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Home / 恋愛 / 元カレのことを絶対に許さない雨宮さん / 第94話

第94話

Author: 十一
時也は微笑んだ。「俺は俺の道を行くだけだ。気にしなくていい。試してみなければ、結果はわからないものさ」

凛は言った。「たとえその結果があなたを深く失望させることになっても?」

時也の瞳が深く沈んだ。「それでも受け入れる」

凛は彼がこれほど頑固だとは思わなかった。もう何も言わなかった。

時也は彼女の気持ちを察し、それ以上は言葉を交わさず、ただ静かに彼女と共に波の音を聴いていた。

夜更けになってようやく、彼は去っていった。

凛は先ほどの彼の無言の頑固さと意思の強さを思い返していた。

実際、時也は分別があり、境界線をわきまえている人間だった。彼の追い方は強引でもなければ軽率でもなく、むしろ彼女に迷惑をかけないよう努めていた。

海斗とは違って。以前は猛烈に追いかけ回し、今では……すぐに取り乱す。

凛はため息をついた。まあいい、他人のしたいことを止めることなどできはしない。

自分のすべきことをすればいい。

部屋に戻ろうと身を翻した時、不意に暗がりに佇む人影を見つけた。

まるで幽霊のよう……

凛はびっくりして、声を出すところだった。

黒い影が暗闇から歩き出し、光が彼の顔に当たると、凛も徐々に来訪者をはっきりと見ることができた。

「海斗、一体何をしているの?!」

夜更けにここに立って、声もかけないなんて、本当に恐ろしい!

凛が途中退場してから、海斗にとって舞踏会は一瞬にして意味を失っていた。

彼は追いかけて出てきたが、彼女の姿は見つからなかった。

晴香が飴のように粘りつき、お腹が空いた、何か食べたいと言ってきた。

海斗の忍耐は一瞬で尽き果て、イライラが極限に達した。

最後、彼はウェイターを呼び止め、晴香をレストランへ案内させた。

ホテルの守秘義務が厳しかったため、海斗は苦労して凛の部屋番号を入手した。

急いで探しに来たものの、目にしたのは彼女が時也と並んでテラスに立ち、海を眺める姿だった!

白いボヘミアン風のバックレスドレスの裾が海風になびき、冷たい表情を浮かべた彼女の肩には黒髪が流れ落ちていた。まるで夜の闇に浮かぶ一筋の光のように。

男の背は高く、肩幅の広い細身の体つきをしていた。

二人が並ぶ姿は、まるで一枚の絵のように絵になっていた。

海斗は、その場に呆然と立ち尽くした。

時也が去ってから、凛は彼に気づいた。

男はまだ
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