたいって言ってただろ?ちょうど良さそうな別荘があったから、買ったんだ。リフォームも済んだし、この冬はここで過ごさないか?」「……」一気に話す悠一の声を聞き流しながら、雪乃は写真を見て呆然としていた。そこはー彼女が絶望の中、その生を終えた場所だった。写真には懐かしい景色が写っていて、雪乃の指は微かに震えていた。悠一はそれに気づき、心配そうに尋ねた。「どうした?嫌だったか?」「ううん…そうじゃないの……」緩く頭を振ってそう言う彼女に、彼は眉を寄せた。雪乃はそんな彼を安心させるように微笑み、もう一度写真を見た。大丈夫。屋根の色も違うし、扉の形も違う…。「倉庫…食糧庫みたいなものは、ある…?」「倉庫?いや、ないな。必要なら作らせるが?」そう言われて、ホッと息をついた。そして顔を上げて言った。「いらない。その代わり、大型の冷蔵庫と冷凍庫が必要ね」「わかった。用意しよう」雪乃の何か吹っ切れたような、何か分からないがいつもと同じ微笑みに、悠一もホッとして微笑った。雪乃は思った。もしかして、前世も彼は、私の為にあの別荘を手に入れたのかもしれないわね。子供の頃に言ったっていう、私ですら忘れていた言葉を覚えてたのかも…。そう思うと、雪乃の気持ちは明るくなった。「そうだ!ことり用に、ソリもいるわ」楽しそうにそう言う彼女と悠一が、揃って2階に上がる階段に足をかけると、タタタッと小さな足音が駆けてきた。「パパ!」その声に振り向いた悠一が、満面の笑みでしゃがんで両腕を広げた。そして、全力でその中に飛び込んで来る可愛い娘に、言いようのない愛おしさを感じた。「ただいま、ことり」優しく頭を撫でて、抱き上げてやる。2歳になる娘はニコニコ笑ってギュウッと悠一に抱きつき、お土産をねだった。それを雪乃に窘められて、彼女は小さな舌をべッと出した。「ママばっかりずるい!ことりのパパなのっ」
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