部屋の中は暗く、彼が安眠できるように遮光カーテンがしっかりと引かれていた。優子は静かにカーテンを少し開けて、部屋に一筋の光を入れた。
彼女は慎重にベッドの方へと歩み寄った。もし以前の彼なら、これほど警戒心が高いので、すでに目を覚ましていただろう。
しかし今は目を閉じていて、隣には使い終わった点滴のボトルが置かれていた。
優子は手を伸ばして彼の額に触れてみた。熱く、まだ熱が引いていなかったのがわかった。
峻介はいつも身体が丈夫で、こんなにひどい病気になることは滅多になかった。
葵の件について話すのは、彼が目を覚ました後にしようと決めた。
彼女が手を引っ込めた瞬間、手首を誰かに掴まれた。
次の瞬間、その人物に強く引かれ、優子は男性の胸元に倒れ込んだ。
眉をひそめて、反射的に彼を押しのけようとしたが、低くかすれた声が聞こえた。「行かないで」
優子はその瞳を見つめ、薄明かりの中で、その赤くなった目がまるで可哀想な子供のように見えた。
彼女は軽くため息をつき、結局何もせず、大人しく彼の胸に身を寄せた。
峻介は嬉しそうに、さらに彼女をしっかりと抱きしめた。
熱い吐息が四方八方から優子を包み込み、彼女は少し落ち着かなかった。
二人がこうして親密な姿勢を取るのは久しぶりだった。以前の恋人同士だったとしても、これほど近い距離は彼女にとって戸惑うものだった。
「少し緩めて、息ができないから」優子は小声で抗議した。
峻介は半分夢の中で、手を緩めるどころか、さらに彼女を強く抱きしめ、「優子ちゃん、僕が悪かった、本当に悪かった。行かないでくれ」と呟き続けた。
今だけではなく、過去でもこの光景は驚くべきものだっただろう。
峻介はいつも神様のような存在だった。彼が間違うことがあるだろうか?
だが、今の彼は無力な子供のように、自分が間違ったと繰り返し言い続け、行かないでほしいと訴え続けた。
優子が何か言おうとした瞬間、彼の指が突然彼女の薄い服の中に滑り込んできた。
「何をしてるの!」
峻介は彼女の上に覆いかぶさり、ネイビーのパジャマを着ていたが、ボタンが数個引き裂かれていた。
そして、その内側の肌が広く見え、胸の傷跡がかすかに見えた。
彼女が想像していたよりも重傷だったようだ。
すでに治っていたが、彼の胸には一本の蜈蚣のような傷跡が残っていた。
彼